口コミ広がる『アイの歌声を聴かせて』と、“AI”の新たなる行く末【考察・感想】



『アイの歌声を聴かせて』ロングPV

10月29日公開のアニメーション映画『アイの歌声を聴かせて』は、『イヴの時間』『サカサマのパテマ』等の作品で知られる吉浦康裕監督の最新作。脚本は『コードギアス 反逆のルルーシュ』『プリンセス・プリンシパル』など数多くの人気作を手掛けた脚本家・大河内一楼さんと吉浦監督の共同執筆です。

試験中のAI・シオンと彼女が送り込まれた高校のクラスメイトらが繰り広げる群像劇の中で、「AI」と「人間」の関係性がミュージカル的演出を織り交ぜて見応えたっぷりに描かれています。

話題作が目白押しの2021年公開作品の中にあって、“年間ベスト”に挙げる人も多く見受けられる本作。SNSを中心に口コミが広がり続けるその理由に迫ります。

以降、物語の根幹に触れる記述ネタバレ)が登場します。未鑑賞の方はご注意ください

『AIと友達になる』とはどういうことか

イヴの時間の時から吉浦監督のアプローチはずっと普遍的なものを表現している

アイの歌声を聴かせて(2021)を見た - No (refractory) title : spectrally stable

bunke(id:Teniwoha)さんは、『AIと友達になる』という近年では月並みとも言えるテーマながらもそこへ至るまでの論理展開に引き込まれ、「感想を書きたくなる一本」だったと本作を評しています。

teniwoha.hatenablog.com


「風穴を開けてくれた」作品

本作で特筆すべき点は「進化したAI(人工知能)=人」という価値観から脱却した物語を展開し、共存の可能性・希望を示してくれたこと

AIの感情を浮き彫りにする愛の物語。未来を明るく照らすアイの歌声に涙する。<アイの歌声を聴かせて・感想> - モリオの不定期なblog

「AIと人間の共存」の行き着く先に閉塞感を感じていたというモリオ(id:mori2_motoa)さん。「自分の中で停滞していたAI観を一歩進めてくれるような回答」を本作が提示してくれたと書きます。

mori2-motoa.hatenablog.com


「このまま知る人ぞ知るで終わってしまうのは勿体ない」

この物語は青春群像劇ではなくて、シオンとサトミの壮大な愛の物語

【アニメ映画】『アイの歌声を聴かせて』感想・レビュー:あらすじで判断は早い!?青春・ミュージカルアレルギーのあなたにも観てほしい名作 - アニゲコタブログ


自らを「青春・ミュージカルアレルギー」と語るコータロー(id:anigekotaro)さん。本作が途中まで「ポンコツAI」が繰り広げる「どこかで見たような青春群像劇」であるからこそ、終盤で描かれる展開や作品の根幹をなすテーマに大きな衝撃と説得力が生まれているといいます。

anigekotaro.hatenablog.com


AIという「私」

〈AIの主観視点〉という架空の視点を与えられ,そこにある“心”を垣間見た時,それがあなた自身の“心”と区別できなければ,それは人の“心”と言えるのだ

劇場アニメ『アイの歌声を聴かせて』(2021年)レビュー[考察・感想]:〈I(私)〉の歌声 - アニ録ブログ

オフレット(id:alterEgo)さんは、同じく「アンドロイドの心」を扱う吉浦監督の『イヴの時間』や似通ったテーマを描く作品群を挙げながら、〈人間の主観視点〉と〈AIの主観視点〉が反転する中で「AIの“心”とは何か?」を追い求める本作を読み解いています。

www.otalog.jp

まだまだ読みたいエントリー

上では紹介しきれなかった、『アイの歌声を聴かせて』の魅力を語るエントリーをピックアップしました。


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公開から2カ月がたち、上映館も徐々に少なくなってきている本作。ぜひ映画館で鑑賞し、あなたの感想を書いてみてください。

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週刊はてなブログとは

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【爽快青春アニメ】『サイダーのように言葉が湧き上がる』の感想ブログを集めました【夏の映画特集第2弾】

この夏見たい爽快なアニメーション映画といえば、『サイダーのように言葉が湧き上がる』。

アニメーションの劇伴や、アニメンソングの音楽レーベルとして知られるフライングドッグの設立10周年記念作品でもある本作。監督は、本作がアニメーション映画初監督となる、イシグロキョウヘイさんです。

コミュニケーションが苦手で、いつもヘッドホンをしている少年・チェリーと、大きな前歯がコンプレックスでいつもマスクをしている少女・スマイルの2人を中心に、物語が巻き起こります。

そんな映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』について、はてなブロガーたちが語りました。

以降で紹介する感想には「ネタバレ」的記述が多く含まれます。ご注意ください。

「音楽好きにもオススメしたい作品」

www.ongakunojouhou.com
むらたかもめ(id:houroukamome121)さんは「音楽好きにもオススメしたい作品でもある。物語の要となるエピソードに、音楽やレコードが関係しているからだ」といいます。本作を見て「自分が1番聴いたCDは何だろうか?数え切れないほど聴いても、聴き続けたいと思うCDは何だろうか?」と考えるきっかけになったそうです。

「清涼感のある展開」

www.m-ranenkei.com
作中に出てくる俳句の要素について、「俳句という要素も衒学的にならず、『良い句でしょう?感動してね』といった作中での評価を強要されるものでなく、主人公の人となりやヒロインの関係を示すに小粋な使い方だったと思う」と語る、連卵円形(id:m-ranenkei)さん。「作中の音楽もうるさすぎず、この作品独特の世界を作り上げている。劇伴と謳っているようだが、文字通りの劇伴ではなく、音楽として興味が湧いた」と劇伴についても語っています。

「ショッピングモールとは世界の限界である」

ajisimidaikon.hatenablog.jp
ショッピングモールとは世界の限界である」という、味染み大根(id:ajisimidaikon)さんは、「この映画は極めて限定的な場所しか登場しないため、街の全貌はショッピングモールを中心としたズームアウトでしか窺うことが出来ない。ショッピングモールには全てがあり、その『全て』を疑った時、限界は踏み破られ、未到の外部が現れる。チェリーはそこを目指している」と映画を分析しています。

「テクノロジーと人間との、一つの幸福な関係」

kei-furuto.hatenablog.com
古戸圭一朗(id:kei_furuto)さんは「本作で描かれているのは、日常におけるテクノロジーと人間との、一つの幸福な関係ではないか」と考えました。「新たなテクノロジーに対して寄せられる礼賛、あるいは危惧を余所に、我々はそれらと案外うまく付き合い、日常生活を送り、人と出会い、恋をし、そして想いを伝えることができるのかもしれない。2人のデジタルネイティブが描く、ナチュラルで爽やかな青春劇を見て、そのように感じた」と感想をつづっています。

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また、今夏公開の映画について、ほかにも特集予定です! ぜひ記事を読んでみてください。


cider-kotoba.jp


【幸福は創造の敵──】『映画大好きポンポさん』 劇場アニメ&原作感想をまとめ読みしよう!

www.youtube.com


2021年6月4日から公開中の劇場アニメ『映画大好きポンポさん』

杉谷庄吾【人間プラモ】さんによる同名人気コミックを原作とするこの作品のキャッチコピーは、「幸福は創造の敵──」

敏腕映画プロデューサー・ポンポさんのもとで製作アシスタントをしているジーン。映画に心を奪われた彼は、観た映画をすべて記憶している映画通だ。映画を撮ることにも憧れていたが、自分には無理だと卑屈になる毎日。だが、ポンポさんに15秒CMの制作を任され、映画づくりに没頭する楽しさを知るのだった。 ある日、ジーンはポンポさんから次に制作する映画『MEISTER』の脚本を渡される。伝説の俳優の復帰作にして、頭がしびれるほど興奮する内容。大ヒットを確信するが……なんと、監督に指名されたのはCMが評価されたジーンだった! ポンポさんの目利きにかなった新人女優をヒロインに迎え、波瀾万丈の撮影が始まろうとしていた。

劇場アニメ『映画大好きポンポさん』公式サイトより


本特集では劇場版『ポンポさん』はもちろん、原作『ポンポさん』の感想もあわせてピックアップしました。両方のエントリーを読みながら、『映画大好きポンポさん』の世界に今一度浸ってみませんか?

以降で紹介する感想には「ネタバレ」的記述が多く含まれます。ご注意ください。


原作コミック『映画大好きポンポさん』

今回の劇場アニメの原作である漫画『映画大好きポンポさん』は、杉谷庄吾【人間プラモ】さんの深夜5分アニメ企画に端を発するシリーズ。2017年4月にイラスト投稿サービス「pixiv」に投稿されるやいなや、クリエイターをはじめとするファンから大きな支持を受け、同年8月に単行本化。翌年の「マンガ大賞2018」や「このマンガがすごい! 2018 オトコ編」にもノミネートされた本シリーズは、現在6巻までが刊行されています。

天才が天才について描いた映画監督漫画

huyukiitoichi.hatenadiary.jp

「最初に書いたようにすぐスマホでもパソコンでも仕事中でも学校でも読めると思うので、ほんの1時間ぐらい何かをサボって読んでもらいたい」と、漫画『映画大好きポンポさん』を強く勧める 冬木糸一 id:huyukiitoichi さんが、pixivでの『ポンポさん』公開直後に寄せたエントリー。最後の1ページ(単行本では1巻145ページ)が「あまりに美しい」と言います。

『ポンポさん』をもっと楽しむための映画3本

m-kikuchi.hatenablog.com

『ポンポさん』にはその名の通り、実際の映画にまつわるエピソードが多く盛り込まれています。 id:m-kikuchi さんは、『ポンポさん』の作中作『MEISTER』に関わるのではないかと推測する実際の映画3本をブログで紹介。「何れの作品も名作だと思いますので、ご興味のある方は一度ご覧になってみるのも悪くないのでは」と語ります。

無色の情動,透明なパッション,物理的に精神を揺さぶってくる衝撃

yamada10-07.hateblo.jp

感動とか泣けるというと少し違くて,心が強く揺さぶられた結果,その生理的反応として涙が出てくる」と、漫画『ポンポさん』がもたらす強い情動について記した 山田 id:yamada10-07 さんのエントリー。時にコミカルに、時に狂気をにじませて描かれる創作の喜びが「私の心の奥の方へどすんと飛び込んでくる」と言います。

劇場アニメ『映画大好きポンポさん』

漫画『ポンポさん』のアニメ化企画始動が単行本第1巻発売と同時に発表され、約4年の時を経て公開された劇場アニメ『映画大好きポンポさん』。 『空の境界「矛盾螺旋」』『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』の平尾隆之さんが監督・脚本を務めた本作は、コミック第1巻の内容に追加エピソードや補完を加えながら、原作の内包する映画愛創作の喜びをぎっしり詰め込んだ作品となっています。

全ての映画ファンに届いてほしい

tea-rwb.hatenablog.com

声優陣と画面の構成力」が物語に説得力を与えていたと語る 抹茶マラカス id:tea_rwB さん。原作の魅力をより強化してみせた本作の高い完成度を評価しています。また「原作を読んでびっくりした」という、劇場アニメにて補完された描写や追加エピソードについても感想を記しています。

「映画の映画」ならではの

achamiya.hatenablog.com

映画館で実際に映写業務に携わる雨宮アチャ id:achamiya さんは、「今まであっただろうか・・・35mmフィルムをあそこまでしっかり描写するというアニメが・・・」と映画『ポンポさん』の緻密な“映画描写”に感嘆。お手製のイラストも添えて、「何かをクリエイトしたくなる熱を受ける映画でした」と本作の感想を語ります。

「4つの物語」と「映画の本質」

zhongdanhai.hatenablog.com

爽快かつ主張の強いエンタメ映画だった」と本作の感想を記す dowachang id:zhongdanhai さん。映画の見どころの数々と「4つの物語」を振り返るとともに、「映画とは娯楽であると同時に観衆への問題提起である」と、「映画の本質」について思索を巡らせています。



【今回紹介したエントリー】


本特集で紹介した感想エントリーの一覧です。まとめて読みたい際にどうぞ。

劇場アニメ『映画大好きポンポさん』

全ての映画ファンに届いてほしい「映画大好きポンポさん」感想 - 抹茶飲んでからマラカス鳴らす

ポンポさんがキてるぞ - 映写雑記

映画大好きポンポさんに考える映画の本質 - なんでも言及してやろう





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映画大好きポンポさん オリジナルサウンドトラック

映画大好きポンポさん オリジナルサウンドトラック

  • アーティスト:V.A.
  • エイベックス・ピクチャーズ株式会社(Music)
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