あなたは何冊読んだ? 「2021年ベスト本」を振り返る!

毎日さまざまな話題のエントリーが生まれるはてなブログの中から「旬な話題」をピックアップする企画「はてなブログで話題」。今回は「2021年ベスト本」をテーマに記事を紹介します。

皆さん、本は読んでいますか!

はてなブログの週間ランキングには、本を紹介するエントリーがよく登場します。ということは、「本を読みたい」と思っている方はきっと多いはず。ブックマークした記事で紹介されていた本、読んでいますか?

そんなあなたのためにこの記事では、はてなブログに投稿された「2021年のベスト本」に関する記事を紹介します。

たくさんの本を読んだブロガーが選んだ「ベスト本」。あなたも読んでみませんか?

ノンフィクション

【科学】『彼らはどこにいるのか 地球外知的生命をめぐる最新科学』

『彼らはどこにいるのか』の原題は「The Contact Paradox」で、我々は地球外生命体を見つけたら接触したい、しかし、実際に接触したら、相手には敵対的な意図がある可能性もあるし、意図がなくとも未知のウイルスの伝播などでお互いに危機的な状況に陥る可能性もある──と、接触に伴うジレンマとその可能性を検討していく。我々は接触すべきか、それとも引き篭もっているべきなのか?

2021年に刊行され、おもしろかったノンフィクションを振り返る - 基本読書

2021年に刊行された本のうち、自身が読んだ「200冊ぐらい」から「特におもしろかった・記憶に残った」11冊を振り返る 冬木糸一(id:huyukiitoichi)さん。『三体』など、SF作品においてもホットなテーマである「地球外生命体との邂逅」を科学的に扱う『彼らはどこにいるのか 地球外知的生命をめぐる最新科学』(河出書房新社)を紹介しています。

「読むとその射程の広さと分析の精密さに驚くだろう」という一冊。目次を見ただけでも「エイリアンは地球人に親切か」など、非常に気になる問いが立てられています!
huyukiitoichi.hatenadiary.jp


小説

【海外文学】『エルサレム』

読書会を開催したので、エルサレム休暇をとって3回ほど読んだ。この小説は、重ねて読みたくなる小説だ。初読時「よくわからんがすごい」と衝撃を受け、「多層的な作品だから読書会向き」と思って読書会をひらいてまた読んで、読書会中にも読んで、そのたびに発見があった。

【2021年まとめ】海外文学の新刊を読みまくったので、一言感想を書いた - ボヘミアの海岸線

「これだけ新刊まみれになるのは人生はじめての経験だった」という ふくろう(id:owl_man)さんは、国ごとに選ぶ「アイ・ラブ・ベスト本」の1冊に、ポルトガルの小説『エルサレム』(河出書房新社)を挙げます。

3回読んで「そのたびに発見があった」という本書。そんな本をみんなで読む読書会、とても楽しそうです。真似します!
owlman.hateblo.jp


【SF】『私たちが光の速さで進めないなら』

今年知った小説家だけれど、とても好きな作家になった。世界SF作家会議で、キム・チョヨプが話す話がいちばん情景が鮮やかで鋭い視点だったので、気になって短編集を買ったのだけれど、これがドストライクだった。SFで繊細な感情を描いて、肯定して、この世界を生きていくための何かをくれる作品。

2021年良かったものを思い出せる限り - on the road

id:aoccoon さんが小説のベストに挙げたうちの1冊は、SF短編集『私たちが光の速さで進めないなら』(早川書房)。

宇宙という大きな舞台のなかで「繊細な感情を描いて」いるという本書について、「この世界を生きていくための何かをくれる作品」だと語ります。
aoccoon.hatenablog.com


【国内文学】『春の雪 ―豊饒の海・第一巻―』

ある日ふとたっぷりとした豊かな日本語を読みたくなって目についたこの本を買ってみたら、あまりのすごさに仰天してしまった。銀座の鮨屋へ行き、鮪のおいしいところくださいな、とお願いして、熟達した職人が握ってくれた大トロの鮨という感じ。

2021年読んだもの・いくつかの記録 - くじけない巧みな猫

id:yr00mtさんは、2021年に読んで印象深かった本に三島由紀夫の『豊饒の海』(新潮文庫)を挙げました。「この時期の三島由紀夫に書けないものはないのではと思うほど、あまりにも緻密に巧みに何もかもを書き尽くしている」と、その筆致への驚きを記します。名著といわれるような本はやっぱりすごいと思わされる感想です。
yr00mt.hatenablog.com


新書・教養

【ハウツー】『ライティングの哲学』

冗長さを恐れず、完璧に仕上げなければという恐れを捨てて、「書かないで書く」スタイルはいかなるものか。机の前で毎日同じ時間に粘るだけが書くことじゃないと、「書くこと」への固定観念を変えてくれた本。

2021年の7冊 - こけし日記

こけし(id:kokeshiwabuki)さんが「今年読んで一番面白かったかも」という、『ライティングの哲学』(星海社新書)。「喋って書く人とか対談の起こしとかで書く人はちゃんと書いてないんじゃとか思ってたけど、自分の頭が硬かったなと思った」と、自分のライティング観に起こった変化を語ります。

9月の特集でも取り上げた本書。ブロガーの皆さんにぜひ読んでほしい1冊です!
kokeshiwabuki.hatenablog.com


【教養】『ディスタンクシオン(NHK 100分de名著)』

私達が自分で選び取ったと思っている趣味や好きな物は、実は環境によって規定されている側面もあるということ。私がこんなにも読書が好きなのも、小さい頃から読書を是とする環境に身をおいていたからかもしれない。

53冊から選ぶ2021ベスト4冊 - 夜とラムネ

4冊のベストのなかにNHKテキスト・100分de名著『ディスタンクシオン』(NHK出版)を選んだ minato(id:yjam026)さん。「生まれる場所は選べないのにそれである程度何かが決まってしまう」ことについて、改めて重みを感じています。

「ベスト」に本書を挙げているブログも多かったほか、解説を担当している岸政彦さん編『東京の生活史』(筑摩書房)に関する投稿も多く見られました。
yjam026.hatenablog.com


ちなみに、わたしが2021年に読んで一番おもしろかったのは『魚食の人類史』(NHK出版)。見どころ(読みどころ)は、タイトルに「魚食」とあるのに、読んでも読んでも人類が魚を食べるようにならないところ。魚を食べはじめたのは、人類史レベルで考えるとつい最近だそうです。


はてなブログで話題になっているモノ・ヒト・コトを募集しています

週刊はてなブログでは、これからも「はてなブログで話題のモノ・ヒト・コト」を紹介していきます。そこで、「実は今はてなブログでこの話題がアツいんです」「こんな記事に背中を押されました」という話題やブログを募集します! リクエストは編集部が読んで、週刊はてなブログで記事にするかもしれません。リクエストフォームからぜひ教えてください!

弩級の中国SF「三体」を読み切った人が語る、魅力と読破のための工夫

全世界で累計発行部数2900万部を記録*1し、バラク・オバマやユヴァル・ノア・ハラリなど各国の著名人も推薦する中国発のSF小説「三体」シリーズ。

邦訳が発売された2019年以降、はてなブログでは、多くの人がその年に読んだベスト小説の一つとして「三体」を挙げ、「今週のはてなブログランキング」でもたびたび話題に。2021年にシリーズ最終作となる『三体III 死神永生』が発売されて以降、全三部作、5巻にわたる今作を「読了した!」と報告する投稿が後をたちません。

長大なボリュームで、時空間を超越した物語を展開する「三体」シリーズですが、累計2000ページにおよび、なかなか読む決断ができなかったり、途中で断念してしまった、という人も多いのでは? 今回は「『三体』を読破した」ブロガーに焦点をあて、アツい感想はもちろん、読書の補助線となるエントリーや「三体」を読み切るための工夫まで紹介します。

「三体」第一部から第三部までそれぞれの魅力とは?

第一部が一番好き、第二部が一番面白い、第三部が一番すごい

劉慈欣『三体』三部作、ここがすごい - 読んだ木

第一部では地球上で展開された物語が、第二部、第三部では、宇宙や時代を超越した物語へと変容し、強烈なカタストロフを見せた『三体III 死神永生』。ここでは「三体」の各部の魅力を語ったエントリーを紹介します!

すでに歴史的といっていい作品

日頃から映画やアニメ、書籍の感想をブログに書き残している ねりま (id:AmberFeb)さん。「これほどのスケール、これほどの時間・空間的規模にまでこの物語が拡大していくとは、正直いって予想もしなかった」と驚きつつ、今シリーズの著者、劉慈欣に触れながら「特権的な時間・空間に、極めて才能ある書き手が存在したことによる奇跡の産物」と評しています。淡々とした語り口からにじみ出る熱量を感じさせるエントリーです。


読後に読みたい「三体」のすごさ

読了後「第一部が一番好き、第二部が一番面白い、第三部が一番すごい」と感じたという id:tsukikageya さん。第一部から第三部まで、それぞれの「すごさ」を丁寧に解説していて、読み終えた後情報を整理したい、という方にぴったりのエントリーになっています。「20世紀において、これを超える時間的感覚を持ったSFはないだろう」と感慨にふける様から「三体」の衝撃の大きさが感じられますね。


「むむむ……」から「これこそSFだ」に至るまで

第一部『三体』では「……これはちょっとむむむのむ」と違和感を感じたいまむら (id:Imamura)さん。第二部『三体 Ⅱ 黒暗森林』を読んでもその違和感を払拭しきれなかったそうですが、第三部まで読み終えた結果「これこそSFだ。よかった」と大満足。「面白いアイデアが次々に出てきて、ダイナミックなことが起きるたびにスケールが上がっていった」とお墨付きも。あらすじのリンクもまとめられており、第一部、第二部は読んだけれど次はどうしよう、と悩んでいる方にぜひ読んでいただきたいエントリーです。


オーディオブックで「三体」聞いてみた!

読み切るまでに膨大な時間を必要とする「三体」。そこで、オーディオブックをうまく活用して「三体」を読破したはてなブロガーのエントリーを集めました。

iCHi (id:ichieda)さんは今シリーズの「厚み、そして文字量、物理学用語の氾濫」を前に読み終えられるとは思えなかった、と感じたそう。そこで、第三部を読むにあたり、オーディオブックサービス「Audible」を活用し、無事に読了できたそうです。「三体」を読み始めたもののなかなか読む時間がない、と心折れそうな方はぜひ参考にしてみてください。

「三体をAudibleで聞き終えた。本当にすごい。」

シリーズを通して「Audible」で聞いたという id:eshiyaki さん。第一部『三体』を読み「史実に近い過去の世界からある時いきなりバチンって自分たちの住んでる世界ではない方向へと切り替わる」瞬間に感動したそう。「いろんな人に読んでほしいし、人と感動を共有したい」と締めくくっています。

普段SFは読まないけれど……「三体」を読み切ったはてなブロガー

SFってあんまり読まないけれど、「三体」は話題になっているし、気になるという方、少なくないのではないでしょうか? そこで「普段SFは読まないけれど『三体』を読み切ったはてなブロガー」のエントリーを紹介します!

「いつかリアルで誰かと『三体』について語り合えるといいな」

「SF音痴」を自称するごんちゃろ (id:gonzarezmm)さん。今作の面白さはもちろん「おなじみの起承転結が無い」ことや物語が「冗長」であることに触れ、今作の読みにくさをあえて分析しています。読書の補助線となり、読後にも楽しめる「三体感想会」の記事も紹介されていて、"普段SFを読まないけど「三体」は読んだ、あるいは読みたい"という人にとって、背中を押してくれるエントリーになっています。

子どもと通う図書館で自分の世界を広げる

お子さんの成長とともに本を読む時間ができたというぴすけ母 (id:mypi)さん。「SF本初心者マーク」を自称しつつ、全5巻にわたる「三体」を読破し「自分の中の何かが」広がったと感じたそう。お子さんと図書館に通って「コツコツ」と今シリーズを読んでいく描写が素敵です。

他のコンテンツに熱中できない? 「三体」ロスになった人々

許されるならもう一度まっさらな頭でこの壮大な物語を体験したい

あぁ大いなる三体ロス - たくなくの雑記帳

世界規模でのムーブメントを巻き起こし、まさに「SF界の歴史を変えた」作品となった「三体」。読了後「三体」ロスを起こす様子がつづられています。

「もう心にポッカリ穴が開いたような、なんとも言えない感覚」

雑記ブログを運営するたくなく (id:valuask7)さん。読書中に陥った「三体世界に取りつかれたよう」な感覚を思い返し「許されるならもう一度まっさらな頭でこの壮大な物語を体験したい」と願っています。「三体」読了後、なかなか他のコンテンツに熱中できないという状況に共感される方も多いのでは?

「まさに【SF満漢全席】とも呼ぶべき至高のSF料理!」

「グワアアアア物凄かった~~~~~ッ!」と気持ちがあふれる装飾を添えて語るフモ (id:globalhead)さんは、気が付くと他の作品では満足できなくなってしまったということです。ついには「もはやSF料理長・劉慈欣の匠の技にただただひれ伏すのみ!」と劉慈欣にひれ伏しています。


はてなブログで話題になっているモノ・ヒト・コトを募集しています

週刊はてなブログでは、これからも「はてなブログで話題のモノ・ヒト・コト」を紹介していきます。そこで、「実は今はてなブログでこの話題がアツいんです」「こんな記事に背中を押されました」という話題やブログを募集します! リクエストは編集部が読んで、週刊はてなブログで記事にするかもしれません。リクエストフォームからぜひ教えてください!

ブログとも題材似ている? 三十一文字 世界を切り取る「短歌」の世界

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五・七・五・七・七の31音からなる「短歌」。

心情から風景、社会風刺、創作まで、短歌の題材はブログとも共通しています。もし同じことを1000字で表現できるのであれば、読みごたえのあるブログ記事になりそうです。

しかし、それを31字に圧縮するときに選択される展開や立ち上がってくるイメージこそが短歌なのであり、日記にふと1行書かれるような瞬間を捉えて逃さないのが歌人なのでしょう。

はてなブログにも、たくさんの短歌が投稿されています。

愛犬になったつもりで詠む「犬短歌」や、「まぼろし」となってしまったコロナ禍以前の社会、そして【】(隅付き括弧)から感じるリアリティ、明らかに異質な見た目の「LINEデコ文字短歌」など、個性あふれる25の短歌をピックアップしてご紹介します!

はてなブロガーの短歌 25選

id:ohnosakikoさん

あたらしい首輪は軽い 拘束と愛の違いをだれか教えて

あたらしい首輪は軽い 拘束と愛の違いをだれか教えて - ohnosakiko’s blog

犬口マズル(id:dog_muzzle)さん

誰一人マスクをしないまぼろしのトーキョーを見る映画館にて

読売歌壇・年間賞をいただきました - とこしえの夜

救済措置(id:qusai_sochi)さん

だるそうなはるかぜが冬のすきまに吹くことは、愛ではないね。二月

だるそうなはるかぜが冬のすきまに吹くことは、愛ではないね。二月 - 最悪なインターネット

八月(id:hazukikose)さん

リモコンを持って外出してしまい見てごらんなさいこれが世界よ

吉報 - 高等遊民前夜

箱庭(id:sherry-0221-m)さん

うわついた風に誘われ咲くのか桜さまざまな夢の罠

淡々かつ粛々とこなす日々を「元気だよ」と言う。 - TABASCO

むらめぐ(id:megu828mura)さん

夜更けて「【立体音響!】波音」がつま先につくる波打ち際だ

#tanka(2020.04.17〜2022.01.14) - ひとりごと

たろ(id:HA_YO_NERO)さん

新築のラブホを建てた人がいて 部活サボった日とかがあって

1月のご短歌 「ひゃっけ」 - 誰も口癖を知らない

なつめ(id:yggiaff)さん

味噌行きは給料低いが安定、と人気あるらし大豆の進路

「うたの日」68日目までのまとめ - yume no ukihashi

id:umiwotadayou さん

身体より車のほうが操れる車のままで生きてゆこうか

アクセルとブレーキ - umiwotadayouのまいにち下書き

四(id:sigong4)さん

就職ができたら家に降ってくる やがて 千疋屋 桃 おいしい

#tanka 2/28 - 夜の2時でも公転したい

id:komugikokomeko さん

生活にサンタが入りこむ頃の息の白さは少し足りない

第33回文学フリマ東京に参加しました - コムギココメコ

id:youko510 さん

移り来て他所者と言はれし四十年前 今よそ者は三百世帯

母の短歌 - みほようこの日記

フジワラです(id:fujiwarachandesu)さん

神だって平和を願っているらしい 推しのいいね欄のキリル文字

ヒーリング (短歌10首) - フジワラブログ

まこと(id:manoseka)さん

くんくんと鼻をきかせてコーヒーの気配がするまでずっと起きない

2022-03-05から1日間の記事一覧 - 日記と短歌

id:F-BLOG2 さん

かげひとつ 街のなかから掬いあげ いま左手の森に投じる

短歌日記2 - 回転草の旅日記

深澤うろこ(id:fukasawauroko)さん

「非日常」を求めた先にも「日常」があるのだ無人販売の芋

パラレルの朝(短歌) - いつか聞いた話のつづき

ふーか(id:kasaharafuka)さん

謙り慣れた社員が死んだ目を輝かさせていただいている

あいうえ音頭 - おぼえたうたをうたうみたいに

金森さかな(id:shiroiyoru)さん

惑い箸とがめるほどの仲じゃなく眼鏡の縁に興味を変える

第六十七回角川短歌賞落選作『吹きさらしのクマ盗難計画』 - あこがれ

id:mdsmmr さん

人生におけるホテル・カリフォルニアの後奏に似た時間について

連作『叶わなくてもよかった夢のひとつとして』 - 不死身

id:hashi_716 さん

階段や横断歩道を行きながらふいに零れるチヨコレイト

log:202202 短歌 - scrap

消尽(id:yamashinagogo4)さん

揺れているオレンジに照る快速が就活生と2月を運ぶ

2月の月詠「オレンジピールをひとりで食べる」短歌14首 - 消尽の日記

あいお(id:icecreamrion)さん

カーテンが半分開いていて朝に私が存在していた証

自作短歌11首 - アイスクリームと獅子

id:bercriber さん

僕だけの光の行方としてこの瞳 三分探す下の句

歌人には賞味期限があるのか? - bercriber’s diary

reiko(id:ponceaux)さん

半分のわたしはきっと喧騒の旧市街をまだ彷徨っている

最近の感じ - 目的地来て雲