「誰かとつながっている話」を読むと優しい気持ちになれる

週刊はてなブログを運営する「週刊はてなブログ編集部」と、クライアントのオウンドメディア記事を制作する「はてな編集部」が合同でブログを紹介する連載企画「編集部が気になるブログ」。今回ははてな編集部の竹野がはてなブログの中から「誰かとつながっている話」を紹介します。

こんにちは、はてな編集部の竹野です。

私は普通の人の「人生」にまつわるコンテンツが好きで、前回はターニングポイントに接したときの人の思いをまとめました。

このコンテンツの中で「大好物」と言っても過言ではないのが、リアルかネットかを問わず、人生において「誰かとつながっている話」

今回ははてなブログに投稿されているエントリーから、信じられないような出会い、長年にわたって育まれた友情、インターネット上の癒やされるコミュニケーション……などなど、素敵な関係をピックアップして紹介します。

私が「いいな」と思うつながりには、他意のない純粋な気持ち・相手を思いやる気持ちがあるように思います。そうした優しさに触れると、読んでいるこっちまで優しい気持ちになれるんですよ。

【見知らぬ小学生】とのつながり

Image: 見知らぬ小学生にとつぜんエゴマの葉を二枚もらう人生 - 関内関外日記

いきなり、人の姿が現れた。しゃがんでいた子供が、立ち上がったのだ。一軒家の敷地内である。低い塀がある。

そのまま通り過ぎようとすると、声をかけられた。小学校低学年くらいの女の子だ。手に何かを持って、こちらに差し出している。

「エゴマ」

手には葉っぱを持っていた。

見知らぬ小学生にとつぜんエゴマの葉を二枚もらう人生 - 関内関外日記

最初に紹介するのは、「こんなことあるんだ!」と驚いたと同時に、2022年でいちばん心がほっこりしたお話。

シーンが目に浮かんで、いろいろ深読みをしたくなってしまいます。私は「女の子はあげたいからあげただけ」というシンプルな解釈に至りました。子どもの真っすぐな行動が美しい。黄金頭さんがもらった葉っぱをどうしたかも含めて、大好きな記事です。

goldhead.hatenablog.com

【行きつけの店】とのつながり

 あの店で冷やし中華を食べているのは僕だけだと思う。

 そもそも店内に「冷やし中華はじめました」なんて書いてない。

 そんな親切な店じゃない。冷やし中華は、いつも貼ってある壁のメニューの端っこに、いつの間にかそっと増えている。高度な間違い探しで、だから常連であればあるほどその存在に気づかない。常連はメニューすら見ないからだ。でもぼくは去年、気が付いた。ぼくはあの店の常連で、週に3回は通っていて、間違い探しが嫌いではない。

あの店で冷やし中華を食ってるのはぼくだけ - うごく水たまり

外黒えいすけさんの観察力が生んだ、中華料理店の冷やし中華を巡るエントリー。会話が一切登場しないのに、お店と常連との「攻防」のようなものを感じませんか?

私が店主だったら「あのお客さん、よく分かったな(笑)」と、うれしくなってしまいそう。ちょっとした変化に気付くことでつながる。こんな関係性もあると教えてくれます。

sotokuro.hatenablog.com

【幼なじみ】とのつながり

Image: 幼馴染の話 - やわらかい

そして、合間に訪れる無。

私と彼女の間ではいつものことだ。

何も話さない時間。待ち時間中や、どこに行っても携帯を見てたり、ぼーっとしていたり。そんなのくまちゃんを見るたび、私はずっとずっと昔の彼女の横顔をそうして眺めていたことを思い出す。

幼馴染の話 - やわらかい

ブログを紹介するときに、プライベート過ぎてためらってしまうこともありますが……ちょっと悩んで、それでもたくさんの人に読んでもらいたい! と思った素敵な記事です。

丸いさんと幼なじみ・のくまちゃんの付き合いは幼稚園の前からスタート。小・中・高、大学、社会人――二人の成長の記憶と心情描写にグッと引き込まれる。とりわけ、この「私はずっとずっと昔の彼女の横顔をそうして眺めていたことを思い出す」という一文に、育まれてきた優しさを感じます。

今から幼なじみはつくれないし、十数年間も親友のままでいるのも難しい。そう知っているからこそ、二人の関係性に惹かれてしまうものがあります。

maruiinochi.hatenablog.com

【近所の野良猫】とのつながり

Image: 猫がいなくなった。 - Everything you've ever Dreamed

猫がいなくなった。ノラ猫だ。近所の道路や駐車場を歩いていたり、近隣の家の庭や僕の車の下で昼寝をする姿を見かけたオスのキジトラで、尻尾が短くて丸くてお団子みたいだったので、勝手に「ダンゴ」と名付けて呼んでいた。

猫がいなくなった。 - Everything you've ever Dreamed

私も近所の野良猫や地域猫に勝手に名前を付けています。皆さんもきっと、同じような経験があるはず。

フミコフミオさんが勝手に名付けた野良猫「ダンゴ」とのお話は、フミコさんならではのスピード感ある文体でつづられ、徐々に感情がほとばしっていきます。特にダンゴがいなくなった後、似た猫や落ちていたマフラー(!)をダンゴと勘違いして一喜一憂する様子は切なすぎる……。

野良猫が「かけがえのない存在」になっていた、ハートフルストーリー。まだ読んでいない方はぜひチェックを。

delete-all.hatenablog.com

【ネットの人】とのつながり

結局のところ、対面かネット経由かなんてさほど重要ではなくて、きちんと自分で判断すればいいだけのことだ。私は今日会う人に会ってみたいと思っていて、ネット経由の出会いの危険性だとかを差し引いても自分が会ってよい人だと思うからそうする。それだけのことだった。

ネットの人に会いに行くこと - 高等遊民前夜

ツイッターでフォローしている人に会いに行った、~さんのブログ。「ネットの人」に初めて会う日の気持ちをブログに残しています。

世代による価値観の違いやインターネットに救われた経験に触れながら、「ネットの人」に会うことへの考えが整理されている点が興味深いです。自分にとって「ネットの人」って何なんだろう……と考えるきっかけにもなりました。

www.kosehazuki.com

【オンライン】でのつながり

ロックダウンが始まって以来、在宅の仕事しかしておらず、相方や近所の方以外、人と対面することがない。そんな中、仕事相手との、仕事とは関係のない、なんでもないやり取りに癒されることがある。

「日本ではやっと桜が咲きました」

人間らしさがふとこぼれた時に、ぎゅっと距離が縮まるらしい。

人と対面しないからこそ、そういう隙間は空けておきたい。

「孤」であるということ - maimaiomaiのブログ

コロナ禍で日常になったオンラインでのつながり。「なんでもないやり取りに癒されることがある」。アイルランドから(!)発信しているMaimaiさんの感覚、よく分かります。

ちなみに私は、ほっとする会話はもちろんですが、画面越しで伝えられる「荷物が届いたので少し席を外します」といった報告も好き。相手の生活や社会とのつながりを感じるのです。そんな瞬間ありませんか?

maimaiomai.hatenablog.com

【SNS】でのつながり

わたしは誰にも影響しないでひっそり生きていると思っているのだけど、そうでもないんだなと思う。SNSで弱音を吐けば、いろんな人が声を掛けてくれるのはある。その安心感ってあると思う。でも沈黙しても、リアルでも声を掛けてくれるのってすごいな。ものすごく親しいわけでもない。でもすごくいい時に声を掛けてくれる。こういうのは、いいな。わたしもそういうことが自然に出来たらいいな。

ふしぎなつながり - きこえてきたこと

最後はもんさんのこのエントリーを。「ものすごく親しいわけでもない。でもすごくいい時に声を掛けてくれる」。この「ゆるいつながり」の良さに共感しました。

リアルでもネットでも、意外と人は見てくれていると感じるときがありますよね。SNSのテキストで、「いつもどおりだな~」「何かあったのかな?」とその人のコンディションを推し量っていることが私もあります。

人が弱っていそうなときにメッセージを伝えるのはなかなか難しいのですが……記事を読んで、できる人になりたいなと改めて思ったのです。

earthlydesires.hatenablog.com



以上、「つながり」をテーマに7本紹介しました。冒頭で「優しい気持ちになれる」と書きましたが、皆さんは同じような気持ちになれましたか?

コロナ禍で人とのつながりが少なくなって、孤独を感じている人もいるといわれています。私自身もここ数年は対面で人に会う機会が減って、寂しい時期もありましたね。

でも最近は、インターネット上の文章やインターネットでのゆるいつながりが気持ちをまぎらわせてくれていると思うようになりました。

誰かの優しいエピソードが優しい世界の存在を教えてくれて、「人生悪くないな」と思わせてくれる――。そんな気持ちにもっとなりたくて、日々「読者になる」ボタンを押して「購読リスト」を増やしています(宣伝みたいですが本当です)。

ぜひはてなブログで、あなたの「誰かとつながっている話」を教えてもらえるとうれしいです。

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By 竹野雅人
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竹野雅人

はてなスタッフ。出版社、ポータルサイト運営会社を経て、2019年にはてな入社。編集に関わる。