あのころ、私も「まる子」だった。はてなブロガーが語る、さくらももこ作品への思い

週刊はてなブログを運営する「週刊はてなブログ編集部」と、クライアントのオウンドメディア記事を制作する「はてな編集部」が合同でブログを紹介する連載企画「編集部が気になるブログ」。今回ははてな編集部の飯塚が、マンガ家の「さくらももこさん」にまつわるブログを紹介します。

こんにちは、はてな編集部の飯塚です。

私の大好きなマンガ家・作家さんの一人が、「ちびまる子ちゃん」「コジコジ」などの作品で知られるさくらももこさんです。

さくらさんの作品を好きになったのは、小学生の頃にテレビで放送されていた「ちびまる子ちゃん」のアニメがきっかけでした。当時の自分と年が近く、マイペースに生きる「まる子」に自分を重ねながら見ていたように思います。

ちびまる子ちゃんの原作マンガは雑誌『りぼん』で連載されていたのですが、当時の私は実はライバル誌である『なかよし』派でした。しかしどうしてもちびまる子ちゃんをマンガでも読みたくて、たびたび『りぼん』を読むように。その後は大きくなるにつれ、さくらさんが書いたエッセイなどにも興味を持つようになり、シュールさ、かわいらしさ、温かさなどいろいろな要素が混じり合った独自の世界に、どんどんハマっていきました。

さくらさんは2018年に亡くなられ、残念ながら新作を読むことはかなわなくなってしまいましたが、近年も展覧会などが続々開催され、今なおその作品は多くの人たちに愛され続けています。

そこで今回、はてなブロガーさんの「さくらももこ作品」への思いがつづられたエントリーをピックアップしました。

あの時『たいのおかしら』に出会えてよかった

Image: さくらももこがすきだ - 週刊モモ

やみさんは、小学校2年生くらいからさくらももこさんの作品にハマりました。家族旅行で訪れたペンションの共有スペースで偶然出会ったエッセイ『たいのおかしら』をきっかけに、その世界観にのめり込んだそう。中学生時代には「日常の些細な出来事をおもしろくオチをつける」さくらさん風のスタイルでブログを書いてみたこともあるといいます。

また小学校1年生の時に出会った友人とは、「さくらさんのエッセイが好き」という共通点もあって意気投合し、最近でも一緒に「さくらももこカフェ」に出かけたりする仲なのだとか。新しい何かに夢中にさせてくれたり、誰かと仲良くなるきっかけをくれたり。さくらさんの作品はやみさんの人生において、いつもさりげなく寄り添ってくれているようです。

昔はただただ笑いながら読んでいた作品も、大人になった今読み返すと「こういうことだったのか」と気付いたり、今の自分の状況と重ねて元気をもらえたり、また違った思いを抱くことがありますよね。同じく小学生の頃からさくらさんの作品が好きになった私にとって、とても共感できるエントリーでした。

私の中でいろんな思い出が湧き出てくるのがさくらももこで、たまたまあのペンションで、あんなエッセイを書くへんなおばちゃんに出会えたことはほんとによかったなあと今でも思う。

わたしはいろんな本を読んできた方だと思うけど、自分の中で思い出の本を選ぶのなら絶対上位3位にたいのおかしらは入るきがしてる。

さくらももこがすきだ - 週刊モモ

yummy-13.hatenablog.com

『ももこの世界あっちこっちめぐり』で自分の旅を思い出す

Image: いつかガイド付きの旅をしてみたいと思っていた〜「ももこの世界あっちこっちめぐり」 - ひねもすのたり リタイア生活〜衝動的早期退職ひとり

イタリアで暮らすのそらさんは、さくらさんがスペインやイタリア、バリ島などへの旅行について記したエッセイ『ももこの世界あっちこっちめぐり』についてつづっています。

「自分が行ったことのある場所」が作中に出てくるのがうれしかったそうで、写真とともにバルセロナでの旅の思い出を振り返り、また訪れたい場所に思いをはせました。

今後もっと自由に旅ができるようになったら、今度はさくらさんがしたような「ガイドつきの旅」をしてみたいそう。エッセイを読んでからあらためて旅をしてみると、同じ場所でも新たな発見ができそうですね。

また行ってみたい街 バルセロナ。

サグラダファミリアが完成したところを見てみたい。

グエル公園でタイルをじっくり眺めたり

公園のベンチにのんびり座ったりしたい。

ガウディの建築物を見て回りたい。

いつかガイド付きの旅をしてみたいと思っていた〜「ももこの世界あっちこっちめぐり」 - ひねもすのたり リタイア生活〜衝動的早期退職ひとり

hinemosunotarifire.hatenablog.com

私には懐かしく、娘には新鮮な「ちびまる子ちゃん」

続いては、にこたさんがアメリカで子育てをしていた2021年6月に記したエントリーです。当時、日本語学習のために与えた“なぞなぞの本”をきっかけに、長女が「ちびまる子ちゃん」にハマったそう。登場人物についてもっと知りたがる長女とYouTubeの公式チャンネルで一緒に過去のアニメを見るうち、自身も「日曜日の夕方に家族でゲラゲラ笑いながら観ていたこと」を思い出し、懐かしくなったといいます。

そんな中でにこたさんが注目したのは、「『ちびまる子ちゃん』は日本とか日本語、日本の小学校生活、日常生活を知るのに恰好の教材」だという点。子供に安心して見せられるだけでなく、“今どき使わないような日本の言葉”もサラッと出てくるところが、海外在住の身にはとてもうれしく感じたそうです。

にこたさんにとっては子供の頃を思い出す懐かしい作品、娘さんにとっては日本語の楽しさを教えてくれる新鮮な作品として、親子二代で楽しまれている様子がとてもすてきです。

キートン山田氏の、「アンタそれじゃ年末の八代亜紀である」というツッコミは全く意味が分からないとしても、「果報は寝て待て」には、「アッ!今のことわざだね!」と目を輝かす長女を見ると、楽しんで日本語に触れられるコンテンツはこれだったのだと誰かに伝えたくてしょうがない衝動に駆られ、今この記事を書いています。

長女とちびまる子ちゃん - 国語の教員でしたが、アメリカで子育てをして、日本に帰国しました。

nicota-in-us.hatenablog.com

「ちびまる子ちゃん」の世界を構成する、クールさと脱力感

子供の頃からずっと「ちびまる子ちゃん」が好きだというankorisuさんは、表紙を見て即買いしたという書籍『さくらももこ「ちびまる子ちゃん」を旅する』を紹介しています。

さまざまな資料や証言などから作品の世界を紹介する同書の中でも、ankorisuさんが特に注目したのは、さくらさんと親交が深かった作家・吉本ばななさんの言葉。「一見かわいくてあったかくてほろりと来る」ような作品世界に一貫して漂うクールさを「偉大な冷たさ」と呼ぶ文章に、さくらさん・吉本さん両方のファンであるankorisuさんは心を打たれたそうです。

また、作中でまる子とその家族がさまざまなやりとりを繰り広げる「縁側」でゴロゴロする夢があるというankorisuさん。私自身も小学生の時、そんな作中の風景に憧れていことを思い出しました。 

ちびまる子ちゃんの、あの世界全体に漂うクールな批評眼や脱力感。評者は子供の頃から、まるちゃんの家に出てくる縁側にずーーっと憧れている。あの縁側でお日様を浴びながらゴロゴロするのが夢だ。評者の脱力感は、あのアニメで培われたのかも。とんでもないものを培ってしまった。一体どうしてくれるんだろう。

【書評】なんでこんなにちびまる子ちゃんの世界が好きなんだろう。 - パンの耳がすき

ankoro88.hatenablog.com

たまちゃんのお父さんが愛用していた「ライカのカメラ」の行方

最後は、さくらさんが亡くなった2018年8月に、fujiponさんが投稿したこちらのエントリーです。

「ちびまる子ちゃん」がアニメ化されて大ヒットする以前から、さくらさんの作品に魅力を感じていたというfujiponさん。さくらさんの訃報を聞いて、『ももこの21世紀日記 N’04』の中でさくらさんが語った、親友・たまちゃんと15年ぶりに会った時のエピソードを思い出したといいます。

そのエピソードとは、再会したたまちゃんが、お父さんの遺品である「ライカのカメラ」をさくらさんに譲ってくれたというものでした。「たまちゃんのお父さんのカメラ」といえば、「ちびまる子ちゃん」の作中で、いつ何時でもたまちゃんの様子を必死に写真に収めようとするお父さんが使っている、あのカメラ。お父さん自身も作中で描かれることをとても喜んでいたんだそうです。

fujiponさんは胸がじーんとしてしまったというこのエピソードを振り返りながら、さくらさんが残した作品たちについて、「ずっと大事に読み継いでいくよ」と締めくくっています。

本当に、人生って不思議なものですね。
「たまちゃんのお父さん」のライカのカメラを見ていたときの子供時代のまる子は、そのカメラがこうして「形見」として自分の手元にやってくるなんて、想像もしていなかっただろうから。

さくらももこ先生と、たまちゃんのお父さんのライカのカメラの話 - いつか電池がきれるまで

fujipon.hatenablog.com


fujiponさんのエントリーで紹介されている「ライカのカメラ」、以前さくらももこさんの展覧会で実物が展示されているのを見て、私自身とても感動したのを覚えています。マンガやアニメの世界だと思っていた存在が目の前にあるという経験は、実に不思議なものでした。“まるちゃんとたまちゃん”はたしかに存在したんだということ、そして二人の関係がそんなふうに続いていたことに、fujiponさんと同様に一ファンとしてうれしくなりました。

マンガやエッセイ、画集など、たくさんの作品を世に送り出したさくらさん。皆さんの中にもさくらさんの作品にまつわる思い出があったら、ぜひ「#さくらももこ」のタグをつけてブログに書いてみてくださいね。

By 飯塚朋子
Profile

飯塚朋子

京都生まれ京都育ち。エッセイを読むのが好き。