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Webのコンテンツでも勝負できる時代に、ブログを「本」にする価値とは? 編集者・佐々木典士さんに聞く【書籍プレゼントあり】

※キャンペーンは終了しました。たくさんのご応募、ありがとうございました。

「いま書いているこのブログを、本にできないだろうか……?」

そう考えたことはありませんか。はてなブログでは近年、ブログの書籍化や、ブロガーさんの単著出版など、うれしいニュースをたびたび見かけます。いつも読んでるブログで書籍化のお知らせを見かけるたび「どういうきっかけで出版社から声がかかるのだろうか」と疑問に思っていました。

そこで今回は、ブロガーさんではなく、出版社の方にインタビューしました。テーマは「ブログの書籍化」について。

お話しを伺ったのは、これまで“ブログ本”を手がけてきたワニブックスの編集者・佐々木典士さんです。佐々木さん自身もミニマリストとしてブログを書いており、2015年6月に自著『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』を発売しています。

佐々木さんの目に「ブログ」と「本」はどう映っているのでしょうか。

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※佐々木さんが編集した、はてなブロガーの書籍『少ない物ですっきり暮らす』『ミニマリスト日和』『断捨離パンダのミニマルライフ』をプレゼントします。応募方法は記事の最後に書いてありますので、ぜひ最後までご覧ください。

(取材・構成:はてなブログ編集部)

書籍化したいブログに求めるのは「分かりやすさ」

――――佐々木さんがはてなブログのブロガーに本の執筆を依頼したきっかけは何だったんですか。

佐々木 やまさん(id:yamasan0521)とおふみさん(id:mount-hayashi)は、もともと僕の本で「ミニマリスト」として紹介させていただいたんです。自分の本の出版後、世の中にはまだまだいろんなミニマリストがいるから、いろんなバリエーションの本が作りたいと思って、声をかけました。

おはぎさん(id:ohg0524)を含めて、3人ともこのブログなら「本にしてもいけるだろう」という直感がありました。

断捨離パンダのミニマルライフ

断捨離パンダのミニマルライフ

  • 作者:おはぎ
  • 出版社: ワニブックス(2016年2月27日発売)

おはぎさん(id:ohg0524)のミニマリストブログ「モノクロ家計簿」を書籍化。ズボラな生活をしていたおはぎさんが、理想の生活を手に入れるため奮闘する様子を描く断捨離コミックエッセイです。

――その「直感」の理由は何でしょう。

佐々木 やまさんは、まず家の写真がとってもきれいだったんです。もちろんブログの内容も。

実際、話を聞けば聞くほどネタが出てきて、そのどれにも“深み”がある。そういう“深み”のある人は本にしやすいと思います。本の『少ない物ですっきり暮らす』でも、ブログに書いていたネタは半分くらいで、かなり新規のコンテンツなんですよ。

おふみさんやおはぎさんはプロのイラストレーターではありませんが、イラスト自体に人を惹きつける魅力があります。ビジュアルのインパクトはやはり大きいですね。

――「直感」は当たりましたか?

佐々木 はい。ミニマリストブームも相まって、ものによって数万部、昨今の書籍としてはかなりのヒット作です。やまさんは今や3冊の本を出していて、あっという間にカリスマ主婦になりましたね。

少ない物ですっきり暮らす (正しく暮らすシリーズ)

少ない物ですっきり暮らす (正しく暮らすシリーズ)

  • 作者: やまぐちせいこ
  • 出版社: ワニブックス(2016年1月27日発売)

夫と子供2人の4人家族でミニマリズムを実践している主婦・やまさん(id:yamasan0521)初の単著。ブログに掲載されていない記事も大幅に追加した、読み応えのある1冊です。

――3人のブログや、ほかの「書籍化したい」ブログに共通点などはあるのでしょうか。

佐々木 ブログに「テーマ」があって、見せ方が一貫していることでしょうか。一貫性のあるブログは、“本の姿”が見えやすい。雑記ブログや新商品のレビューでは、ブログとしては人気が出るかもしれませんが、いきなり本にまとめるのはやっぱり難しいですね。

うちの会社は、文芸誌を発行していないこともあって、書籍の企画を立てるときにライターやコラムニストに混じって、ブロガーの名前が挙がることも多いんです。編集者はいろんな著者に声をかけていて、企画もたくさん提出します。そうなると、ビジュアルやテーマの「分かりやすさ」って大事なんです。企画書に「このブログの面白さは、実際に3つ4つ記事を読んでみなければ分かりません」と書くわけにはいきませんから。

――なるほど。書店で本に興味を持って手に取る方も、全員がそのブログについて知ってるわけではありませんしね。

佐々木 知っている方が少ないと思います。例えば、おふみさんは、はてなブログではすでに人気がありましたが、当時は決して一般的な知名度があったわけでも、InstagramやTwitterのフォロワー数が多かったわけでもありませんでした。編集者としては、分かりやすい「数字」がない方の企画を立てるのはドキドキものですよ(笑)。でも、イラストの才能があったから、企画会議は一発で通りました。

ミニマリスト日和

ミニマリスト日和

  • 作者: おふみ
  • 出版社: ワニブックス(2015年12月25日発売)

「何もないけど、かわいい部屋」を目指すおふみさん (id:mount-hayashi)。夫とのミニマリスト生活をつづった絵日記ブログを書籍化。

書店で初めて見る人にもインパクトがある本を

佐々木 知名度がなくても、パッと見の“引き”がある人の本は、書店に並んでもインパクトがあるんです。実際『ミニマリスト日和』は、「ブログは知らなかったけど、本屋で手に取ってかわいかったから買った」という読者が多いですね。

――装丁がすごくかわいいですよね。角が丸くなっていて、こじんまりした大きさで。おふみさんがいつも絵日記を描いている「ほぼ日手帳」を思わせるデザインになっています。

佐々木 手帳のようなデザインにしたいというアイデアは、おふみさんからの要望にもありましたし、僕もそうしたいと思っていました。ただ手帳ページをプリントしたような見た目にならないよう、加工もいろいろ工夫して。おかげさまで、パッと見でかわいいデザインに仕上がりました。

――ブログを本にするにも、やはり工夫が必要なんですね。

佐々木 書店に置いたときどう見えるか、初めて見る人にどう映るかはやはり意識しますね。ブログを本にする際、書き下ろしなどの新規コンテンツもある程度収録します。すでにブログの読者になっている方の中には「ブログを読んでいるからいいわ」と感じる方もいますからね。

――読者が多いからといって、売れるわけではない?

佐々木 著者の読者数やフォロワーが本の売れ行きを左右するかと言うと、必ずしもそうではないと思います。何十万人とフォロワーがいる方の本でも売れないことはあります。ブログを本にしたとき、Instagramから写真集を出したとき、Twitterで人気のマンガが単行本になったとき、無料で楽しんでいたそれぞれのフォロワーが1,000円ちょっとのお金を出して買ってくれるかはまた別なんです。

だから僕は、ブログのPVと本の売り上げはそこまで連動しないと思っています。スマホでサクッと読めるようなライトなブログが人気でも、それをそのまま本にできるわけではない。ブログの調子がいいんだったら、わざわざ本にしなくてもいいんじゃないかと思ったりもします。

本は儲けを考えて出すとつらいことも多いですし、ブログより「上」というわけでもない。ブログが上手くいっているのであれば、それでいいんじゃないかなと思います。

「自分でコンテンツを売れる」ことは「本」のハードルを高くしている

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――ブロガーさんから「本を出したいんです!」という売り込みや持ち込みはありますか?

佐々木 意外と少ないですね。今ってKindleなどで「自分でコンテンツを出せる時代」だから。「自分で出す」より「わざわざ売り込む」方が、エネルギーがいるんです。「自分で出せる時代」だからこそ、「本を出すこと」へのハードルを高く感じている人がいると思っています。個人的には、本を出したいと思うなら売り込んでもいいのにと感じています。

――最近はブログなどWeb上の表現も変わっていて、ブログ記事を“自分のメディア”として読ませるサービスがあったり、書籍ではなくWebでコンテンツを販売する人が増えたりしています。そういったサービスと紙ではどう違っていて、今後どう住み分けられていくか、イメージはありますか?

佐々木 基本的には脅威を感じています(笑)。今は、紙もWebもメディアが多すぎる。ブログやSNSを読んでいる間は本が読めないですし、Webと紙はある部分では競合している。

ただ「電子書籍を作って売る」や「Webサービスを通じてコンテンツを売る」など、誰でもできる「やりやすい方向」に行くのは多少もったいないと思うこともあります。編集者が介在するかどうかも大きい。自分で全部決めていいものができることもありますが、出版社に売り込んで、みんなで考えて、練って、よりいいものができる機会もあると思うから。

――紙は手軽ではないし旧来型なやり方だけど、Webで1人で手軽に作るのとは違って、何人かのプロフェッショナルが関与する、ということでしょうか。

佐々木 そうです。本はもうメディアとしては古い存在ですが、まだまだ本になると喜ばれるし、本を出すことがニュースになる。雑誌やテレビも旧来型のメディアですが、そこで取り上げられると話題になる。

本当の意味で広がりを生みたいと思うなら、Webより本の方が「まだ」強みがあると感じます。本屋で情報を探している層は「まだ」確実にいて、そこにはブログやその他のWebコンテンツとはまったく違う「読者」がいる。自分の「読者」だけじゃない人にコンテンツを届けたいと思ったら、やっぱり本がいいんだと思います。

ただ、本を出すという作業は本当に労力に見合わないので「それを超えた何か」を求めるかどうかじゃないでしょうか。

本を出すのは「好きなことを書き続けた結果」でいい

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――佐々木さんは、情報発信の場所としての「ブログ」についてどう思っていますか。

佐々木 今は出版不況で、発売しなくてはいけない本の数が多いこともあって、ブロガーのような、本職のライターでもコラムニストでもない著者が増えています。だからこそ、働きながら文章を書いたりイラストを描いたり、そのままでは埋もれていたんじゃないかという方が自己表現できて、僕たち編集者が探すことができる。そんな場所として、ブログは本当にいいと思います。

この間、「本を出したいんだけどどうしたらいいか?」という手紙が小説の原稿と一緒に届いたんですが、とりあえずブログで発信するのがいいと思ったんですね。「まず発信すること」はとても大事で、その中で表現が上手くなったり、人に伝えやすくなったりすると僕は考えています。

――編集者の視点で、本を出したいブロガーさんへ何かアドバイスはありますか?

佐々木 ブログには、問い合わせフォームや連絡先の記載があるとありがたいですね(笑)。あとはやっぱり、記事で「本を出したい」アピールをした方がいいと思います。見付けたときに「この人は書籍化したいんだな」というのがすぐに分かるので。

ただ、ブログって続けるのが大変だから、まずは気にせずに好きなことを書くことがいちばんだと思います。本になるのは、本人が興味のあることや好きなことを書き続けた結果でいいのではないでしょうか。自分が好きでたくさん続けられるものが、結果として本になればいいですね。

佐々木典士 (ささき・ふみお)

佐々木典士

編集者/中道ミニマリスト

1979年生まれ。香川県出身。学研『BOMB』編集部、INFASパブリケーションズ『STUDIO VOICE』編集部を経て、現在はワニブックス所属。

Twitter:@minimalandism

『少ない物ですっきり暮らす』『ミニマリスト日和』『断捨離パンダのミニマルライフ』をプレゼント

佐々木さんが編集を担当した『少ない物ですっきり暮らす』『ミニマリスト日和』『断捨離パンダのミニマルライフ』(すべてワニブックス)を各3名様にプレゼントいたします。応募方法は、この記事の感想や希望する本の書名を添えてブックマークするだけ。よろしければTwitter連携をオンにしてご応募ください。

応募期間 2016年6月14日(火)~2016年6月27日(月)
賞品・当選者数 『少ない物ですっきり暮らす』『ミニマリスト日和』『断捨離パンダのミニマルライフ』を各3名様
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抽選と発表 応募期間終了後に厳正な抽選を行い、当選ユーザー様の登録メールアドレス宛に送付先情報等を確認するメールをお送りします(取得した情報は本賞品送付用途以外には使用いたしません)。なお、送付先は国内に限らせていただきます。
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