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Google Discoverからの読者が短期間で激増。新日本プロレス専門ブログ「NJPW FUN」が1年で急成長した理由

NJPW FUN


プロレス団体「新日本プロレス」のファンブログである「NJPW FUN」が、開設から1年で飛躍的な成長を遂げています。ブログがスタートしたのは2018年8月。それから2ヶ月目で月間30万PVとなり、約1年後の今はその3倍以上の規模になっているそうです。

「NJPW FUN」が短期的にここまで読まれるようになったのは、「Google Discover」の影響が大きいとのこと。訪れるユーザーのうち、全体の約8割がGoogle Discover経由だといいます。

Google Discover……Googleがコンテンツを提供する仕組みの一つ。Googleの利用データや過去の検索キーワードなどをもとに、ユーザーが興味のある、あるいはユーザーにとって有益である可能性が高いトピックをアプリやブラウザへ自動的に表示する。
Discover を使用して、興味のあるトピックの最新情報を受け取る - Android - Google 検索 ヘルプ
Google Discover - Search Console ヘルプ

「NJPW FUN」の運営者である編集者・ライターの川野優希さんに、ブログ運営の背景について伺いました。はてなの外部スタッフでSEO専門家の辻正浩さん( id:t-w-o )によるGoogle Discoverの解説もあります!


「NJPW FUN」の運営者・川野優希さん
「NJPW FUN」の運営者・川野優希さん。
好きなプロレスラーは新日本プロレスの矢野通選手

「読みたい」と言ってくれた最初の1人がいたからブログを始めた

――「NJPW FUN」を始めたきっかけについて教えてください。

始めたきっかけは、2016年に、僕が以前勤めていたアニメイトラボ(現アニメイト)でWebメディア「アニメイトタイムズ」の編集長を務めている内田幸二さんから「Amazonプライム・ビデオの『有田と週刊プロレスと』が最高に面白いから見てみて?」と勧められたことです。

『有田と週刊プロレスと』は、くりぃむしちゅーの有田哲平さんとタレントの倉持明日香さんがゲストを迎え、プロレス雑誌「週刊プロレス」1冊をテーマに語るだけの番組なのですが、見始めたら本当に面白くて。有田さんの話術にハマり、そこからプロレスに魅了されてしまいました。そこからは元々プロレスや格闘技が好きだった同僚を含めた3人でプロレスの話をするようになったんです。

――試合からハマったわけではないんですね。

はい。そして、完全にハマった後は、数ヶ月先の展開までも妄想するような話を、よくしてたんですよ。その後、アニメイトラボを退職してしばらくして、内田さんから「川野さんの話をもっと聞きたいし、ほんとに面白いのでブログ書いてみたら!」と言われまして。それで自分の中に考えを溜め込むのではなく、親しい人に向けてどこかで発信してみようと。ブログを読んで感想をくれる人が他に数人いるのは分かっていたので、気楽に始めました。その時に「毎日更新する」と決めました。

「NJPW FUN」トップページ
「NJPW FUN」トップページ

――川野さんは編集・ライターが本業とのことですが、本業ではないメディアでの毎日の情報発信は大変ではなかったですか?

確かに最初は腰が重かったのですが(笑)、VRミステリーアドベンチャーゲーム「東京クロノス(MyDearest)の宣伝と、いくつかのメディアで記事の企画や編集、執筆に関わり続けているので、ストレスはそんなに感じません。

――書くことに慣れていると毎日書けるのでしょうか。

いえいえ、毎日となると、さすがに楽じゃないです。実際に、継続することは始めること以上に難しいと感じます。それでも、無理矢理ネタをひねり出してでも書いています。

好きなことを書けばブログ継続の力になる

――なぜそこまで“毎日更新”にこだわっているのでしょう。

大きく2つの理由があります。

まずは、NJPW FUNを好きになってくれたファンの方がいること。次に、自分の大好きな新日本プロレスのエース、“100年に一人の逸材”棚橋弘至選手がTwitterで反応してくださったことです。

――まずはブログのファンができたことについて教えてください。

NJPW FUNのTwitterアカウントは、約1年前のブログ開設と同時に作ったため、最初はソーシャルメディアでの知名度は全くない状態でした。

でも、今では1,000人以上がフォローしてくださっています。記事の更新をお知らせするだけのアカウントになってしまっているんですが、記事で読者の方とコミュニケーションを取っているつもりです。読者の方には本当に感謝しています。

――棚橋選手の反応についてはどう感じましたか?

これは心からうれしかったですね。ふとしたタイミングで『仮面ライダークウガ』*1を全話見返す機会がありまして、なんだかオダギリジョーさん演じる主人公・五代雄介と棚橋弘至選手が重なって見えたんです。

www.njpwfun.com

危険と隣り合わせでも笑顔でサムズアップできる五代雄介のヒロイズム。そして、自分を犠牲にしてでも新日本プロレスの再興に尽力してきた棚橋弘至選手は本当にすごいプロレスラー。そんな2人の生き方・戦い方――そんな内容の記事を書いたところ、読んでくださったようで、「#ありがとう😊」というハッシュタグ付きのツイートまでしてくださいました。

この時は素直に「ブログを書いていて良かったな」って思いました。すぐにスクリーンショットを撮って、友人に送りまくりました(笑)。

Google Discoverからの流入が突然増えた

――Google Discoverについてお聞きします。Google Discoverからの流入が増えたと分かったのはアクセス解析からですか?

はい。ブログの開設時にGoogle アナリティクスやGoogle Search Consoleなどのツールを導入していました。

ブログを始めて2週間後くらいたった頃、いきなり同時接続数(ある瞬間に同時に接続しているユーザー)が200を超えていまして。

ソーシャルメディア経由でもないし、Googleの検索結果経由でもない。「何だこれは!?」と調べてみたら、Google Discoverに「NJPW FUN」の記事が掲載されていたんです。その時期以降、ほぼ毎日Google Discover経由でのアクセスが発生するようになりました。

――何か工夫をされたからでしょうか。

いいえ、僕はGoogle Discoverのアルゴリズムに詳しいわけではないですし、小手先で狙って簡単に掲載されるものだとも思っていません。ただ、ブログ開設の際に意識したのは、以下の3つでした。

【1】独自ドメインあるいはサブドメインのブログサービスを使う
【2】ジャンルを特化させつつ、トレンドを意識する
【3】キーワードを盛り込みつつ読まれる文章を書く

▼ SEO辻のワンポイント解説

SEO辻正浩さん突然ですがこんにちは。SEO専門家の辻正浩(id:t-w-o)と申します。

Google Discoverは、多くの人にブログを読んでもらう上で重要な要素の一つになりました。はてなブログでこのアクセスが得られるよう、「フィード」と呼ばれていた数年前から調査を続けていまして、今では多くのはてなブログへGoogle Discoverからのアクセスが得られるようになっています。

Google Discoverに表示されやすくするには、早期に検索されるようにするなどのシステム面の配慮と、サイト・記事としての配慮の2面が必要です。

システム面ははてなブログであれば問題ありませんので、以降はサイト・記事として役立つポイントを解説してまいります。

【1】独自ドメインあるいはサブドメインのブログサービスを使う

――【1】の意義は何でしょうか。

これは単純な理由です。独自ドメインまたはサブドメインのサイトの方が、読む人にとって分かりやすいと思ったからです。

Google Discoverはユーザーの好みにあったサイトの記事をレコメンドしているため、明確に独立したサイトの方が結果的に有利になったように感じています。

▼ SEO辻のワンポイント解説

SEO辻正浩さん川野さんは最初「njpwfun.hatenablog.com」というサブドメインでブログを開始されましたが、その段階でも、Google Discoverからのアクセスが毎日1,000PV以上ありました。

確かにGoogle Discoverは「ユーザーが好きなテーマの記事」だけでなく「ユーザーが好きなサイトの記事」を表示しがちですので、サイトをテーマごとに分けておくことは有効と考えられます。

【2】ジャンルを特化させつつ、トレンドを意識する

――【2】についてはどのような工夫をされていますか?

Google Discoverに掲載され始めてからは、ある程度トレンドを追い、時事性を失わないことも大切だと思いながら記事を書くようにしています。

幸い、新日本プロレスは年間140以上の試合を行っているため、シリーズ中に話題は事欠きません。そういった面でも「新日本プロレス」というジャンルと相性がよかったのでしょうね。

▼ SEO辻のワンポイント解説

SEO辻正浩さんPixelシリーズなど一部のAndroid端末からGoogle Discoverを利用されている方は、以下の画面のような「興味、関心」を確認できます。これは私の画面ですが、ご覧の通り「新日本プロレス」というテーマをGoogleが認識しているとわかります。

辻正浩さんGoogleは「新日本プロレスに興味のある人」と「新日本プロレスについて書かれた記事」を識別して、それらをつなげることができるのです。

ただ、「興味・関心」で表示されるテーマについてむやみにブログで書けばいいのかというと、そういうわけではありません。私の画面でいえば「ジョルノ・ジョバァーナ」の魅力ある記事を毎日書き続けるのは難しいでしょうし、書けたとしても読み続けてくれる人は少ないでしょう。

「1ブログ1テーマ」で、毎日語っても語り尽くせないテーマである「新日本プロレス」を選ばれたからこそ、他のブログ・記事よりも相対的に有利になり、爆発的なアクセスを継続して得られています。

もし試してみたい場合は、自分が書きたい記事とGoogleが認識できるテーマの両方を踏まえて、どのような内容にするか考えてみるといいかもしれません。

【3】キーワードを盛り込みつつ読まれる文章を書く

――【3】は、いわゆる「検索上位を狙うために記事に検索キーワードをたくさん入れる」記事とは性質が異なるのでしょうか。

似てはいますが、その意義は違うと考えています。僕の場合は、プロレスに特化したブログならではの専門性を高めるために、記事に欠かせない言葉を盛り込むことを意識します。例えば、以下のように「選手名を略さずにきちんとフルネームで書く」「“二つ名”と呼ばれるものもしっかりと書く」などですね。

  • オカダ・カズチカ選手……「IWGPヘビー級王者」“レインメーカー”オカダ・カズチカ選手
  • 内藤哲也選手……「IWGPインターコンチネンタル王者」“制御不能なカリスマ”内藤哲也選手
  • 矢野通選手……「CHAOS」“敏腕プロデューサー”矢野通選手
f:id:hatenablog:20191015164212j:plain:w500

2019年9月17日の記事。川野さんが好きな棚橋選手に関するコラム

――確かに、プロレスファンの方に親しまれている二つ名を紹介するのは重要ですね。

こうしたプロレスに関連するワードをキッチリと盛り込むことは、単純にSEOとしても有用です。そして、それ以上に大切なのが「記事が熟読されたか」だと考えています。

――「熟読」を重視するのはなぜですか?

読者がしっかり読んで満足してくれたかどうかについて担保されていなければ、Googleが良いプロレスの記事としてサジェストされないと考えています。そのため、僕は最低でも2,000文字以上書いています。

読者が最後までスルスルと読んでくれるようなクオリティを維持しつつ、毎日更新する。基本的にはこの点を押さえるように心掛けていますね。たまに思いのまま猛烈に長い記事も書いたりしていますが……。

――「読者の満足」についてはどう判断されているのでしょうか。

Google タグマネージャを使って、スクロール量を見ています。「NJPW FUN」の場合、40〜60%までスクロールされれば記事の全文を読んだことになります。目安として60%〜70%を目指すよう、記事内容や小見出しなどを工夫しています。

また、記事中にはアイキャッチも必ず入れています。これもこだわって損はないところだと思います。

キレイな写真があればベストですが、僕は記事タイトルに関連する見出しの画像を設定しています。せっかくGoogle Discoverにピックアップされても、ユーザーの目に留まらなければ記事を書いて届ける意味がありません。

▼ SEO辻のワンポイント解説

SEO辻正浩さんここが一番重要で、一番難しいところです。読者を満足させられる記事でなくてはGoogle Discoverに表示されません。

Google Discoverでアイキャッチ画像などを参考に多くの人が選び、しっかり読んでくれたら、さらに多くの人に表示されるようになります。それが続けば、毎日のように表示されるようになるのです。

これを実現するためには、想定する読者に伝わる記事を書くことが必要です。

詳しい人は、ぜひ川野さんのようにスクロール率を調べてみてください。こちらに解説記事もあります。
ただ、そこまで計測しなくても読者に伝わる記事を書くことは可能です。

一度「NJPW FUN」の記事や自分が読みやすいと思った記事をしっかりと観察してみてください。興味をそそる書き出しや見出し、文章などに、読者のための細かい配慮が散りばめられていることに気づくはずです。

ぜひそれらを参考に、読者に伝わる記事を考えてみてください。

2019年4月頃からGoogle Search Consoleに「Discover」の項目が実装されましたよね。そこで、Google Discoverに掲載された後にどんな記事が特にクリックされたのか、注視してみるといいと思います。

タイトルの内容なのか、文字数なのか。テーマなのか。いろいろな角度から分析することで、Googleが「ユーザーのために提供したい」と判断するようなサイトになっていくのではないでしょうか。

▼ SEO辻のワンポイント解説

SEO辻正浩さん川野さんのような地道な作業を続けることが、Google Discoverからの流入を増やすために一番必要なことです。ぜひGoogle Search Consoleから確認してみてください。

さて、ここまでGoogle Discoverからブログにアクセスを集める方法を解説してまいりました。まとめますと、必要なことは下記の4点です。

Google Discoverに適性のあるシステムを使う
Googleが認識できるテーマを選ぶ
読者に選ばれるタイトルとサムネイルを意識する
選んでくれた読者を満足させる記事にする

システム面以外では、一言で表せる話かもしれません。

「読者が読みたいテーマを、読者が読みやすいように提供しつづける」

ブログを始めて、誰にも紹介されず、Twitterアカウントも持たず、バズにも頼らず、もちろんスパム行為も行わず、2ヶ月目で月間30万PV達成。そのようなことはこれまではあり得ませんでしたが、Google Discoverでそれは十分にあり得ることになりました。

「良いテーマで読者の興味に沿った記事を書いていれば、すぐに多くの読者が得られるかもしれない」という、新しいブログの世界が始まったといえます。

全てのブログで実現できる事ではないでしょう。ただ、今ブログで主に書かれている内容がGoogle Discoverでよく見かけるテーマであれば、読者目線での配慮を十分に行うことで、すぐにたくさんの読者に読まれるようになるかもしれません。

ぜひGoogle Discoverを意識することで、新しい読者との出会いにチャレンジしてみてください。

ブログを書き続けた1年間を振り返って

――「NJPW FUN」を書いてきた1年間の感想をお聞かせください。

当初の「情報発信」という目的を果たしつつ、多くの方が喜んでくださるブログになったことはうれしいです。

僕のブログが読まれて各種の数字が伸びるということは、新日本プロレスが盛り上がっている証明にもなると思います。その「盛り上がっている実感」を得るためにも、今後も継続して記事を出していきたいです。公式の情報以外での盛り上がりに貢献できればさらにうれしいですね。

今はInstagramやYouTubeなど、情報発信ツールとしては動画が主流になってきていると感じますが、単純な情報量だけで比べれば、僕は文章の方に軍配が上がると考えています。

f:id:hatenablog:20191015164223j:plain

――文章で発信しようと思った時に、「うまく書けない」と感じる方もいるかと思います。その点について何かアドバイスがあれば教えてください。

僕がいろいろな方から教わったのは、文の良し悪しよりも、文から伝わる熱量の大切さです。文章力なんて関係ありません。ご自身が興味の薄いものについて書こうとすると、どうしても途中でつまずきがちになりますので、その点は好きなものだけを書く形がいいと思いますね。

――最後に、ブログで情報発信することを考えている方に向けてアドバイスをお願いします。

自分が発信したいと思った時に、情報発信の手段について選択肢を持つことが大切だと思っているんです。それが文章でも動画でも、音声でもいい。自分が好きな伝え方で自分が好きなものを伝えていくことが、自分自身にとってプラスになると思います。

「これが好きだ!」「ここが素晴らしい!」という内容であれば、同じ趣味の方は共感してくれますよね。その結果、新しいつながりやさらに面白いものが生まれていく気がしています。

せっかく時間を使ってブログを書こうとするのであれば、一人でも多くの人の目に触れた方がうれしいですよね。そのためには、記事の届け方も大切になってくると思います。今回お話しした記事の書き方が、ブログを書く方にとって少しでも参考になればうれしいです。

川野優希id:yukikawano5963

川野優希

キャリアデザインセンター、アニメイトラボを経てフリーランスへ転身。その後、2019年4月にMyDearestへ加入。エンジニアやビジネスサイドの編集記事を担当しつつ、声優ユニットやアーティストなどの企画、編集、執筆を手がけてきた編集者。現在はMyDearest株式会社にてVRミステリーアドベンチャーゲーム「東京クロノス」、次回作「Project MEGALiTH (仮)」の宣伝プロデューサーを務める。
ブログ:NJPW FUN
Twitter:njpwfun (@njpwfun1) | Twitter

*1:2000年1月~2001年1月放送の「平成ライダーシリーズ」1作目。