弩級の中国SF「三体」を読み切った人が語る、魅力と読破のための工夫

全世界で累計発行部数2900万部を記録*1し、バラク・オバマやユヴァル・ノア・ハラリなど各国の著名人も推薦する中国発のSF小説「三体」シリーズ。

邦訳が発売された2019年以降、はてなブログでは、多くの人がその年に読んだベスト小説の一つとして「三体」を挙げ、「今週のはてなブログランキング」でもたびたび話題に。2021年にシリーズ最終作となる『三体III 死神永生』が発売されて以降、全三部作、5巻にわたる今作を「読了した!」と報告する投稿が後をたちません。

長大なボリュームで、時空間を超越した物語を展開する「三体」シリーズですが、累計2000ページにおよび、なかなか読む決断ができなかったり、途中で断念してしまった、という人も多いのでは? 今回は「『三体』を読破した」ブロガーに焦点をあて、アツい感想はもちろん、読書の補助線となるエントリーや「三体」を読み切るための工夫まで紹介します。

「三体」第一部から第三部までそれぞれの魅力とは?

第一部が一番好き、第二部が一番面白い、第三部が一番すごい

劉慈欣『三体』三部作、ここがすごい - 読んだ木

第一部では地球上で展開された物語が、第二部、第三部では、宇宙や時代を超越した物語へと変容し、強烈なカタストロフを見せた『三体III 死神永生』。ここでは「三体」の各部の魅力を語ったエントリーを紹介します!

すでに歴史的といっていい作品

日頃から映画やアニメ、書籍の感想をブログに書き残している ねりま (id:AmberFeb)さん。「これほどのスケール、これほどの時間・空間的規模にまでこの物語が拡大していくとは、正直いって予想もしなかった」と驚きつつ、今シリーズの著者、劉慈欣に触れながら「特権的な時間・空間に、極めて才能ある書き手が存在したことによる奇跡の産物」と評しています。淡々とした語り口からにじみ出る熱量を感じさせるエントリーです。


読後に読みたい「三体」のすごさ

読了後「第一部が一番好き、第二部が一番面白い、第三部が一番すごい」と感じたという id:tsukikageya さん。第一部から第三部まで、それぞれの「すごさ」を丁寧に解説していて、読み終えた後情報を整理したい、という方にぴったりのエントリーになっています。「20世紀において、これを超える時間的感覚を持ったSFはないだろう」と感慨にふける様から「三体」の衝撃の大きさが感じられますね。


「むむむ……」から「これこそSFだ」に至るまで

第一部『三体』では「……これはちょっとむむむのむ」と違和感を感じたいまむら (id:Imamura)さん。第二部『三体 Ⅱ 黒暗森林』を読んでもその違和感を払拭しきれなかったそうですが、第三部まで読み終えた結果「これこそSFだ。よかった」と大満足。「面白いアイデアが次々に出てきて、ダイナミックなことが起きるたびにスケールが上がっていった」とお墨付きも。あらすじのリンクもまとめられており、第一部、第二部は読んだけれど次はどうしよう、と悩んでいる方にぜひ読んでいただきたいエントリーです。


オーディオブックで「三体」聞いてみた!

読み切るまでに膨大な時間を必要とする「三体」。そこで、オーディオブックをうまく活用して「三体」を読破したはてなブロガーのエントリーを集めました。

iCHi (id:ichieda)さんは今シリーズの「厚み、そして文字量、物理学用語の氾濫」を前に読み終えられるとは思えなかった、と感じたそう。そこで、第三部を読むにあたり、オーディオブックサービス「Audible」を活用し、無事に読了できたそうです。「三体」を読み始めたもののなかなか読む時間がない、と心折れそうな方はぜひ参考にしてみてください。

「三体をAudibleで聞き終えた。本当にすごい。」

シリーズを通して「Audible」で聞いたという id:eshiyaki さん。第一部『三体』を読み「史実に近い過去の世界からある時いきなりバチンって自分たちの住んでる世界ではない方向へと切り替わる」瞬間に感動したそう。「いろんな人に読んでほしいし、人と感動を共有したい」と締めくくっています。

普段SFは読まないけれど……「三体」を読み切ったはてなブロガー

SFってあんまり読まないけれど、「三体」は話題になっているし、気になるという方、少なくないのではないでしょうか? そこで「普段SFは読まないけれど『三体』を読み切ったはてなブロガー」のエントリーを紹介します!

「いつかリアルで誰かと『三体』について語り合えるといいな」

「SF音痴」を自称するごんちゃろ (id:gonzarezmm)さん。今作の面白さはもちろん「おなじみの起承転結が無い」ことや物語が「冗長」であることに触れ、今作の読みにくさをあえて分析しています。読書の補助線となり、読後にも楽しめる「三体感想会」の記事も紹介されていて、"普段SFを読まないけど「三体」は読んだ、あるいは読みたい"という人にとって、背中を押してくれるエントリーになっています。

子どもと通う図書館で自分の世界を広げる

お子さんの成長とともに本を読む時間ができたというぴすけ母 (id:mypi)さん。「SF本初心者マーク」を自称しつつ、全5巻にわたる「三体」を読破し「自分の中の何かが」広がったと感じたそう。お子さんと図書館に通って「コツコツ」と今シリーズを読んでいく描写が素敵です。

他のコンテンツに熱中できない? 「三体」ロスになった人々

許されるならもう一度まっさらな頭でこの壮大な物語を体験したい

あぁ大いなる三体ロス - たくなくの雑記帳

世界規模でのムーブメントを巻き起こし、まさに「SF界の歴史を変えた」作品となった「三体」。読了後「三体」ロスを起こす様子がつづられています。

「もう心にポッカリ穴が開いたような、なんとも言えない感覚」

雑記ブログを運営するたくなく (id:valuask7)さん。読書中に陥った「三体世界に取りつかれたよう」な感覚を思い返し「許されるならもう一度まっさらな頭でこの壮大な物語を体験したい」と願っています。「三体」読了後、なかなか他のコンテンツに熱中できないという状況に共感される方も多いのでは?

「まさに【SF満漢全席】とも呼ぶべき至高のSF料理!」

「グワアアアア物凄かった~~~~~ッ!」と気持ちがあふれる装飾を添えて語るフモ (id:globalhead)さんは、気が付くと他の作品では満足できなくなってしまったということです。ついには「もはやSF料理長・劉慈欣の匠の技にただただひれ伏すのみ!」と劉慈欣にひれ伏しています。


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By 大藤由緒
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大藤由緒

週刊はてなブログ編集部3年目。おおふじよしおと読みます。SF小説と京都が大好き。 築100年の京町屋をリノベーション中。インテリアや部屋紹介の記事をついつい読んでしまいます。