ブログを書くこととは、瞑想して自分自身と向き合うこと(寄稿:歴ログ中の人)

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この記事は、はてな×KADOKAWAで取り組む「ブログ書籍化プロジェクト」で出版される書籍のプロモーション記事です。記事末に書籍のプレゼント情報もあります!

こんにちは。はてなid:titioyaという名前で「歴ログ-世界史専門ブログ」をやっている尾登(おとう)という者です。「世界史のネタ」にこだわって毎週更新を続けています。この度、KADOKAWA様より著書『あなたの教養レベルを劇的に上げる驚きの世界史』を出版することになり、こちらに寄稿させていただくことになりました。ちなみに私、フミコフミオさんやたぱぞうさんのように適当なペンネームがないので、本名での出版となります。こうなるのであれば、以前からペンネームを作っておけば良かったと少し後悔しています。

さて、一部の方はご存知と思いますが、歴ログは世界史に特化したブログで、「面白い歴史のネタをまとめる」ことを目的としています。特定の時代や国に限らず、政治、軍事、宗教、社会、経済、食文化などかなり幅広い記事を扱っており、「世界史」という冠がついていますが内容はかなり自由で、その時々で私が関心を持ったテーマを取り上げています。私個人は特化型ブログではなく雑多なブログだと思っています。

今回出版させていただく書籍では古代から現代までの様々な歴史について語っていますが、今回寄稿させていただくにあたって、特定の国の歴史や人物の紹介をされてもよく分からないので、私自身のブログについてのスタンスと可能性、著書に込めた思いのようなものをお伝えできればいいなと思います。

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著者近影

なぜ世界史ブログなのか

「歴史」はブログのジャンルとしては比較的マイナーな部類に入ると思います。数もさほど多くないし、他のジャンルに比べて人気もそんなにない。良質な歴史ブログがいくつかありますが、更新が10年以上前で止まっていたりしています。ブログに限らず、歴史に特化したネットのコンテンツはそう多くありません。

では皆歴史に興味がないとかというとそうとは言えません。毎週のように歴史の新刊が出版されているし、テレビ番組では歴史に関する番組が数多く放送されています。ネット人口は増え続けているため、確率的には歴史コンテンツのネット上の需要も増え続けているはずです。でも供給が充分でない。供給がないから、皆ネットで歴史のコンテンツを見ない。あっても内容が薄かったり、政治・思想的に偏っていたりして「見る価値がない」「信用できない」と思われている節もあるように思います。日本のサイトで最も読みごたえがある「歴史コンテンツ」はWikipediaというのが現状です。

一方で海外、特に英語圏は読みごたえのある高品質の歴史コンテンツがたくさんあります。「HISTORYNET」 、「Smithsonian Magazine」 、「THE HISTORY BLOG」など。これらの良質な英語のネット記事は、まあ、本当にめちゃくちゃ面白い。すごい。うらやましい。日本でもこういった歴史エンタメコンテンツを作りたい! そういう思いから2012年ごろから歴史ブログを始めました。

最初はWord Pressで作っていましたがなかなか続かず、2014年8月にはてなブログに引っ越しをしてきて、今に至ります。

「世界史」は全く詳しくない

よく「どうやってそんなにたくさん記事を書けるんですか」と質問されるのですが、答えはシンプルで、毎日勉強しているからです。仕事、睡眠、食事以外はほぼ本や文献を読んでいます。ブログのソースは、日本語の書籍、海外の歴史サイト、日本語・英語の学術論文です。一つの記事を書くための時間の割合は、調査9割、執筆1割といった感じで、圧倒的に読む時間の方が多いのです。書くことを一旦ノートにまとめて、論述展開を整理し、整理したらあとは書くだけ。私にとってはその記事の執筆はほぼ終わりの段階に近い感覚です。1記事を執筆するために時間はそれなりにかかっており、コスパを考えたら難しい作業です。時給に換算するとひどいことになると思います。好きだからできるし続いています。

歴史に限らずどの分野でもそうだと思うのですが、一つの分野を勉強すればするほど底が見えなくなります。どんどん自信をなくしていき、口が裂けても「世界史に詳しいです」などと言えなくなります。特に私は歴史学に関する専門的な教育も受けてないし、体系的な学び方ではなく、関心のあるテーマをランダムにつまみ食いしながら、特定の地域や分野に絞らず「世界史全部」という無謀なインプットの仕方をしているのでなおさら。専門家からすると「めちゃくちゃ」だと思います。私のような人間が、専門家の方と同じ土俵に立とうとすること自体が間違っていると思案しています。

仕事で取り組んだことや考えていることが記事に反映されている

ただし、アウトプットであるブログのことを考えると、「めちゃくちゃな学び方」をしていることこそがずっと継続できている理由であるようにも思います。専門的な学び方をしていたら、怖くて歴ログみたいなブログは絶対に書けません。そういう点で、弱みを却って強みにできています。

また、歴ログが正統派の歴史コンテンツと違うのは、その時々で私が仕事で取り組んでいることや考えていることが、記事内容に反映されていることです。例えば以前、私は広告会社で企業のブランディングを任されていました。その期間の記事は「いかにして国家や政権が支配する大義名分を作っていくか」というテーマの記事が多くなっています。過去のファクトをまとめるだけではなく、自分が仕事で直接学んだことのフィルターに通して落とし込んでいるので、昔々、どこか遠くの国の話なのに、生々しさを感じると思うのです。

ブログを通じて自分自身と向き合うこと

ブログを続けることは、私にとっては趣味でもあるし、生涯学習でもあるし、歴史というフィルターを通じて自分を見つめなおすことでもあります。いわゆる「瞑想」に近いです。瞑想は、ともすれば主観的になりがちな自己の意識を客観的に見つめなおし、心を統一する作業です。先ほど述べた、自分の仕事や考え方をフィルターに通すというのも、今の自分自身を客観的に見つめ直し整理するという瞑想の結果、書き出されているものです。そういう点で、「歴ログ」は歴史ブログと言いつつ、かなりパーソナルなブログでもあります。今を生きる一人の人間を歴史というフィルターに通してみた後に出てきたアウトプットにすぎないわけです。

アカデミックなソースを元にしつつ普段の日常生活が投影されていることが、「歴ログ」を他の歴史コンテンツと比べ異質に感じるものとなっている理由ではないかと思います。正統派から見ると異端的である理由にもなりますが、こういう「勝手」な行為が許されるのは、ブログというメディアの一つの利点であると思います。デマやデタラメを垂れ流すのは困りますが、「独自の切り口」で「分かりやすく」「おもしろく」歴史を語るブログは、まだまだ可能性があるのではないでしょうか。

歴史ブログの可能性

歴史が好きでもブログのテーマとする、というのはハードルが高いと感じられる方もいると思います。ただ、アカデミックなアプローチから少し外した別の土俵に立ち、かつ独自性を見つけることができれば、さほどハードルは高くないはずです。私自身、ぜひいろんな方の歴史ブログが見たいですし、歴史をテーマにしたコンテンツが増えると楽しみ方の裾野が広がっていくのではないかと思います。最近ははてなブログでも歴史をテーマに扱ったブログが増えてきて、先駆者(?)として大変うれしく思います。将来的には歴史をコアにしたメディアを作って、もっと「楽しい歴史」をネットで展開していくのが私の夢であり目標もあります。そのためには、歴史というジャンルがもっと活気づかなくてはいけないのです。

さて、ネットの歴史コンテンツについて長々と語ってしまいましたが、今回は書籍の出版についてでした。あくまで私の主軸はネットにあるのですが、最後にまとめとして書籍に込めた想いのようなものを語らせてください。

ブログの書籍化にあたって

今回の書籍では、世界史にあまり親しんでいない方に、世界史の流れを理解していただきつつ、その面白さの根本を分かってもらいたいという思いで書き上げました。ただし、これまでのブログのアセットを活用しつつ、大部分を新たに書き起こし、ブログとはまた違った新たなアプローチで取り組んでみました。

ブログは毎回違ったジャンルとテーマで好き勝手に展開していますが、今回の本では古代から現代までの全体の歴史の流れをたどりながら、時代と地域で有機的に事象や文脈がつながっている様を描こうとしました。これまで好き勝手な記事のあげ方をしてきた私からすると、かなりの挑戦です。ベースはアカデミックに置きつつ、いかにエンタメとして面白く仕上げるかの微妙なバランスの中で取り組みました。「歴ログ」のエンタメ的な要素も楽しめつつ、歴史本としても充分楽しめるものになっていると自負しています。時間的な制約もあったので、あそこはもっとこうすれば良かった、という反省点はたくさんありますが。

もう一つ。本のタイトル『あなたの教養レベルを劇的に上げる驚きの世界史』にもある通り「教養を上げる」というのが一つテーマになっています。教養とは何か、というのもまた長い議論になるのですが、書籍に込めた思いとしては、世界史を包括的に流れの中で見ていくことで、「人類の長い歴史の中での思考や行動のありようを知り、現在の自分自身を客観的に見る習慣を持つこと」のきっかけになってもらえたらいいなと思っています。とはいえ、そういうふうに読んでください、と強要はしないので、ぜひひとつのエンタメ本として楽しんでもらえたら幸いです。

著者:id:titioya

id:titioya

1984年福岡県生まれ。東京都内在住。タイ人の妻と犬一匹と暮らす。本業は歴史と全く関係のない広告関係の仕事。
ブログ:歴ログ -世界史専門ブログ-
Twitter:@jimanalyze

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応募要項

応募期間 2019年12月3日(火)~2019年12月9日(月)23:59
賞品・当選者数 『あなたの教養レベルを劇的に上げる驚きの世界史』10名様
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編集:はてな編集部