お子さんを持つエンジニアの方、子育て中の自己学習どうしてますか

毎日さまざまな話題のエントリーが生まれるはてなブログの中から「旬な話題」をピックアップする企画「はてなブログで話題」。今回は『エンジニアの子育てと自己研磨』をテーマに記事を紹介します。

2022年10月。IT系エンジニアを中心に「子育てと自己研磨」に関する、とあるエントリーが話題となりました。

子供が産まれて一年半近く経つが、時間が全然取れない。
(中略)
モバイルアプリエンジニアはこの先オワコンになると思っており、上辺だけのエンジニアリングの知識では飯を食っていけなくなりそうな気がする。そのためバックエンドをもっと強くやっていくとか、ウェブフロントエンドなど手を広げたいが全然時間が取れない。

32歳、新しい技術を習得する余裕がなく昔取った杵柄でいつまで食えるか不安です - star__hoshi's diary

id:star__hoshi さんが投稿したこちらのエントリーには、子どもの有無や、職業を問わず、多くの方から意見が寄せられました。

starhoshi.hatenablog.com

子育てと仕事の両立に関する悩みはエンジニアに限ったことではありません。

しかし、トレンド技術の移り変わりが早く、「常に最新の技術について勉強していくことを求められる」というイメージの強いエンジニアにとって、今まで自己学習に充てていた時間が子育てによって大幅に減ることはよく挙げられる悩みの1つ。

実は私の夫もエンジニア。そして我が家には2歳半の娘がいます。まさに「子育て中のエンジニア」な夫も、このエントリーを読んで思うところがあったようです。

深く話を聞いていくと、夫が子育て中に直面した悩みは以下の3つ。

  • 気になるカンファレンスが見つかっても、開始時間が子供のお風呂や寝かしつけの時間とかぶってしまって参加できないことが多い
  • まとまった時間が取れないので、腰を据えてガッツリ勉強することができない
  • 子育てで疲れていても「他のエンジニアはこの時間で勉強しているかも……」と思ってしまい、休んでいることに罪悪感がある

勤めている会社や可処分所得、使用している言語など、それぞれの状況はさまざまなのに、子育てを始めた途端にエンジニアがぶつかるのは同じような壁。

そこで今回はエンジニアの方が「子育てと自己研磨」について書いた記事を紹介します。

そもそもこの悩みの原因ってなんだろう

  • 我々は何に苦しめられているのか?
    • 市場価値が落ちていく恐怖
    • 一方で、これから数十年、子供を養っていかないといけない
    • 子育てによって自分の市場価値が落ちていくが、子育てには自分の市場価値が必要である、という矛盾
生産性への強迫観念を振り払う儀式としての、子育て - マルシテイア

冒頭のエントリーに言及する形でこの悩みをひもといていったのは 天城孝義 (id:amagitakayosi) さん。「育児のしんどさ」や「プログラマーは勉強をしないと死ぬのか」ということをひとつひとつ丁寧に考えながら、「そもそもなぜそういった呪縛にとらわれるのか?」という根本について迫っていきます。

このエントリーでつづられた以下の言葉に、肩が軽くなったという方も多いのでは。

無為な時間も捨てたもんじゃない 適度に頑張って生きていきましょう

生産性への強迫観念を振り払う儀式としての、子育て - マルシテイア

blog.amagi.dev

みんなどうやって勉強してるの?

それでもエンジニアとしての今後の自分の人生を考えたときに、「他の人は自己研磨しているのだから、自分も子育て中とはいえ何かしないと……」という焦りや不安が出てくるのもわかります。

では実際に子育て中ながらも勉強しているエンジニアの方は、どのような工夫をしているのでしょうか。

勉強会にリアルタイム参加するのではなく、必要になったときに情報を追う

勉強会への参加がなくなった。19時開始で子供の世話をすることとあとからYoutubeやスライド見るのを天秤にかけたときに、必要になったときに情報を掘ればよいかという気持ちになった。リアタイで見るよりYoutube2倍速とかできるし

2021年の振り返り - hamburger

kudo (id:burgerham) さんは勉強会にリアルタイム参加するのではなく、必要になったときに情報を追うようになったと言います。

カンファレンスによってはアーカイブを残してくれるものもあるので、そちらを視聴するのも良いと思います(とはいえ「時間ができたら見よう!」と後回しにしていたら、視聴可能期間が過ぎてしまったというのもあるあるですが……)。

hamburger.hatenablog.jp

技術系のYouTubeチャンネルをまとめた kudo (id:burgerham) さんのこちらのエントリーも併せてどうぞ。
hamburger.hatenablog.jp

インプット・アウトプットは、業務中に行う

時間がどこにもないのであれば、今やっている中で何かしていくしかない…とのことで、今年のインプット/アウトプットは業務中に行ったモノが中心になっています。

復職して8ヶ月でのインプット/アウトプット - endless pulse

産休育休中は二児を育てながらもどうにか毎日勉強していた(すごすぎる……!)というえみぃ/Emi Yoshihara (id:glorypulse) さん。

ところが仕事に復職してから自己学習に充てる時間がなかなか取れなくなってしまったとのこと。そこでインプット・アウトプットは、業務中を中心に行うようになったと言います。

こちらのエントリーにある「今年は働くことこそが、私のエンジニアのキャリアを支えるもの…というような動きをしました。」という文章にも、共感したり勇気をもらえる人が多いのでは。

glorypulse.hatenablog.jp

子どもに英語絵本を読み聞かせることで、親も英語力アップを狙う

トーマスやピーターラビットの絵本の文字の多さ・言い回しの難しさに驚きつつ、しかし借りてくる本は一冊なので「難しいから他の本を読もうか」というわけにもいかず。親のほうも徐々に英語絵本の音読に慣れていきました。

子育てエンジニアと子供を巻き込んだ英語学習、我が家ではめちゃめちゃいい感じにワークしているぞという話 - 向上心の足跡

子どもへの英語絵本の読み聞かせを行っていたら、気づかないうちに親の英語力もアップしていた、と書くのは kusuwada (id:kusuwada) さん。

子どもと一緒に勉強できるようになるのは、もう少し子どもが大きくなってからかな……と思っていましたが、これならお互い無理なく一緒に勉強ができそう!

life.kusuwada.com

「人生」の長さを考えて、コツコツ継続するマインドを整える

まとまった勉強時間が取れなくとも、スキマ時間にコツコツ継続して勉強を続けていけば必ず実になる……とわかっていても、しっかり時間が取れないことに対する不安に苛まれたり、継続できない自分を責めてしまうなど、健全なメンタルやモチベーションを保つのはなかなかに難しいものです。

そんな中、 でこくん (id:dekokun) さん はコツコツ続けるための工夫の一つとして、「人生の長さを考える」ことを行っているといいます。

私は今33歳。多分あと40年くらいは仕事をしそうだし、死ぬまではあと60年くらいありそうである。そう考えると、 "まぁ、すぐに芽が出なくても10年後くらいに役に立てばいいか" という気持ちになり、時間がかかりそうだと諦めかけた学びもコツコツと継続することができるようになる。

子育てしながら人生を賭けてちょっとずつやっていく、私の勉強法 - でこてっくろぐ ねお

その他、同エントリーに書かれた「やりたいことをオーバーラップさせる」「不要なことをしない」などの工夫も非常に参考になります。

dekotech.dekokun.info

思い切って「無理をしない」をしてみる

自己研磨は大切ですが、睡眠時間や自由時間をすべてそこに費やすなど、頑張りすぎは体調を崩す原因に。

長期的に考えて今は「無理をしない」という判断も一つの手!

睡眠時間を増やしてみたらQOLが上がった

不安・不満をなんとかしようと色々トライしたが解消するのは不可能だった。 特に「睡眠・余暇時間を削って学習時間を捻出する」は余計にQOLが下がる結果になった。
睡眠時間については自由時間の捻出の為削りがちだったのだが、何かのキッカケで思い切って増やすようにしてみた。
すると、他の何が解決した訳でもないのに(むしろ自由時間は減っているのに)不安や不満がスッと消え去ってQOLが一気に回復した。

【育児中エンジニア】自己学習に使える時間が激減し不安だったがよく寝るようにしたら不安だけはとりあえず無くなった - やる気がストロングZERO

「不安・不満で頭が満たされてしまい、家族でいる時間なのに落ち込んでしまい生活のQOLが下がってしまうことがよくあった」とつづる タピオカ龍太郎 (id:gatsunto-mix) さん。
思い切って睡眠時間を増やしたことで、不安や不満がスッと消え去ったと言います。

yaruki-strong-zero.hatenablog.jp

「持続可能な働きかた」を維持する

状況を冷静に観察してみたときに、いまやるべきことは、以前みたいに直近のお給料を上げるために仕事にばかり力をかけることではなく、この先この3人の子たちを育て、ローンを返しながら、長く安定して働いていられるよう、持続可能な働きかたを維持することだと気付きました。

3児の母として復帰して、子育てとキャリアの両立の焦りを手放した(かもしれない)話 - 猫が吠える

3人目のお子さんをご出産するまでは「母親であることに軸足を置いていたいと思いつつも、仕事を頑張ってお金を稼ぐことに、より力をかけていました(ここでの「仕事」には、エンジニアとして成長するための勉強も含まれる)」という みずき (id:n0mzk) さん。

しかし、仕事に復帰し、以前のように仕事のことばかり考えている余裕がなくなったことから、いまやるべきことは、「持続可能な働きかた」を維持することだと気づいたといいます。

n0mzk.hatenadiary.jp

子育てをしていると、ただでさえ睡眠不足や体調不良になりがち。無理に頑張ることを美徳とせず、次に頑張るための土壌を整えておくという選択も非常に素晴らしいことだと思います。

子どものいる日常

最後にエンジニアブロガーのみなさんが、子どもと過ごした日について書いたエントリーをご紹介いたします。

子どもと一緒にカンファレンスへ現地参加

当日の朝に夫が「晴れているし子どもが可愛いので一緒に過ごしたい」というので、「行くって言ったんだから顔くらい出してきなさい」と返した結果、まさかの家族ぐるみで現地参加になってしまった。

PHPカンファレンス2022 2日め、子連れで少しだけ現地参加してきた - めるノート

2歳のお子さんを連れてカンファレンス現地参加したとつづるのは める (id:c5meg1012) さん。

じっとスライドを眺めるお子さんの後ろ姿がかわいい!

c5meru.hatenablog.jp

赤ちゃんの足置きに技術書を使う

Image: エンジニアパパの2歳までのクリエイティブなDIY育児の記録 - inajob's blog

さまざまな電子工作をしている inajob (id:inajob) さんは、お子さんのために行ったDIY小ネタとして技術書を足置きに使っている赤ちゃんの写真を投稿!適度な厚さが、ジャストフィットしています。

inajob.hatenablog.jp

抱っこしながら仕事

妻の体力が尽きて仮眠し、一方で子は起きてて機嫌わるいので子を抱っこしながら仕事、というパターンもあって、ミーティング中に子が叫んでいたらミュートしながら良いタイミングで発話したりしている。

育休を取得してから復帰するまでのまとめ - hitode909の日記

はてな社員の 炊飯器 (id:hitode909) さんがまとめた「育休を取得してから復帰するまで」のまとめエントリーには、子どもがいる家庭なら誰しも一度は経験したことがありそうなオンラインミーティングあるあるが……。個人的には、オンラインミーティング中に参加者のお子さんの声が聞こえると「ラッキー&ほっこり」な気持ちになります。

blog.sushi.money

炊飯器 (id:hitode909) さんが日記や子育てについて話した、はてなのポッドキャスト「Backyard Hatena」も現在配信中です。
developer.hatenastaff.com



子育てという大きな人生の節目で悩むのは、ごく当たり前のこと。それでもid:star__hoshi さんが悩みを吐露してくれたおかげで、多くの人が再び「子育てと自己研磨」について考え、今回の記事の企画がスタートしました。

たった一瞬しかない育児時間と、その後もずっと続いていく自分の人生。あなたも悩み、日々の発見、ちょっとした出来事。何でも構いません。ぜひブログに書いてみませんか?。



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週刊はてなブログでは、これからも「はてなブログで話題のモノ・ヒト・コト」を紹介していきます。そこで、「実は今はてなブログでこの話題がアツいんです」「こんな記事に背中を押されました」という話題やブログを募集します! リクエストは編集部が読んで、週刊はてなブログで記事にするかもしれません。リクエストフォームからぜひ教えてください!

By 藤野在紗
Profile

藤野在紗

1991年生まれ。ライター 兼 シナリオライター 兼 一児の母です。ハロプロと深夜ラジオと寿司が好き。インターネットのやりすぎで常に眼精疲労と肩こりがひどいです。