これからのブログ運営で大切なことは、公開した記事がきちんと読まれることです。とはいえ、それはどうやって見分ければよいのでしょう。はてなブログならどのブログでも設定できるGoogleアナリティクスに、そのヒントが隠されていないでしょうか。週刊はてなブログではウェブアナリストの小川卓さんに、簡単なブログ分析の手法を3回にわたって寄稿いただきます。第1回は、長く安定して読まれる地層のような記事を見つけ出す「初月率」という数字についてです。
こんにちは。ウェブアナリストの小川卓(@ryuka01)と申します。
2007年から「はてなダイアリー」を利用し、現在は「はてなブログ」でアクセス解析に関するブログを運用しています。
公式ブログの場(週刊はてなブログ)をお借りして、Googleアナリティクスを活用したはてなブログの分析&改善方法を紹介していきます。今回は、過去の記事を再評価して改善に活かす方法についてお話します。
- 過去の記事って意外と見られている?
- 過去記事のアクセス数をGoogleアナリティクスで確認する方法
- アクセスがある過去記事の活かし方
- 「安定してアクセスがある」記事は初月率が低い
- 初月率が低い記事は「地層」となる
過去の記事って意外と見られている?
ブログを書いていると、どうしても最新の記事のアクセス数やブックマーク数などが気になるかと思いますが、かなりのブログで過去の記事へのアクセスが多くなっていきます。
以下は筆者自身のブログで、2017年全体のページビューに対して、記事がいつ書かれたかをまとめたグラフです。
2017年に書いた記事は、更新頻度が落ちていることもありますが、見ての通り同年のページビュー全体の9%にしか貢献していません。むしろ2013年から2014年にかけて公開した過去の記事で、全体の5割近くを占めていることがわかります。
新しい記事のネタを考えることも大切ですが、サイトの流入や記事の閲覧数を増やすためにも、過去の記事を見返してみませんか? アクセスが多い過去記事をリライトして内容をアップデートすることで、読者が必要としている最新の情報を伝えることができます。
過去記事のアクセス数をGoogleアナリティクスで確認する方法
先ほど掲載した「記事がいつ書かれたか」のようなデータはどのように取得できるのでしょうか。このグラフは、Googleが無料*1で提供するアクセス解析サービスGoogleアナリティクスを利用して作成しました。
なお、本記事ではすでにGoogleアナリティクスを申し込み、はてなブログにも設定している方を対象としています。これから設定する方は、例えばモスさん(id:moss_san)さんの次の記事などを参考にされるとよいでしょう。
はてなブログのヘルプでは「ブログの詳細設定ページ」を参照してください。
Googleアナリティクスのカスタムレポート
Googleアナリティクスには、自由にレポートを作れるカスタムレポート機能があります。設定すれば、こんな感じで「何年に書かれた記事が、どれくらいページビュー数があったか」を見ることができます。
このレポートを見るうえで必要になる用語を簡単に解説しておきましょう。
- ページビュー数
- ページが表示された回数
- 閲覧開始数
- サイトに流入して最初に見たページの回数
- 新規セッション率
- 記事を見た訪問の内、何%が初めてサイトに訪れたか
- 直帰率
- 該当記事だけを見て、サイトを離脱してしまった割合
上記の例では、2015年が最もページビュー数が多いことがわかります。
このレポートではさらに、/2015/
などそれぞれの年のリンクをクリックすると、その年の月ごとの数値を確認できます。
そして/01/
などの月をクリックすると、記事タイトルごとの数値を見ることができます。
カスタムレポートを作成できるレポートテンプレートと使い方
カスタムレポート機能では、作成したレポートの設定を簡単に共有することもできます。
以下のURLで、上記のカスタムレポートの設定を共有しています。読者の皆さんのGoogleアナリティクスにこの設定をインポートできます。
analytics.google.com/analytics/web/template?uid=ihRZI7aqSJa1iuH8QVoLWw
リンクをクリックすると次の画面が開き、レポートを反映する(Googleアナリティクスの)ビューを選択します。はてなブログに設定しているプロパティのビューを選択しましょう。
※これは、はてなブログ用に設定された、記事URLのフォーマットが「標準」あるいは「タイトル」用のレポートです。「ダイアリー」形式の場合もレポートは出せますが、年や月ごとにグルーピングされないので、データをダウンロードした上で集計が必要です。記事URLのフォーマットは、はてなブログの詳細設定画面の「記事URL」欄で確認できます。
アクセスがある過去記事の活かし方
過去に書いた記事に安定したアクセス数がある場合は、以下の2つの施策を実行することをオススメします。
- 1) 記事内容が、今見ると古い記事だった場合
- 記事をアップデートすることで、ユーザーに最新の情報を提供しましょう。アップデートすることによって、新しいキーワードからの流入も期待できるかもしれません。
筆者のブログの例では、Twitterの解析ツールなどは入れ替わりが多いため、終了したツールを削除し、新しいツールを追加するなどでアップデートが可能です。 - 2) 関連する記事を執筆し、アクセスがある記事からリンクを貼る
- 読者にさらなる情報を提供できると同時に、関連記事の閲覧増加も期待できます。
筆者のブログの例では、アクセス解析の用語である「セッション」の記事は過去に書いた記事の中でもアクセス数が多いので、それに関連する「ページビュー数」や「ユーザー数」の記事を書き、「セッション」の記事からリンクするといった具合です。
2番目の事例として、下記は2008年に書いたもので、安定してアクセスがある記事のひとつです。
この記事で説明しているのは2008年当時の定義で、現在は少し変わっています。そこで、2015年に書いた記事のリンクを次のように貼ったところ、2015年の記事のアクセス数が2倍以上に増え、100件以上のはてなブックマークにもつながりました。
「安定してアクセスがある」記事は初月率が低い
アクセスがある過去記事について、もう少しだけ分析してみましょう。「安定してアクセスがある」とは、どういう状態なのでしょうか?
そのひとつの回答が、初月率という考え方です。初月率は、次のような計算で求めます。この割合が低いほど、記事を公開してから時間が経ってもアクセスされていると言えます。
記事を書いてから最初の1カ月のページビュー数 ÷ 記事を書いてから最初の1年(あるいは半年)のページビュー数
Googleアナリティクスから取得する場合、カレンダーで期間を指定して、「記事を書いてから最初の1カ月間のページビュー数」と「記事を書いてから最初の1年あるいは半年のページビュー数」を取得し、割り算するとよいでしょう。
上記の例は2016年5月31日に書いた記事に対して、「最初の1か月間」と「最初の1年間」という2つの期間をカレンダーで設定して取得しました。初月率は、1306 ÷ 2084
で、63%となります。
筆者の経験上、分母が1年あるいは半年で見たときに、80%を超えると初月率が高く、40%以下なら初月率が低い記事と言えます。例えば、筆者のブログで初月率が低いのは、以下のような記事でした。
初月率が低い記事は「地層」となる
ブログを執筆していると、どうしても新しい記事に目がいきがちです。しかし、ブログへの安定した流入を確保するためには、初月率が低い記事が大切になってきます。話題性や時事性が高い記事は瞬間的にはアクセスが増えるのですが、すぐにその記事は陳腐化してしまいます。
ぜひ、過去の記事をチェックして、安定したアクセスに繋がる地層を積み上げていきましょう。
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※紹介する情報、スクリーンショットは2018年2月16日時点のものです。
執筆者プロフィール
小川 卓(おがわ・たく) @ryuka01
次回予告
次回は「Googleアナリティクス×スクロール計測(読了率)をテーマ」にお送りします。
*1:月間1,000万ページビューまでなど無料の利用できる範囲がありますが、一般のブログ利用者ならこの条件に収まるでしょう。