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はてなブログを書き続けて書籍化した3名と担当編集に聞く、ブロガーから出版へのステップ

はてなブログは、株式会社KADOKAWAさんとブログの書き手支援を目的としたパートナーシップを締結し、書籍化を中心としたプロジェクトに共同で取り組んでいます*1

実際に出版された本は12冊*2。おかげさまで重版となった書籍もあり、多くの方々にお読みいただいています。

今回は、本プロジェクトから出版に至ったブロガーさん3名と、KADOKAWAさまの担当編集者にご参加いただき、オンライン座談会を実施。出版までの道のり、出版後の感想、読者とのコミュニケーションやブログを継続する秘訣まで、詳しく伺いました。内容・趣向の異なるブログを運営している3名の考え方は、これから出版を目指そうとするブロガーの皆さまにとって参考となる内容です!

参加者

レポート

ブロガーが語る書籍化の感想

── まず、出版しての感想を教えてください。

フミコフミオさん 出版してから2年ぐらいになりますが、当時はブログを始めて10年ぐらい経った頃でした。それまで自分のブログを振り返るきっかけがなかったので、まず振り返りができたのが楽しかったです。

フミコフミオさんのブログ「Everything you've ever Dreamed

フミコフミオさん また、個人でブログを書くのとは違って、担当の伊藤さんと話をしながら、新しいブログを作るような感覚が得られたのは良かったですね。

たぱぞうさん 現在のように独立する前にも前職に関わる本を書いたことがあったのですが、専門書だったのであまり売れなくて。磯さんと組ませていただいたら、およそ20倍売れました。

ちゃんとしたプラットフォームに乗って、顧客の母集団が多いところで本を出すと、「ちゃんと売れるんだな」と勉強になりました。中身も良いって言いたいんですが(笑)、販路という意味ではKADOKAWAさんが圧倒的です。そこは意欲につながりますね。

gemomogeさん 私は2021年2月に本を出させていただいたので、まだあまり時間が経っていないですね。もともとInstagramを中心に活動しているのですが、フォロワーさんたちから「本を出してください」という要望を強くいただいていたんです。そこに出版のお話をいただいて、フォロワーさんがとても喜んでくれて。「みんなで本を出せた」という感覚があります

それともう一つ、担当の磯さんが「gemomogeさんを知らない人に知ってもらう」とおっしゃってくださったんですね。Instagramのフォロワーさんにだけではなく、知らない人に知ってもらうための手段として本を届けるということは、新しい視点でした。それがきっかけで私の中でも新しい考えが生まれて、良い本になったかなと思います。

担当編集者の熱意と、編集者・ブロガーのやりとり

── 本プロジェクトは、弊社とKADOKAWAさまで著者の候補となる方を検討し、KADOKAWAさまの編集者の方が「この人と組みたい」と手を挙げる流れで進みます。編集を担当された伊藤さん・磯さんは、どのような経緯で担当に付かれたのでしょうか?

KADOKAWA 伊藤さん まずはこの場をお借りしまして、フミコフミオさん、たぱぞうさん、gemomogeさん、弊社にコンテンツを提供してくださってありがとうございます。フミコさんとは第二弾でも組ませていただくということで、またよろしくお願いいたします。

私がフミコさんの担当編集になった経緯ですが、私がフミコさんに本当に心酔していました。初めてブログを読んだ時、こんな文章を書ける人がこの世の中にいるんだ、という衝撃を受けました。

フミコさんのブログに「密室にとじこめられてます」(2010年1月)という記事があるのですが、僕の周りの人も、この記事を読んでフミコさんのファンになっています。

delete-all.hatenablog.com

KADOKAWA 伊藤さん 中毒性がある文章を書ける人なんだなと分かりました。僕は初めてブログを読んだその日に、他の記事を一気に30本ぐらい読んでしまったくらいで、どうしても一緒にお仕事をしてみたいという気持ちになりました。

実は、はてなさんとのプロジェクトに取り組む2年ほど前に、個人的にお声掛けをさせていただきまして、具体的にお会いする段取りを付けようとしていたんですが、フミコさんが音信不通になられて……。

(一同笑い)

フミコフミオさん 音信不通の件に関しては、申し訳ないと思っております。

KADOKAWA 伊藤さん あとで分かったんですが、その時フミコさんが転職活動で多忙だったんです。

このプロジェクトをやることが決まってフミコさんのお名前が出た時に、あらためて以前私からアタックして一度音信不通になったということを説明しまして、「もう1回アタックしてみたらどうでしょう」とはてなさんに応援していただきました。

KADOKAWA 磯さん 僕は、はてなさんと一緒に著者候補の方を検討するまで、実はたぱぞうさんのことを知りませんでした。「米国株投資」という言葉に引っ掛かってブログを拝見したのですが、非常に分かりやすく読みやすい内容で、資料もしっかりとまとめていらっしゃる。ブログの内容をぱぱっとまとめれば1冊になるな……という考えも頭をよぎりました。

たぱぞうさんのブログ「たぱぞうの米国株投資

KADOKAWA 磯さん でも、ハウツーが書いてあるだけでは、本としては弱い。それに、初めての本であれば、ブログの読者の方々だけではなく、世に広く知らしめてもっと多くの方に読んでもらいたいと考えました。

そして、たぱぞうさんのキャラクターをしっかりと打ち出した内容の本にしたい。やっぱりイチからきちんと構成を考えようと思い、実際にたぱぞうさんにお会いして内容を広げていったという流れです。

gemomogeさんも同じく、著者の検討中に知りました。私は女性向け情報誌に10年以上携わったことがあったので、久しぶりにこういうテーマをやりたいと思い、手を挙げました。

gemomogeさんのブログ「さっさっさっと今日のおやつ」より 「プリンケーキ (固いプリン)」

KADOKAWA 磯さん 一番強く引かれたポイントは、gemomogeさんの写真がとてもきれいなことでした。本当にそそる写真だなと。職業がカメラマンさんであることは後から知りまして、納得しました。

── 編集のお二人からお話がありました。やり取りの中で印象的なエピソードがありましたらお聞かせください。

フミコフミオさん 伊藤さんは、僕がストレスなく仕事ができる環境を整えてくださいました。かなり気を遣っていただいたと思います。とても楽しく進められたのが印象的ですね。

原稿をやり取りしている時は、しっくりこないところを言語化し、厳しいこともはっきり指摘していただきました。飴と鞭で(笑)、ゴールまで一緒に走っていけたのがありがたいと思っております。

たぱぞうさん 磯さんには本当にお世話になっています。2冊目に取りかかっているところなんですが、昨日は夕方の6時から9時半ぐらいまでずっとゲラの見直しをしまして……。磯さんはそれにずっと付き合ってくださるんです。いつも「もう完全に嫌われたな」なんて思いながら作業して、その後に雑談をして「あー、まだ嫌われてなかった、良かった」と思ったり……頭が上がらないです。

gemomogeさん 私は職業がカメラマンなので、やはり写真にこだわりがあります。本が出ると、カメラマンとしては名刺代わりになるため、かなりこだわって撮影しました。磯さんが自由にさせてくださったおかげで制作を進められたと思っています。

ブログを書くことって基本的には個人プレーですよね。私は会社に所属しておらず、普段チームプレーをする機会がありません。私にとってライターさんと編集の磯さんと3人で1つの仕事をやり遂げられた意義は大きいです。チームプレーが苦手、かつ意見をはっきり言うタイプなので、磯さんが本当にうまくまとめてくださって感謝しています。

ブログを継続する秘訣とこれからブログを始める方に向けて

── 皆さんのブログには多くの読者がいらっしゃるかと思います。ブログを始めてから今に至るまでのモチベーションの維持、続け方のスタンスを教えてください。

フミコフミオさん 僕の場合、SNSのフォロワーや読者の数はあまり気にしていません。自分のモチベーションを内製化している感じで、書くことによってそれがまたモチベーションにつながっています。後からTwitterのフォロワー数やはてなブログの読者数が増えていることに気付きますが、周りのブロガーさんと比べてどれくらいの位置にいるかは分からないので、逆にそれで良かったと思います。

たぱぞうさん 私がブログを始めた頃、「毎日書くといい」と誰かが言っていた覚えがあります。それで「そうか、毎日書けばいいんだ」と思ったんですね。そしたら最初の頃から結構読まれたんです。自分が想定していたよりはるかに多いPVでした。

自分の中では資産運用は常識だと思っていたため、自分の考えていることが評価されるとは思いもせず、最初のうちは素直にうれしかったです。ただ、しんどくなる時期もありました。

今では「約束」みたいなものになっているんです。自分のブログに期待してくださる読者さんとの「7時にブログを見に行けば新しい情報に出会える」という約束がある。だから、更新をしないとその約束を破ってしまう気がして、それで続けている感じです。

モチベーションについては、例えばおじさんが職場や居酒屋で「俺はこう思うんだよね」なんて言っても誰も聞いてくれないわけですよ(笑)。ブログであれば、何万人もの人が読んでくれたり反応を返してくれたりして、やっぱりうれしいです。

gemomogeさん 私の場合は、ブログは月に2回更新したら良いぐらいの更新頻度で、1年間放置してしまった時もありました。Instagramでは毎日発信しようと思っていまして、最初にフォロワーさんがすごく増えたときはうれしかったですね。

gemomogeさんのInstagramより

gemomogeさん 実ははじめは、ケーキの写真ではなくお弁当の写真を上げていて、逆に「毎日Instagramに上げるからお弁当を作る」という意識でやっていました。

子供が3人いて、夫は単身赴任で不在なので、今は一人で子育てをしています。密室状態でしんどいというか、ほとんど修行みたいな状況ですね。たぱぞうさんもさっきおっしゃったように、発信するとフォロワーさんが「偉いね」「すごいね」と言ってくれるんです。密室育児からの脱却がモチベーションになります。これからも「しんどい時は発信する」ことは提言していきたいなと思っています。

若い人たちがたくさんフォローしてくださっているので、「結婚して子育てして、楽しく過ごしている人」というロールモデルとして今後も伝えて続けていきたいですね。フォロワーさんからは「ケーキを作って彼氏をゲットしました」というお話などもいただいていて、私自身も楽しんでいます。

── 最後に、これから発信しようとしている人たちに向けてアドバイスがあればお願いします。

フミコフミオさん ブログを書くことはとても楽しいんですが、僕はこれまで、あまりそういう体験を語っていませんでした。僕もいい歳なので、人生の最後に向けて、ブログを始めた人へ「アホな大人がブログをやるとそこそこ楽しい」と伝えていけたらと思っています。

たぱぞうさん 自分の媒体を持つということは、自由を手に入れることにもなるので、やって損はないですよね。自分の個性をエッジとして続けていけば、そこで認めてくれる人が出て花開く可能性がありますよ。

gemomogeさん 私はInstagramが活動の中心なんですが、人の真似をしないでやってみればいいんじゃないかなと思います。自分の一番変なところを突き詰めて、周りに流されずにそこをブルーオーシャンとしてやっていくと、新しい人たちも集まってくるのではないかと。誰かの真似をするのはつまらないですから。

── KADOKAWAさんの方から、今後の展開や、こういう人たちの本を手掛けてみたいといったお話があれば教えてください。

KADOKAWA 伊藤さん フミコさんの本を出版するとファンの方々に届くだろうと考え、第1弾では「エッセイ」という形を取りました。プロジェクトの取り組みを経て、書店では「著者名を隠してでも買いたいと思ってくれるかどうか」が大事だと感じました。

本にお金を払うことと、無料でブログを読むことの間には距離があるので、役立つコンテンツや学び、教育など、その人の強みを引き出すことが必要です。

フミコさんの強みって何だろうとあらためて考え、それは「多くの人の心をわしづかみにする文章術」だと思いました。フミコさんが書くことによって世界観をどう構築していくかを一貫したテーマとして持っています。磯さんが「知らない人にも届ける」ということを言っていましたが、僕もそこを意識しています。フミコさんの強みと読者さんの架け橋になっていけたらと考えています。

今後は、はてなさんのブロガーさんに対しても僕ら編集者が強みを引き出すという点を意識して、取り組んでいきたいと思っております。

KADOKAWA 磯さん たぱぞうさんについては、6月23日に最新刊『米国株で始める100万円からのセミリタイア投資術』が発売されます。株の商品紹介だけで終わらない、生き方・ライフスタイルの提案になっています。

gemomogeさんとは、この冬に向けてチーズケーキに特化した1冊を出したいと考えています。gemomogeさんから、チーズケーキはファンの方からの人気が高いアイテムであると伺いました。その中で小さいものから大きなケーキまで、さまざまなバリエーションを網羅した本にしたいと思っています。

コロナ禍において、「巣ごもり需要」ということがよくいわれますが、いくら巣ごもりでも面白くないものや役に立たないものは売れません。世間の状況にかかわらず、今後もきちんとした本を作っていきたいです。


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