お醤油ブログ「醤油手帖」で知られる料理漫画研究家の杉村啓(id:shouyutechou)さんが、9月13日(金)深夜放送*1のタモリ倶楽部「食べ比べ同人誌大賞」の回に出演されます。
共演する同人誌は、ネットの情報を総合すると以下の方々のようです。
- 「このタルタルソースがすごい!」の 臼井総理さん
- 「この芋けんぴがすごい!」のきよーか【追記:id:kiyooka】さん
- 納豆本「まぜたり、のせたり。」のC2機関さん
司会を担当される渡辺祐(id:dothemonkey)さんのはてなダイアリーにも情報が掲載されています。元宝島社の渡辺さんのほか、元講談社の山田五郎さん、元電通の大宮エリーさんと、プロ目線のコメンテーターが出演されます。
「食の数だけ本がある 今夜決定! 食べ比べ同人誌大賞」
いろんなお知らせマトメ - 渡辺祐 blog MAKE IT FUNKY!
同じ食材を複数食べ比べた同人誌が話題!
そこで醤油、タルタルソース、芋けんぴ、納豆など食べ比べ本の大賞を決定!
[出演]タモリ・山田五郎・大宮エリー・渡辺祐/安齋肇
この絶好のタイミングで、夏コミ(C84)で頒布されたばかりの醤油手帖 Vol.5を手に、杉村さんがはてな東京オフィスをご来訪。さっそくお茶をお出しして、タモリさんの印象などを伺ったりしたわけですが、さすがにオンエア直前の番組についていろいろ書いてしまってはいけません。
そこで週刊はてなブログらしく、ブログと同人誌と商業出版の関係について簡単にインタビューさせていただきました。最後には、素敵なプレゼントもありますよ!
【聞き手:週刊はてなブログ 編集部 id:mohri】
醤油手帖はどのように始まって、成長したのか?
- 杉村さんは小さい頃から料理マンガがお好きだったということですが、醤油を集めるようになったのはいつごろ、どういったきっかけだったんですか?
- 実は経緯が少し複雑で、最初にハマったのはむしろ塩なんですよ。
- え? それは、また深そうですね。
- ちょうどフランスで暴動があった真っ最中に、リヨンに住んでいる友達夫婦を訪ねていったんです。そこでスーパーに連れて行ってもらって、「これがすごく美味しいんですよ」と教わったのがペルル・ド・セル。日本語で塩の真珠というカマルグ地方の最高級の海塩で、もちろん名前は料理マンガで知っていたんですが、どれだけ美味いんだ? と……。
- 塩のウンチクを語る作品があるんですね……?
- ウンチクものでも対決ものでも、最高級品の塩を使うシーンでたいてい名前が挙がる塩なんです。これを実際に味わってみると、本当に美味しかった。なんて奥が深いものなんだ!と!
そこから高知をはじめとする国内の海塩や、モンゴルの甘い岩塩など、1年ちょっとかけて15~16種類は集めました。
ちょうど友達の間で、妹尾河童さんが随筆で紹介されたピェンロー(扁炉)が、「神戸在住」という漫画に出てきて、それを読んでピェンローブームが始まって。鍋のつゆに自分で塩を入れて味を調整するものなので、塩をズラッと並べてピェンローパーティーをやってましたね。
魚醤との運命的な出会いから醤油に傾倒
- 醤油にハマったきっかけは、「もやしもん」に掲載されていた醤油の産地の地図です。そこに日本三大魚醤として、しょっつる(秋田)、いしる(能登)、そしていかなごがあったんです。
僕は両親とも関西の人で、いかなごの釘煮はソウルフードというくらい毎年食べていた。でも、いかなごの魚醤ってなんだ? 実家に電話にしても「聞いたことがない」。思いつく限りの関西の友達に訊いても「聞いたことがない」。じゃあこれは何だろう?
そんなときに、たまたま明石の魚の棚(うおんたな)商店街を通りかかり、たなか発酵醸造食品販売所という酒屋にいかなご醤油「あかし魚笑」が売られていて、「これは!? あのとき“もやしもん”で読んだ!」
当然ながら買うし、お店のひとに「これはなんなんですか?」と聞くわけですよ。すると、もともと瀬戸内では、釘煮にするには大きくなりすぎたいかなごで魚醤を作ってたんだけど、作り手が途絶えてしまっていた。それがもったいないので、その酒屋の店主が中心となって現代に復活させる勉強会を開き、実際に出来上がった試作品なんですよ、という話で。 - すごいですね。
- それまで魚醤ってあんまり味わったことなかったんですけど、これは美味しい。そこでようやく、醤油って奥が深いと。塩の味にここからここまで(ろくろを回すような手つき)の幅があるなら、醤油にはこのくらい(手をいっぱいに広げる)ある。と気付いて、醤油を集めるようになりました。
運が良かったのは、たまたま友人が仕事の都合で日本全国を飛び回っていて、醤油の話をしたらお土産で買ってきてくれて。ちょうど有楽町の交通会館に全国の物産館があるということに気づき、面白そうだからと出掛けていくと地方の醤油を見つけ、買っているうちにハマっていったという感じです。
ブログ、同人誌、そして商業出版へ
- そうやって醤油をしばらく集められてからブログをスタートするわけですが、これもきっかけがあったのでしょうか?
- たまたま誕生日の前日に友達とご飯を食べていて、「せっかくハマっているんだから、まずブログで書いてみたらいいんじゃないの?」という話になり、そこで「醤油手帖」という名前を思い付いたんです。はてなダイアリーにしたのは*2、たまたま奥さんが使っていたからで、誕生日の2009年12月10日に始めたんですね。
ブログの初期は、本の醤油手帖と同じような記事をひたすら書いていくスタイルで、毎週1本紹介し、これを半年ぐらい20本近く更新していました。そこから忙しくなって、更新が滞りがちになってしまったんですが。 - 同人誌を作ろうということになったのはどういう流れだったんでしょう?
- 2011年ごろ、日本酒にもハマっていて。そのときに知り合った友人が日本酒の同人誌を作っていたんですね。それに刺激されて「自分も何かやりたいなあ……」と言っていたら、「醤油があるじゃん」「じゃあ、やってみるか」となって始めたんです。
ブログと同じ「醤油手帖」の名前で出すならやっぱり文房具っぽいほうがいいよね、ということで友達のデザイナーが帳面のような装丁にしてくれました。前書きには「ブログの書籍化ブームに乗りたかったんだけど、声がかからなかったので自分で作りました」って冗談めかして書いてます(笑)。2巻や3巻でも「商業出版のご連絡お待ちしています」って書いたんじゃなかったかな。 - その甲斐あってか、この冬には河出書房新社から醤油手帖の本がついに刊行されますね。
- このきっかけは京都の書店「恵文社」さんなんですよ。一乗寺店に置いてもらっていて、河出の編集さんが京都に出張したときに立ち寄られて、そこで「おっ」と目に止まって、買って、読んだら面白かった、ということですぐに連絡がありました。実はこれが初めての商業出版のオファーで、すごくラッキーでした。
- そして来年はまた夏コミで同人誌を?
- はい。もう特集の企画も考えています。同人誌は同人誌でしかできないことを、商業出版では商業出版でしかできないことをやっていきたいです。例えば、同人誌版は印刷に凝っているので、高精細箔を使ったり、イメージにあわせて紙を選んだりしています。商業出版の方では、カラーページをふんだんに使ったり、写真をプロの方にお願いしたりする予定です。また、商業出版の方では今以上に取材を行うので、そこで得た知識がまた同人誌の方にも役立つ予定です。
- 商業出版の成果が、またブログや同人誌にフィードバックしているんですね。複数のメディアを続けていく姿勢が素晴らしいと感じました。冬に出る醤油手帖の本も、来年の「醤油手帖 Vol. 6」も楽しみです! ありがとうございました。
ブックマークするだけで醤油手帖セットが当たる!
在庫僅少のVol.1とVol.2を含む全5冊に特製カードを加えた醤油手帖×はてな セットを、読者の中から抽選で2名様に差し上げます。応募方法はこの記事をブクマするだけ。よろしければTwitter連携をオンにして、記事のご感想などコメントください。ご応募お待ちしております。
応募期間 | 2013年9月13日(金)~2013年9月19日(木) |
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賞品・当選者数 | 醤油手帖 Vol. 1~5+醤油手帖特製カード セット ×2名様 |
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抽選と発表 | 応募期間終了後、はてなブログスタッフにより厳正な抽選を行い、当選ユーザー様の登録メールアドレス宛に送付先情報を確認するメールをお送りします。取得した情報は本賞品送付用途以外には使用いたしません。また、送付先は国内に限らせていただきます。なお、発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。 |
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