あなたの特別な街はどこですか? 銀座生まれのアナウンサーと、銀座に憧れた作家が語る「俺たちの銀座」【書籍プレゼント実施中】

吉田尚記さんと小野寺史宜さん

※この記事は、株式会社リクルート住まいカンパニー提供によるPR記事です。記事の最後にはプレゼントのお知らせもあります。

在華坊さんの「横浜」、Takiさんの「神楽坂」、メレ山メレ子さんの「池袋」、平民金子さんの「神戸」*1と、これまで数多くのはてなブロガーの「街への想い」を掲載してきたWebメディア「SUUMOタウン」。その初の書籍となる『わたしの好きな街――独断と偏愛の東京』が、2019年12月11日に出版されることになりました。

今回は書籍化を記念して、東京の真ん中「銀座」にひとかたならぬ想いを抱くお二人による対談を実施。一人は、『ひと』や『ライフ』など街に根ざした作品を多数発表してきた小説家の小野寺史宜さん。千葉県出身の小野寺さんは、作品内で銀座の街並みを幾度も描く、大の銀座好き。書籍に寄せた「ノー銀座、ノーライフ――この街に住むことをあきらめない」と題したエッセイには、銀座への憧憬が詰まっています。もう一人は、ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さん。銀座生まれ銀座育ちの吉田さんは、現在もお隣の有楽町にあるニッポン放送に勤務するなど、華やかな銀座の街並みを日常風景としてとらえ、過ごしてきました。

憧れと日常。互いに異なる視点から眺めてきた二人に「銀座」、さらには「東京」への想いを存分に語り合っていただきました。

「銀座っ子」の遊び場はデパートの屋上

── 小野寺さんにとって、銀座はひときわ思い入れの深い街だとお聞きしました。本屋大賞2位に選ばれた『ひと』をはじめ、これまでに執筆された作品にも、印象的なシーンでたびたび銀座が登場していますね。

小野寺 確かに何かって言うと銀座を出していますね。主人公に銀座でバイトさせたり酒を飲ませたり、あるときは結婚をさせたり。なぜそんなに銀座が好きなのか、よく聞かれるんですが、街を好きになるのに明確な理由はないんです。好きといっても詳しいわけではなくて、おいしいお店とかほとんど知らないですし。

それでも、銀座という街は外から来た僕みたいなものをすっと受け入れてくれて、それでいてほうっておいてくれる。いい意味で無機質なところに、僕は居心地の良さを感じるんだと思います。

小野寺史宜小野寺史宜。1968年千葉県松戸市生まれ。千葉市立稲毛高校を経て、法政大学文学部卒業。2006年、第86回オール讀物新人賞を受賞してデビュー。2019年、『ひと』で「本屋大賞2019」2位にランクイン。近刊に、南砂町のワンルームアパートに住む27歳のフリーターが主人公の『ライフ』がある。

吉田 銀座に足を運ぶようになったきっかけは何かあるんですか?

小野寺 もう30年以上前になりますが、大学生の頃に銀座の串焼き屋でアルバイトをしていました。店が銀座六丁目の地下にあって、そこにいると街に根付いているような感覚があった。出勤前のホステスさんや同伴のお客さんがお店に来て、たまにチップをくれたりとか。

吉田 ひょっとしたらその同伴のお客さん、うちの親父かもしれません(笑)。

小野寺 今もそうですが、銀座にはちゃんと夜が残っているじゃないですか。仕事終わりに、店から営団地下鉄の銀座一丁目駅まで外堀通りを歩いて帰るのも好きでしたね。

吉田 なんなら僕も、その頃の小野寺さんとニアミスしているかもしれない。銀座五丁目の泰明小学校に通っていて、まさに外堀通りを歩いていましたから。

吉田尚記吉田尚記。1975年東京都中央区銀座生まれ。中央区立泰明小学校、麻布中高を経て、慶應義塾大学文学部卒業。1999年、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。2011年度「第49回ギャラクシー賞」において「DJパーソナリティ賞」を受賞。アニメや漫画などサブカルチャーに造詣が深く、放送業界随一のオタクとして知られる。

小野寺 実は吉田さんが泰明小と聞いて、うれしかったんですよ。当時からあの校舎は気になる存在でしたから。銀座を歩いていると、目立つじゃないですか。こんな繁華街のすぐ近くにある小学校に通うのって、どんな感覚なんだろうって。通学風景とかも、全く想像がつかないですよね。

吉田 僕の場合は、銀座二丁目の自宅から今のマロニエゲート銀座があるところの横を通り、晴海通りを歩いて通っていました。日中は賑やかなんですけど、朝の7時台はぜんぜん人がいないんですよ。しかも通学路なのに、子どもの数も少ない。

というのも、泰明小には月島や勝どきなど、学区外から通ってくる子も多かったんです。泰明小には不思議なシステムがあって、寄留先(※一時的に住むことができる場所)が銀座の町内にあれば入学できた。僕らの頃は地元の子が3~4割、外から通ってくる子が6~7割くらいでしたね。ちなみに外の子は行儀がよくて、地元の子はガラが悪い(笑)。

小野寺 当時の銀座の子どもたちは、どこが遊び場になるんですか?

吉田 圧倒的にデパートの屋上が多いですね。僕も、松屋銀座にどれだけ通ったか。当時は屋上にペットショップや釣り堀、ゲームセンターがあったんですよ。100円、200円の小遣いをにぎりしめて、そこでずっと遊んでました。

今も覚えてるんですけど、仲良くなった屋上フロア担当のニイヌマさんが、たまにアーケードゲームをパカっと開けて、内緒でクレジットを入れてくれる。そうやって、ただで遊ばせてもらったりもしながら、今思えばオタクへの道をひた走っていたのかもしれない。

制服アルマーニじゃなかった銀座

小野寺 僕らみたいに外から銀座に来ている人間からすると、「銀座に住む」っていう現実感が全くないんですよね。ただ、街を歩いていると実はマンションもけっこうある。

吉田 はい。ワンルームもいっぱいありますよ。

吉田尚記さんと小野寺史宜さんこの日の対談は、銀座六丁目の会議室で行った。どことなくゴージャスな雰囲気が漂う

小野寺 考えてみれば、街なんだから人が住んでいるのは当たり前ですよね。そんなふうに目線が広がってからは、銀座での暮らしの部分、人が住んでいるところを見たくなりました。地名に「銀座」が付くエリアでも、じつは一戸建てもちょこちょこあることが分かってきて、最近はそのあたりを歩くのが楽しいんです。

吉田 僕の実家も銀座二丁目ですから。これは別にお金持ちというわけではなく、単に江戸時代ぐらいからずっと今のところに住んでいるというだけ。小学校の同級生にもこのパターンは多くて、家の1階をお店として貸して、その上に自分たちが住むっていうのが一つのパッケージ。オフィスビルの一番上だけマンションになっているイメージで、うちも家族がギュウギュウになって住んでいましたよ。

小野寺 同級生のみなさんは、今も銀座に住んでいるんですか?

吉田 バブルの時に出ていった人も多いですね。土地の値段がめちゃくちゃ上がって、そのまま売って儲けたケースもあれば、相続税が払えなくなったケースもあったとか。ただ、バブっている人たちもいる中で、僕ら家族はそれとは関係なく淡々と暮らしていました。だから銀座という街を特別に意識することもありませんでしたね。

銀座

さすがに大学生や社会人になると、出身地の話になった時の周囲のリアクションが変わってきて、「銀座って街には(特別な)何かがあるらしいぞ」とは気付いた。それこそ最近だと、「小学校の制服、アルマーニなんでしょ?」なんてことも、しょっちゅう聞かれました。

でも僕が子どもの頃に見ていた風景は、全くそんな感じじゃなかったですから。街はカラスだらけで、あまりにもカラスがゴミ袋をついばむっていうのでゴミの回収時間が変更になったこともありました(笑)。だから銀座はイメージが先行し過ぎているところがあるかもしれない。

小野寺 当時はそこまでブランド街という感じでもなかったですもんね。

吉田 ぜんぜん違いますよ。今でこそ実家の近くの交差点にはシャネル、ルイ・ヴィトン、カルティエが並んでいますけど、僕が子どもの頃は大和証券、東京銀行、三共薬局でしたからね。

東の住人にとっての新宿や吉祥寺はアウェイ

── では、銀座以外で、おふたりが好きな街や気になる街はありますか?

吉田 AMラジオのアナウンサーって、入社して最初の仕事が「街歩き」なんです。街を歩いて、ネタを見つけてくる仕事。何も見つからないと、こんこんに怒られます。僕も東京の私鉄と地下鉄の、ほぼ全駅で取材をしました。

その結果、やはり惹かれるのは銀座に近い東側なんですよ。銀座も東東京の一部ですから。普段、僕は基本的に自転車で移動するようにしているのですが、東側はどこまでも平らなところもいい! 逆に、吉祥寺や中目黒の落ち着かなさといったらない。ジリジリして帰ってきます(笑)。

小野寺 分かります。僕も千葉の人間なので、東京の東側に親しみを感じます。小説の舞台として選ぶのも、イメージしやすい東西線や新宿線、総武線あたりの街が多い。

小野寺史宜さん

例えば、総武線の平井。『ライフ』という小説で舞台にしたんですけど、快速が止まらないので家賃が安いし、荒川沿いで自然環境はいいし、リアルにちょうどいい住みやすさなんですよ。気に入っちゃって、新刊の『縁』やこれから出る『まち』という作品にも平井が登場します。

逆に、西側はまったくイメージできない。『東京放浪』という小説は23区全域の話なんですけど、世田谷や天王洲なんて、かなり頑張って取材しましたから。今のところ、書きたいと思えるのはギリギリ四谷あたりまでですね。丸ノ内線で言うと四ツ谷駅で新宿を感じ始め、その先はアウェイ(笑)。

吉田 東京って日本中から人が集まりますけど、関西出身者は東京の西側に、東北出身者は北側に住むことが多いと聞いたことがあります。人間って、不思議と自分が生まれ育った街に近いところを選んでしまうんですかね。

小野寺 確かに、神奈川の人が町屋や葛飾にわざわざ住むことはあまりない気がします。不思議ですけど、なんでしょうね、あの感覚。

猫のいる街は人間にとっても住みやすい?

吉田 だからけっきょく僕が地縁のない街に引っ越すとしても、やはり東の方を選ぶと思います。京成立石や、京成曳舟駅が最寄りの京島なんていいですね。

昔、京島に2メートルくらいの「おばけサボテン」があるという情報があって、ラジオの番組で探しに行ったことがあったんです。商店街に聞き込みにいったら、午後4時くらいから串焼き屋で飲んでるおっちゃんたちが一生懸命に教えてくれるんですよ。「同じ話ばかりし過ぎて飽きてたから、いいネタができたよ」なんて言ってくれて、大会議が始まる。

吉田尚記さん

結果、そこから徒歩20分くらいの長屋の前にあることが分かると、「歩いていくの大変だから、自転車貸してやるよ」って。無事に発見できてお礼を言いに戻ったら、もうすっかりできあがっている。その時に、ここに住んだら楽しいだろうなと思いました。

小野寺 京成沿線の街って、東東京のなかでも独特のおおらかな雰囲気がありますよね。だらしなくてもゆるされる感じがあるというか。

吉田 そう、京成立石で飲むときは、まったく身なりを気にしなくていい気がするんですよ。なんなんでしょうね、あのゆるさは。なんとなく京成って、アジアっぽいというか。

そういえば以前、タウン誌の編集長に聞いたのですが、「猫のたくさんいる街は、それだけ隙間や路地がたくさんあるってことだから、人間も住みやすいはず」とおっしゃっていて、その意味でも立石は住みやすそう。小野寺さんが住みたい街はやはり銀座ですか?

小野寺 本当にどこでも選べるなら銀座ですけど、所得事情が許さないので(笑)。ただ、できれば銀座まで歩いて行けるところには住みたいですね。歩くのが好きなので、徒歩30分圏内くらいであれば全然苦でもないです。

吉田 だったら築地や入船、新富町のあたりって、今マンションがぼこぼこ立ってますよ。僕の自宅にも、新築マンションのチラシが大量に投函されてます。だいたい『大江戸に住まう』みたいなコピーが付いていて、大江戸ってなんだよ!と毎回思うんですけどね(笑)。

「俺たちの銀座」は銀座の外に現れる

── 小野寺さんの小説には平井や南砂町、町屋など実在の街が登場し、そこでのリアルな暮らしぶりが描かれます。舞台となる街を選ぶ基準はあるのでしょうか?

小野寺 小説で描く街を選ぶ基準は、やはり僕自身が住みたいと思えるかどうかだと思います。これまで舞台にした街も、暮らしぶりをかなり具体的にイメージした上で決めました。その街を実際に歩いて、主人公が住む家も実在のアパートを設定する。すると、そこから駅まで何分かかるとか、途中に商店街やすき家、銀行があるとか、いろいろ分かるじゃないですか。そうやって書いていると、その街自体を掘り下げることが楽しくなってくるんですよ。

小野寺史宜さん

だから、いつか銀座で生まれ育った人間の話を書くのが、めちゃくちゃ楽しみなんです。今イメージしているのは、泰明小学校から銀座中学校に進んだ男の話。それもあって、吉田さんの泰明小時代のお話は、とても興味深かったです。

吉田 リアルな銀座の小説、個人的にすごく読みたいです。正直、小説のなかの銀座って、過剰に美化されたフィクションの世界だと感じてしまうことも多いんです。小野寺さんの『ひと』という小説は、南砂町での生活がすごくリアルで、めちゃめちゃ「住んでるな」って感じがするじゃないですか。ああいう、「フィクションじゃない銀座」の物語をぜひ読んでみたいですよね。

ちなみに、みんながイメージする銀座って、やっぱり銀座4丁目だと思うんです。和光本店がある交差点の、あの有名な風景。でも、僕が銀座らしさを感じるのはそこじゃなくて、京橋側から見た景色です。京橋1丁目のところからだと人があまりいなくて、銀座の目抜き通りが一番綺麗に見える。でも、あそこは「銀座の風景」としては絶対に使われないんですよね。

小野寺 僕が好きなのも、四丁目から先の派手ゾーンじゃなくて、その手前の地味ゾーンなんですよ。あのへんは、歩くのもいいですよね。日本橋の方からおりてきて、だんだん銀座の街が近づいてくる。むしろ街の中にいるよりも、銀座を感じられる場所だと思います。

吉田 そうなんですよ。先ほど小野寺さんがおっしゃったような“自分の街感”を一番感じられるのは、あそこだと思います。だからやっぱり小野寺さんには、あのへんを舞台にした本格銀座小説を、ぜひ書いてほしいです。銀座で財を成した男の話とか、そういうのはもうお腹いっぱいなので(笑)。

吉田尚記さんと小野寺史宜さん

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取材・文/榎並紀行(やじろべえ)
撮影/小野奈那子
編集/はてな編集部

*1:平民金子さんに寄稿いただいただ「ごろごろ、神戸」も、神戸市広報課で連載された「ごろごろ、神戸2」「ごろごろ、神戸3」とともに書籍化決定。12月10日に発売。詳細はこちら