『君たちはどう生きるか』感想・批評エントリーまとめ。「母」はどう描かれていた? 作品には宮﨑駿監督自身が描かれている?

毎日さまざまな話題のエントリーが生まれるはてなブログの中から「旬な話題」をピックアップする企画「はてなブログで話題」。今回は映画『君たちはどう生きるか』にまつわる記事を紹介します。

2023年7月14日に公開された映画『君たちはどう生きるか』。

スタジオジブリ・宮﨑駿監督による10年ぶりの新作である本作は、あらすじやキャスト、予告映像などの事前情報がないまま公開日を迎え、注目を集めています。

公開初週の劇場で『君たちはどう生きるか』を鑑賞したはてなブロガーの皆さんは、どのような感想を抱いたのでしょうか。

近年公開された映画の中でもトップクラスの多さで投稿された感想・批評エントリーの中から、編集部が気になった記事をピックアップしてご紹介します!

好み・評価は割れる作品?

初週からたくさんの記事が投稿されていますが、作品に対する評価は割れているようです。「圧倒された」「最高だった」と語るエントリーも多い一方で、「よく分からなかった」という感想も多数ありました。

週刊はてなブログ編集部の体感では、絶賛2:がっかり3:よく分からなかった5、といったところでしょうか。映画の内容をじっくり整理して、ゆっくり考えながら書かれているように感じるエントリーが多いのも印象的でした。

冒頭から精密な芝居と大量の人間の動きに圧倒された。どちらも宮﨑駿監督作らしさ(と私が思っているもの)を存分に発揮していていきなり泣いてしまった。

君たちはどう生きるか 見たよ - カメのしっぽ

kame7802kame.hatenablog.com


映像的にも後半になるにつれて見せ場がなくなり、どうにも消化不良な印象。せめて最後、崩れゆく世界を魅力的に描いてくれたりしてくれればと思ったんだけど、そういうサービス精神はもう宮崎駿には無いのか。

『君たちはどう生きるか』 感想 - 月記

type-100.hatenablog.com


「母」というテーマについて考える

感想・批評の中では「母」というテーマに注目して書かれたエントリーが目立ちました。

作品中では、姿を変えながら何度も主人公の目の前に現れた「母」。印象的に描かれたその存在については、いろいろな角度から考えることができそうです。

でも、主人公と幼い母親は気兼ねなく抱き合うことができる。ここは異論あるだろうが、苦難を共にした友達だからだ。俺は全体通してここのシーンが一番グッと来て、「母親もしょせん他人で、他人同士として親愛の情を結ぶことができる」みたいな話だと思って、「お前それ分かるのに80年かかったなぁ!!」て笑い泣きしちゃったんだよね。

ネタバレ配慮ゼロ『君たちはどう生きるか』感想文 - ←ズイショ→

zuisho.hatenadiary.jp


庵野は母の存在をミサトに担わせ、息子のために犠牲になる母親を描きました。宮崎は母の存在を少女に変えて、彼女もまた好きに生きたというように描きました。どちらも恣意的で、明らかに男性の視点から作られた母像ではありますが、好対照でした。

宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」 - キリンが逆立ちしたピアス(ブログ版)

font-da.hatenablog.jp


そういう視点で母親を失った眞人の気持ちをトレースしてみると、
僕にはある悪意というか「人に言えない恥ずかしいこと」が思い浮かぶ。
それは「新しい美人のお母さんを、お母さんとして受け入れたい」
という気持ちだ。
うがった見方だろうか。

宮崎駿が宮﨑駿として描いた「少年」ーー「君たちはどう生きるか」感想 - 山田胡瓜@kyuukanbaのブログ

kyuuri.hatenablog.com


宮﨑駿監督自身を描いていた?

作品に登場する人物や世界について、宮﨑駿監督自身やスタジオジブリになぞらえた解釈を試みる記事も多数投稿されていました。

引退宣言を撤回してまで制作された10年ぶりの新作ともあって、読み込める要素はたくさんあるようです。

この創造主をめぐる仕掛けに、まさに世界の創造主として君臨してきた宮崎駿という作家の、ある種のあきらめがにじんでいるような気がした。

創造主の挫折、砕けた世界の欠片―—宮﨑駿監督『君たちはどう生きるか』感想 - 宇宙、日本、練馬

amberfeb.hatenablog.com


たしかに宮崎駿を思わせるキャラクターが登場して、主人公に選択をもとめる局面もある。物語の中心で異界と現実をむすぶ塔をスタジオジブリの隠喩と読むことはたやすい。宮崎駿が魅力的に描いてきた飛翔する存在も、醜悪で危険な怪物として描かれる。しかし作家が観客を教え導く構図にはならない。

『君たちはどう生きるか』 - 法華狼の日記

hokke-ookami.hatenablog.com


はてなブロガーが語る『君たちはどう生きるか』

ここ数年でも例を見ないほどたくさんの感想・批評エントリーが書かれている『君たちはどう生きるか』。

以下には、詳しく取り上げることができなかったブログをご紹介します。

映画を見て気になった点や、自分では気付かなかったことについて、ブログを読んで考えてみませんか?


“もう子供でもわかるようなまっすぐな映画は作れないのかと思うと、少し寂しい気もする”
【ネタバレあり】映画「君たちはどう生きるか」感想 - 湖底

“母の聖性がこれでもかと強調されて”いた
君どう感想 - わたいりカウンター

“自身が母性を抱えた少女に比べ、少年は親離れし難い存在なのだ”
少年とアリス-『君たちはどう生きるか』(2023) - 映画へ

迷い込んだ世界は、宮崎駿が創ってきた世界だと思う
7/12-7/17 - 鎹

“人は一冊の本で変わることがある”
一冊の本が人生を変えることがある──宮崎駿最後の映画「君たちはどう生きるか」── - 狐の王国

“生まれてくると人間でしかないので、得体の知れない怖さはなくなるのである”
(内容に言及あり)映画「君たちはどう生きるか」感想 - 空飛ぶ餃子

“トゥイッタでちらほら見かける可愛いと言われていた動物、全然可愛くないじゃん!!!!”
2023/7/16-17 めちゃくちゃ良かったリバー、流れないでよと、察せいの君たちはどう生きるか - ミーのカーでゴー

“今回の記事はひたすらアオサギの写真です”
君たちはどう生きるかを見たので、アオサギの写真を集めてみたくなった - I AM A DOG

“アオサギにはそのような「神性」も「怪異性」も少ない”
【君たちはどう生きるか】感想と、鳥好きが観た考察メモ(ネタバレなし) - 映画ごときで人生は変わらない

“もうとっくに俺の人生指針は決まっていたもんな。『常に心にアシタカを』これよ。理想の人生は”
宮崎駿『君たちはどう生きるか』を観てきた感想 - おじ語り

“竹の弓一式を揃える手順が丁寧すぎて面白い”
ネタバレ 君たちはどう生きるかで感じたことメモ - 麺類

“眞人の手を妊娠している自分のお腹にグイってあてがったところがめちゃくちゃグロテスクだな、と思って”
君たちはどう生きるか - bla bla bla

“作品を言語化した時点で宮崎監督が表現しようとしたものがキャンセルされるような作品であると思うのだ”
宮崎駿監督最新作の「君たちはどう生きるか」を観てきた。 - 超メモ帳(Web式)@復活

“この映画が純粋に、どこまでも「子ども向け」の映画だったからだと思う”
【雑感】幼年期と生死の境域、あるいは『君たちはどう生きるか』(宮崎駿)について - Astrantia

“ヒロインと母を重ねてジブリのティーン感を親子愛にすり替えるのずるくないですか”
君たちはどう生きるかのとりとめがないネタバレ感想 - 続けてもいいから嘘は歌わないで

1945年8月に大転換した価値観を比喩しているのではないか
君たちはどう生きるかのおばあちゃん達考(ガッツリネタバレ) - 日月星辰ブログ

“死生観の話になるとやっぱり水木しげる先生はすごい”
【ネタバレ】『君たちはどう生きるか』感想と、水木しげるの死生観について - esbee's diary

“僕たちの大部分は、あの石のなかで労働と消費を繰り返すインコに他ならないだろう”
満足した豚でも不満足なソクラテスでもなく、幸せなインコとして生きます! - Twitter2

“冒頭に出てくる戦争のシーン、戦火に焼かれる母親、そして『風立ちぬ』を塗りなおすかのような設定の細部、「悪意に染められていない石」の拒否”
映画「君たちはどう生きるか」を評価する - 紙屋研究所

私はあの父さんのこと、全然嫌いじゃないよ
■ - アイスクリームと獅子


たくさんの感想エントリーを読んでいて印象的だったのは、「自分も頑張って生きよう」という内容が書かれた記事がいくつもあったこと。

同名小説から取られた『君たちはどう生きるか』というタイトルの作品を見て、生き方について考えられたのだとしたら、それはなかなか得られない映画体験なのかもしれません。

あなたも映画を見て考えたことは、ブログに書いておきませんか?



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