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“全世界に公開していいメモ帳”のスタンスで書くブログが誰かの助けになる【エンジニアのブログ探訪】

週刊はてなブログ【エンジニアのブログ探訪】

はてなブログで技術に関するブログを書いている方に、“ブログを書き続けること”について教えていただく企画「エンジニアのブログ探訪」。第4回は、「Lean Baseball」の中川伸一さんid:shinyorkeに登場いただきました。

エンジニアのコミュニティやネット上では“野球エンジニア”としても知られている中川さんは、2014年から、Pythonを用いた開発やデータサイエンス、趣味である野球データ分析、エンジニアのキャリアなどについて幅広くブログに書いています。

精力的にアウトプットを続ける中川さんに、ブログのテーマ設定や実際の記事の企画・執筆などについて伺いました。

※取材はメールインタビューで実施しました

中川伸一さんのブログ「Lean Baseball

──ブログを始めたきっかけについて教えてください。

6年ちょっと前(2014年)ごろにふと、「エンジニアとして体験したこと、覚えたことを全世界に公開していいメモ帳として書こう」と思って、今のブログを始めました。

ブログの立ち上げは、当時毎月20日に開催されていた「ハツカソン」というオンラインイベントで、勢いで行いましたブログの最初の記事が20日(ハツカ)なのはそのためです)。Twitterで進捗報告をつぶやきながら作業するイベントで、ブログの立ち上げと最初の記事の執筆までできたのは、よい思い出です。

──ブログにはどのようなことを書いていますか?

技術系のブログ記事では、

「自分で手を動かし試した・作った・学んだ開発ネタ」

を基本としています。具体的には、

  • 大好きな野球を「データサイエンス」「客観的なFACT」で分析した結果と考察
  • 自分が必要なツールやサービスを自作するといった「個人開発
  • 技術本・データサイエンス本の書籍紹介を通じた「学んだことの言語化」
  • 個人開発および仕事で学んだ技術トピックス
  • これらの結果で動いたキャリア(転職)の話

といったブログ記事をよく書きます。

ブログの名前「Lean Baseball(No Engineering, No Baseball.)」は、「Lean Startup」と「野球」をかけ合わせた造語なのですが、ブログで書いていることは「技術」「野球」「キャリア」が中心で、基本的にブログの名前と何かしら関係性があります。

仕事以外の「野球データ分析」「個人開発」を常にしているので、ブログのネタは常にストックされています。

ブログの企画やネタ探しで、特定のブログやエンジニアの記事を参考にすることは全くと言っていいほどありませんが、主にデータエンジニアや個人開発という視点で共通点が多い@yuzutas0さんのブログが好きで、記事のテーマや切り口から学ぶことが多いです。

──ブログを書き続けてきた中で苦労したことはありますか?

ブログ関係の苦労話ですと、やはり「何を書くか?(ネタ探し)」が大きいですよね。

まず「何を書くか?」ですが、

仕事以外の「野球データ分析」「個人開発」を常にしているので、ブログのネタは常にストックされています(大切なので二度言いました)。

なので、ネタ探し・企画で苦労したことはありません。

具体例を挙げると、昨年(2020年)は個人開発に関する記事を3本書きました。そのきっかけになったのは、「自分に必要な情報を通知するSlack Botがほしい!」という個人開発です。プロダクトは3月に開発がほぼ終わり、その後12月までに以下の記事を書いています。

この話題についてはこれで打ち止めと言いたいところですが、「どんなプログラムで動かし、実現したのか?」の話はまだ書いていないので、きっとまだこのネタで執筆できると思います。

また、勉強会やカンファレンスでのイベント・登壇があると、それに合わせて開発したり、データサイエンティストとして実験をしたりするので、ブログのネタは面白いように溜まります。

ネタ探しに苦労されている方はぜひ、以下のことを試してみるといいと思います。

  • エンジニア(データサイエンティスト)として何か好きなことを全力でやる
  • 好きなことをプロダクトにしたり、外で発表したりする
  • 全力でやったこと、プロダクトのこと、発表したことをテーマ別に書いてみる

自然とシリーズものの記事にもなりますし「書かなきゃ!」という流れができます。

こんな感じで、ネタはいくらでも思いつくのですが、ホントに苦労しているのは、「いつ書くか?」だったりします。「企画と執筆をする時間が足りない」ということでは、以下の点で常に悩んでいます。永遠のテーマ感すらあります……。

  • 記事としての具体的な企画
  • 文章を書いたり、必要な素材(グラフ・写真など)を用意したり
  • 「企画」と「文章・素材」を進めるための「ヤル気」と「時間」の調達

──苦労されている「企画・執筆」はどのように進めるのでしょうか?

企画については、「よっしゃ書こう!」と思い立ったらすぐに、「タイトル」「見出し」「絵図などの素材」を下書きとして書き出します。

昨年(2020年)書いた「個人開発のプロダクトにおけるクラウド料金のはなし - GCPの年間コストをランチ一回分に抑えた話」というエントリーを例に挙げると、こんな下書きからスタートしました。

実際の下書きの一部

最初にタイトルとストーリーを下書きで作っておくことで、続きの「執筆」作業をやりやすくし、「ヤル気」が到来したらすぐ書けるようにしています。

──ブログを書くために工夫していることがあれば教えてください。

執筆そのもののテクニックやよく使うサービス・道具の選び方はこちらにまとめています。

技術ブログを支える技術 - エンジニアのための「愛されるブログ」の書き方と勘所|中川 伸一/シニアエンジニア|note

過去にWebメディアの仕事をしていたことがあるので、その時の経験を生かしたテクニックや道具選びをしています。

心身のリラックスというか、気負いすぎないように気をつけていることとして、

自分が書きたいことを書く、他のブログや人は気にしない

と決めています。

自分のブログは先述の通り、あくまでも「全世界に公開するメモ帳」なので、他のブログや他の人を気にしないよう(比べないよう)にしています。

とはいえ、「良い記事を書きたい」という気持ちも強いので、

  • 過去の自分の記事を何度も読む
  • エゴサーチを行い、コメントや反響をチェックする
  • これらで学んだことを次の記事に生かす

といった「ふりかえり」をたまに行い、「過去の自分より良い記事を書く」ための工夫をしています。

──ブログを書いていてよかったことは何ですか?

よかったことはたくさんありますが、絞ると以下の2つかなと思っています。

  • 自分と読んでくださった方のキャリア・仕事に好影響を与えている
  • 忘れた頃に自分の記事に助けられる

まずキャリアの話では、ブログを書き始めて今日までの6年間で5回の転職を経験したのですが、いずれもブログや他のアウトプット(登壇など)の成果や経験が生きました。

ちょっと昔に「野球の世界で働くエンジニアになるぞ」を目標にしていた時期があったのですが、約3年ずっと野球データ分析に関するブログの執筆や発表を続けた結果、目標のキャリアをつかむことができました。

shinyorke.hatenablog.com

また、ブログを読んでくださった方の感想で「記事を参考に勉強した結果エンジニアになれました」「学習の参考になりました、仕事にできそうです」などのフィードバックをいただくこともあります。

現職のJX通信社では、会社のテックブログ(JX通信社エンジニアブログ)だけでなく、自分のブログ記事をきっかけに興味を持ってインターンとしてジョインし、活躍された方もいます。

「全世界に公開していいメモ帳」というスタンスでやっているブログですが、読まれた方の助けになったり、キャリアチェンジのきっかけになったと聞くととてもうれしいです。これがもし「自分だけの個人メモ」だった場合は決してできない体験なので、ブログをやっていてよかったと思います。

また、自分自身が過去のブログ記事に助けられることが頻繁にあります。

例えばデータサイエンスに関する業務を行う際、よくpandasというライブラリを使うのですが、自分で書いたこの記事に自分が助けられたことが何度もあります。

shinyorke.hatenablog.com

一度やったことはブログに書き残し、あえて忘れることによって新しい知識を仕入れるようにしているので、こうした好循環が生まれる時はものすごくうれしいです。

──執筆時の様子について教えてください。

執筆する場所は、自宅の書斎と外のカフェ・ビアバーが半々です。執筆する時間はまちまちですが、最近は休みの日の午後〜夜が多いです。

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自宅の書斎の様子

自宅の書斎には画面がたくさんあるので、参考になる資料・サイトを読みながら試行錯誤したり、グラフや絵図といった素材を作りながら執筆したりという作業を行うことが多いです。画面がたくさんあると作業によって使い分けができるのでやっぱり便利です。

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自宅に引きこもりっぱなしの作業がとても苦手なので、外のカフェやビアバーで作業する事も多いです。外での作業は、ブログの企画を考える、文章を一気に書く・推敲するといった集中作業でよく使っていますし、何本かのブログは外で執筆してそのまま公開しています。

ブログを書く際のドリンクは日中コーヒー、夜はお酒が多いですね。お酒を飲みながらの執筆は余計なことを考えずにスラスラ書けるので好きです。作業中に音楽を聴くことはほんのたまにありますが、今のシーズンだとメジャーリーグやプロ野球のネット中継を流しながら執筆することが多かったりします。

──これまでブログを続けられたのはなぜでしょうか?

自分が手を動かし、学んだことを公開し反響をもらうことによりもっと成長したい!

という「自学自習のループ」を大切にしているからかなと思っています。図に描くとこういう感じです。

知見をブログというメディアで公開することにより、いろいろな反響・ご意見をいただき、そこから学んで再びブログに書く。この繰り返しで自分のキャリアは前に進みましたし、ブログを読まれた方から感謝されるなど、ブログを書いたことにより開けた世界や成功体験があったので、続いているんじゃないかなと思います。

もちろん成功体験だけでなくいくつかの失敗や反省もありますが、これはこれで自分が成長する・新しいことを学ぶヒントとなっているので続けるモチベーションにつながっています。

また、執筆ネタという視点では、冒頭で紹介した通り「技術」「野球」「キャリア」とテーマを絞っているため、継続がしやすいのかなと思っています。

「このブログでは技術・野球・キャリア以外は原則書かない」と決めていましたし、今もそうしているので、この一貫性が執筆する自分に続けるモチベーションを与え、ブログを読んでくださる方々にも安心感を与えているのかなと思います。

お話を伺った人:中川伸一さんid:shinyorke

中川伸一

株式会社JX通信社のシニアエンジニアとしてプロダクト開発からデータサイエンスまで色々やっている人。個人としては技術顧問や野球データサイエンティストとして活動しています。

Twitter:@shinyorke
ブログ:Lean Baseball

◆ エンジニアのブログ探訪

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