あさのますみさん『逝ってしまった君へ』インタビュー「まとまらない気持ちだからこそ、文章にした」

※キャンペーンは終了しました。たくさんのご応募、ありがとうございました。

あさのますみさん

2020年3月、Web上で自らの意思で死を選んだ友人について綴ったエッセイを公開した声優・作家の浅野真澄/あさのますみ(id:masumi_asano)さん。このほど、その内容を大幅に加筆しまとめた長編エッセイ『逝ってしまった君へ』(小学館)が6月30日に発売されました。

「大切な人の自死」を経て「残された人々の想い」を綴った同作。書籍化にあたり、改めて自身の感情に向き合ったというあさのさんにお話を伺いました。

※記事末に書籍プレゼントキャンペーン情報があります!

※取材は新型コロナウイルス感染対策を講じた上で実施しました

「君」への手紙なら素直になれる

――本作では大切な人を突然失った出来事を経た「遺された」側の想いを、故人である「君」への手紙という形で綴られています。この形式をとられたのには、どのような意図があったのでしょうか。

「友達に手紙を書く」ような形式にすれば、素直になれるんじゃないかと思ったんです。やっぱり、自分の中でこの出来事についてなかなかまとまらない気持ちもあって。友達に語りかける文章って自然とやわらかくなるし、自分の本音が整理しきれず分からなくなったとしても、その「分からない」気持ちのまま言葉として残せるような気がして。

著書では私と友人の関係や、友人が自死する前に残していた言葉、音声メモの内容なども包み隠さず書いています。友人のことをありのまま書くんだったら、自分も素直に、丸裸にしないといけないのでは、という気持ちもありました。

センシティブな話題であるからこそ、自己開示しないまま書くのはフェアじゃないというか。私は生まれ育った家庭が貧乏で、そのことはよくラジオとかでもよく話していたんですが(笑)、学生時代に水商売をしていた、など今まで公に話してこなかったことも盛り込んでいます。

――そして、その時期に精神面で支えになったのが、この友人でもあり、はじめての恋人でもあった「君」であると。

そうですね。今まで触れてこなかったことも書かないと、何で彼のことがそんなに大切なのかというのも伝わらないんじゃないかと思って……。自分の過去も赤裸々にしよう、と決めました。彼も彼で、結構複雑な家庭であったことに悩んでいたようで、家庭環境に取り込まれず人生を構築したいとお互い思っていたからこそ、あの頃はいい関係が築けたんじゃないかな、と今では思います。

あさのますみさん

浅野真澄/あさのますみ……声優、作家。秋田県出身。2007年小学館おひさま大賞で最優秀賞を受賞。それをきっかけに、声優業は「浅野真澄」、文筆業は「あさのますみ」名義で仕事するように。声優としての代表作は『Go!プリンセスプリキュア』キュアマーメイド、『ベイマックス』ゴーゴーなど。作家としての近著は『ねがいごと』(学研)、『アニマルバスとたんじょうび』(ポプラ社)など。Blog:日々のこと/Twitter:@masumi_asano

故人を忘れたとしても、全てが消えるわけではない

――著書では、故人に対して強烈な想いを持ちつつも「いつか、君をうまく思い出せなくなる日が来るでしょう」という心情を吐露されているのが印象的でした。改めてこの言葉に込められた意味を教えていただけないでしょうか。

彼が亡くなって、そのことを考えたくなくても勝手に考えちゃう時期が長かったんですけど、やっぱり故人との思い出って少しずつ美化されていくというか、解釈が変わっていくようにも思いました。

特に、ショックな別れ方であればあるほど、死んだことを握りしめたりとか、その人のことを忘れないよう心に刻みつけたりしようとしてしまいがちです。でも、もともとの「その人」から遠ざかっていくような気がして。

なので、あくまで遺された側は自然に過ごし、忘れていくものは忘れていってもいい。その方が、亡くなった人に対して真摯な姿勢のような気がするんじゃないかなと思ったんです。忘れることは罪ではないし、自然なことなんじゃないかなって。それでも、自分の中に残るものが確実にあるはずだから。

――とはいえ、訃報を受けてからすぐの頃は、なかなか気持ちの整理もつけられないように思います。

一人でいるときは、ずっと彼のことを考えてしまいましたね。それでも、仕事には行かないといけない。ただ、仕事があったからこそ自分を保てていたように思います。例えばナレーションの仕事は、どんなことがあっても目の前の原稿に集中しないといけない、と経験から分かっていて。雑念が入った瞬間にうまくいかなくなっちゃうんですよ。

あ、でもラジオのフリートークで楽しい話をしなきゃいけない、みたいなときは少ししんどかったですね。だって、その頃の自分の近況ランキングって、1位から30位くらいまで全部、彼が亡くなったことに関連する出来事ですもん!

――たしかに……。

とはいえ、話すわけにはいかないので、無理やり31位くらいの話題を喋ったり……。でも、31位なんで、かなりどうでもいい話題なんですよね(笑)。

「虫の知らせ」が来ると、どこかで思っていた

――著書の中で、特に印象深い章があれば、教えて下さい。

どのエピソードも自分の中ではなくてはならないんですが、やっぱり一番最初の章ですかね。彼が亡くなったという連絡をもらった瞬間のことを書いているのですが……。とにかく記憶がすごく鮮明で。頭が真っ白になる、というのはこういうことかと。

――連絡が来たのは、あさのさんがホールパイを買って自宅へ帰る途中。あまりにも「日常」の中での知らせでした。

そうなんですよ。子供の頃に見ていた漫画とかアニメとかって、靴紐が切れる、みたいな「虫の知らせ」的な描写がよくあるじゃないですか。だから、どこか頭の中で、本当に大切な人に何かあったとしたら、そういった予兆が自分にもあるはずだ! と思っていたフシがあったんですよね。でも、そんなことはなかった。

――「虫の知らせ」はなかった、と。

はい、来ませんでした。私がうきうきしながらケーキを買っていたときは、もう彼はこの世にはいなかったんだ……と。もうね、「虫の知らせ描写」はやめて、撤廃して! と思っちゃいましたよね。

あさのますみさん

「横書き」と「縦書き」で、印象が変わることに気付いた

――書籍化にあたって、元々書き溜めていた原稿を大幅に加筆修正したと伺いました。

元々Web用の文章として書き溜めていたものだったのですが、書籍化にあたって横書きから縦書きに変えたんです。すると、全然印象が変わるんだな、というのが印象的でした。

――どういうことでしょう?

横書きだと縦書きよりも文章から受ける印象がやわらかくなる感じがします。それと、改行を多めに入れないと少し圧を感じる。なので、普段からWeb用で文章を書くときは、改行を多く入れるよう意識していたんですよね。

逆に縦書きかつ、紙に出力する場合だと、かちっとした印象を受けて。修正するにあたってはもう少し軽くといいますか、口語を意図的に増やす、といったことなどをしました。

あさのますみさん

――今回の書籍について、特にどんな方に読んでもらいたいとお考えですか?

大切な人を失った経験じゃなくても、今すごく「悲しい」とか「つらい」とか、そういう気持ちになっている人でしょうか。特に、誰にも話せず一人でぐるぐるしてしまっているとしたら、手にとって欲しいなと思います。

私自身が本当に悲しいことがあったとき、人に言えないタイプで。話そうとするだけでしんどくなるし、話し相手のことを気にする余裕もない。それなら誰にも言わないほうがよかろう、となっちゃうんです。

でも、一人で抱えるのはやっぱりしんどいじゃないですか。なので、この本が何かに悩んでいる人の寄り添いになるといいなと思います。

あとやっぱり、年齢を重ねていくにつれて、身近な人の死ってどんどん自分ごとになっていくし、避けられないこと。そういう経験がもしあったとき、手にとってもらえたらいいなと思います。

――あさのさんの場合は、想いをなかなか「言えない」からこそ「書く」選択をとられたのかもしれないですね。

感情って賞味期限のようなものがあると思うんです。今回の作品も、来年書いていたらきっと違う内容になったんじゃないかな。

先ほども言ったように、人は生きていれば色んなことを忘れていきます。一番苦しかったときに考えていたことを残しておくことで、これから先、その状態から前に進んだとしても、読み返すたびに「あの頃はこう思っていたのか」と振り返られるじゃないですか。

今日考えていることと、明日考えることってやっぱり違うはずです。賞味期限があるものだからこそ、そのときの感情を残しておきたい。そう強く思ったからこそ、今回の作品を書き上げられたんじゃないかなと思います。

あさのますみさん

撮影:関口佳代

逝ってしまった君へ

逝ってしまった君へ

2019年1月。私は、古い友人のひとりを失った。友人は突然、自らの意思で死を選んだのだ。彼は私の大切な友人でもあり、私のはじめての恋人でもあった__。

筆者が体験した大切な人の「自死」。大切な人を失って初めてわかる、大きな悲しみと日々の「気づき」。遺書にあった自らに向けたメッセージ、告別式、初めての「遺品整理ハイ」…そして「君」を失った悲しみの中で見つけた一つの光。あまりにも突然で悲しい出来事を経た「遺された人々」のその想いを、逝ってしまった「君」への手紙の形で綴られた、日々悲しみの中にいるあなたにこそ読んでほしい、大切な人へ向けた祈りに満ちたノンフィクション随想録。

週刊はてなブログでは、『逝ってしまった君へ』のサイン入り本を抽選で3名様にプレゼントします。詳細は以下の応募要項をご覧ください。たくさんのご応募、お待ちしています!

応募要項

応募期間 2021年7月2日(金)~2021年7月12日(月)23:59
賞品・当選者数 『逝ってしまった君へ』(あさのますみさんサイン入り)3名様
応募方法 この記事を はてなブックマークに追加 してください。このエントリーをはてなブックマークに追加
抽選と発表 応募期間終了後に厳正な抽選を行い、当選ユーザー様の登録メールアドレス宛に送付先情報等を確認するメールをお送りします(取得した情報は本賞品送付用途以外には使用いたしません)。なお、送付先は国内に限らせていただきます。
発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。

※最近、当選のお知らせメールに返信がなく、当選が無効となるケースが多発しております。ご応募の際は登録メールアドレスのご確認をお願いします。

※2021年7月5日(月)11:35頃、記事の一部を修正しました

ライブレポも昭和のアイドルも。イラスト+文章で“好きなもの”をブログに詰め込んでいく、れんちさんのスタイルとは

はてなブログのユーザーに、自身とブログについて語っていただく【「ブログを書く」ってどんなこと?】シリーズ。今回は、2015年からはてなブログ「おきにいり奇譚」でイラストを交えたライブレポートを載せているれんちさん(id:pvcovs@mokomokohimeko)にお話を伺いました。

れんちさんは2015年のブログ開始時から、自分の好きなバンドのライブレポート、ドラマの感想などについて、イラストを交えた文章で発信しています。平成生まれだけど昭和の音楽やアイドルが好きというれんちさんは、Instagramでも「自分の好きなもの」をイラストにしてアップ。自らの「好き」を表現し続けています。

れんちさんの「自分の好きなもの」をまっすぐに表現しブログに記録していくスタイルはどのように生まれたのか、Instagramとの使い分けはどうしているかなどについて、インタビューしました。
※取材はオンラインで実施しました

――「実年齢とちょっとズレた年代の音楽が大好き」とプロフィール欄に書いていて、工藤静香さんや中森明菜さんがお好きだそうですが、どれくらい“ズレて”いるのでしょうか?

れんちさん(以下、れんち) 私は平成元年生まれなんです。美術大学にいる時に教授から「平成生まれなのに昭和のものが好きなのは面白いね」と言われるまで、特にズレていると思っていませんでした。卒業制作で昔のアイドルの似顔絵と解説を載せる本を作って、実年齢と好きなものの年代がズレているという話を書いたところ、好評だったんです。

そこで「平成生まれだけど、昭和のものが好き」というギャップがあることそのものがキャッチーなんだと感じて、趣味としても本を作りました。

――昭和の音楽には、れんちさんは触れていないですよね。生まれる前の音楽やアイドルに、どのようにして興味・関心を持ったのでしょうか?

れんち テレビのものまね番組が好きでよく見ていたのですが、そこに昔の曲が頻繁に登場するので、もともと耳なじみがありました。また、家に昔のヒットソングのコンピレーションアルバムがあり、中学の頃にそれを聞いて「あ、聞いたことあるな」「いい曲だな」と思ったのが最初のきっかけだった気がしますね。

れんちさんのブログ「おきにいり奇譚

──Instagramにはさまざまなアイドルのイラストを投稿されていて、かなり幅広くご存じですよね。どのようにして知識を広げていったのでしょう。

れんち コンピレーションアルバムを聞いた後に、友達のお母さんに松田聖子さんのアルバムを借りたりして、徐々に有名どころの方を知って……。一番好きな工藤静香さんの歌は、誰かがカラオケで歌っているのを聞いて「これ、ものまねで聞いたことがあるな、いい曲だな」と思って好きになりました

そこからずっと昭和のアイドルが好きで、大学生の時には昭和歌謡バーでアルバイトをしていたんです。

──「昭和歌謡バー」?

れんち 今はもうなくなってしまったのですが、都内にある、昭和歌謡を流すバーでした。アルバイトをしながらそこの常連さんや店員さんに教えてもらったり、店でもずっと流れている曲を聞いたりして、「これは誰の曲だろう?」と知識が広がっていった感じです。

──れんちさんにとって昭和のアイドルは、どんなところが魅力的に見えたのでしょう。

れんち 曲の構成がシンプルで耳なじみが良く、覚えやすいところはもちろん好きなのですが、その時代ならではの髪型や衣装、バブリーな雰囲気にインパクトがあって。清純派やちょっとスレたヤンキー系など、個性(キャラクター)がはっきりしていて、それが髪型や衣装にも表れているのが魅力的に映りました。

ブログを「自分の好きなものを詰め込んだ場所」にしたい

――昭和のアイドルが好きというれんちさんですが、バンドもお好きだとか。はてなブログではLUNA SEAのライブレポートなども書いてくださっていますが、あえてブログにまとめている理由について教えてください。

れんち Twitterでイラストを付けて載せることももちろんできるのですが、どうしても流れていってしまうので、アーカイブとしてまとめられる場が欲しいなと思っていました。それでTwitterよりはブログの方が見やすいし、使いやすいなと個人的に感じました。

イラストに特化したサービスも少し使ったことはあったのですが、イラストだけではなく文章も一緒に書いて、そこに興味を持ってもらいたいなという思いもありました。ブログは、“人の気配”が多すぎず少なすぎずで、ちょうどいいなと思っています。

ブログは「自分の好きなものを詰め込んだ場所」にしたいので、デザインや色使いなどは自分が好きな世界観にするようにしています。

──れんちさんはブログとInstagramを使い分けていらっしゃいますが、その使い分け方について教えていただけますか?

れんち ブログではイラストだけでは説明しづらいことを文章で補足しやすいので、ライブレポートなど何かについて詳しく書きたい時は、ブログに載せるようにしています。

Instagramは、バンドやライブレポートに限らず、好きなもののイラストを描いて載せたくなった時に使います。Instagramはここ1年半くらい使っているのですが、文字も書けるブログとは違い、ビジュアルの投稿がメインなので、自分のポートフォリオのような見せ方ができるようにしようと思っています。「この人、昭和な感じが好きなんだなあ」と伝わるようなアカウントに見えたらいいなと。

れんちさんのInstagramより

──ブログではイラストを交えたドラマの感想なども書かれていますが、「好きなもの」を取り上げるという点ではブログとInstagramで共通しているんですね。ブログに好きなものについて書くことと、Instagramで好きなものの絵を載せることは、これからも分けていくのでしょうか。

れんち はい、そこは意識的に分けようとしています。

ブログは「スクラップブック」を持っているようなイメージです。ブログという場を、自分で編集して、自分の文章を載せて、自分の好きなものをまとめるといったような……。ひたすら好きなものについてアウトプットし続ける場としては、ブログの方がいいなと思っています。

行ったライブは全部レポートに。イラスト+文章の組み合わせで1週間以内には描く

──2015年からはてなブログを使ってくださっていますが、そもそもブログを開設したきっかけは何だったのでしょう?

れんち はてなブログを始める前から、趣味でブログを書いていたんです。最初はmixiに日記や絵を載せていて、他にはヤプログ!やアメブロにも書いていました。

その後しばらく書かなくなったのですが、ライブレポートをどこかに載せたいなと思った時に、どんなサービスがいいかいろいろ調べました。はてなブログではキーワードに自動でリンクが貼られる機能*1があったので、他のブログとの移動ができていいなと思って、はてなブログで始めてみました。

──テキストとイラストを組み合わせるスタイルの記事を書かれていますが、前のブログでもそうだったのでしょうか?

れんち はい。以前のブログでは、周りにいる面白い友達との出来事などを日記+イラストのような形で載せていたので、今のようなスタイルに自然と慣れ親しんできました。

──1つの記事を書く時に、どれくらい時間を掛けていますか?

れんち 記事の構成を決めてから書き始めて、ライブレポートの場合は長ければ1週間くらいですね。ライブに行ったその次の日には記事を出したいという気持ちはありますが、なかなか時間が取れないこともあって。できれば1週間以内にはアップしたいと思っています。

──「ライブに行ったら必ず書く」「印象に残ったものを書く」では、どちらになるでしょう?

れんち 基本的にはライブに行く機会があれば全部書くようにしています。LUNA SEAはそんなに頻繁にライブがあるわけではなく、年に数回大きいものがあります。今ライブに行っているバンドも、足を運べるのは関東圏で行われるものだけですし、毎週開催されているわけでもないので、一応全部行ったライブは書ける範囲ですね。

──ライブレポートにあるようなイラストを完成させるのに掛かる時間はどれくらいですか?

れんち ぶっ続けで描いていれば、2~3時間くらいだと思います。色を塗り始めれば早いのですが、その前にライブでどんな衣装を着ていたか、どのポイントについて描こうか、などについて整理するのに結構時間が掛かります。

「自分の好きなもの」を描いて知らない人から反応があるとうれしい

──ブログを継続している一番のモチベーションは何でしょうか? 先ほどはアーカイブというお話もありましたが、自分のための記録として蓄積される喜び、ファンを増やしたいという情熱など、具体的に教えていただけるとうれしいです。

れんち 2つあります。1つは好きなものについて「ここが楽しかった」「ここが可愛かった」と描き残したいという思いです。もう1つは、「自分の好きなものを共有したい」ということですね。自分の好きなものを描いて、それを誰かに喜んでもらえるのがうれしいです。更新したことをTwitterに載せると「レポート楽しみにしてました」などと言っていただけるので。

──自分の好きなものについて、同じように好きな人がたどり着いてくれているという実感はありますか?

れんち 特にコメントが書かれることはないですが、Twitterのフォロワーさんだけではなく、はてなスターを付けてくれる方がいるので、はてなブログ経由で見に来てくださる方もいるというのは感じました。

れんちさんのブログ「おきにいり奇譚」より、トレンディドラマ『世界で一番君が好き!』(1990年)の紹介イラスト

──ブログを始めた時点からそのモチベーションでしたか?それとも、続けてくる間に変化が生まれましたか?

れんち 続ける間に変化がありました。最初はただ、好きなものや「こんな面白いことがあった」ということをただ載せたいという感じでした。

それが変わったのは「サイン会に行った」というレポートを描いた時でしたね。Twitterのフォロワーにリアルの友達も結構いるので、更新したことをいつものようにtweetしたら、同じサイン会に行ったファンの方が見てくれて、フォロワーが結構増えた時がありました。

その辺りからですね。全然知らない方が楽しみにしてくれたり、リプライやいいねをしてくれたりする機会が増えて、モチベーションが変化していきましたね。

Twitterもブログも、共感してもらえる内容になっているかどうかが大事

──イラストを描く環境について教えていただけますか?

れんち 最近はイラストを描くためにiPadを買ったので、iPadを使うことが多いです。その前は、最初にアナログで下書きして、それをペン入れしてパソコンで色を塗っていましたが、どうしてもいちいちスキャンしてパソコンで塗る工程がちょっと面倒で。iPadであれば出先でもぱーっと描けるので、ライブレポートを書くんだったらスピーディーでいいかなと思って買いました。

──ちなみにソフトウェアは何を使っているのでしょう?

れんち iPadではProcreateですね。パソコンだとCLIP STUDIO PAINTです。

──イラストを描く際にはスピード感を大事にしていらっしゃるんでしょうか。

れんち ネットでイラストをアップして有名になっていく人は、ほぼ毎日のようにアップする人が多いということをよく聞くので、「そのぐらい頑張らないとダメだな」と思いつつも、そこまでやるのは大変なので……。なかなか「やらなきゃ」という思いとモチベーションがうまく合致しないことがあります

今も悩むことはあるのですが、Twitterに落書きしたものをアップした時に思ったのは、どちらかというと見ている人にとっては、時間をかけてクオリティを上げていくよりも、描く中身の方が大事なのかなと感じました。もちろんTwitterだけではなくてブログでも、共感してもらえる内容になっているかどうかを重視する方がいいのかなと。

──今後ブログやInstagramでやっていきたいことや、これからやってみたいことなど、もしありましたら教えてください。

れんち 本を作りたいと思っています。ライブに限らず、例えばドラマなどについて思ったことや考えたことを絵と文章で表現することが楽しいと感じているので、テーマを絞って何かについて書いていって、ある程度溜まったらそれを1冊の本にしてイベントに出て販売するようなことをやりたいと考えています。最初にお話しした通り趣味で本を作ったことはあるのですが、最近そういう取り組みはできていないので、活動を続けていきたいなと思っています。

お話を伺った人:れんちid:pvcovs

papix

実年齢とはちょっとズレた年代の音楽やカルチャーが大好物な都内在住OL。80-90年代の音楽と古き良きヴィジュアル系が好きです。

ブログ:おきにいり奇譚
Twitter:@mokomokohimeko
Instagram:@renchikun


同シリーズの過去の記事を読みたい方はこちらから!

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*1:2019年11月より「はてなブログ タグ」機能として提供。

技術、日常、“雑多な”ブログで使い分け。知識や経験を丸ごと記録する【エンジニアのブログ探訪】

エンジニアのブログ探訪・papixさん

はてなブログで技術に関するブログを書いている方に、“ブログを書き続けること”について教えてもらう企画「エンジニアのブログ探訪」。第6回は、3つのブログを使い分けているはてな社員・papixid:papixです。

技術や仕事について書くブログ、日常や趣味についてブログに加え、とにかく何でも書くという“雑多なブログ”を続けているid:papixにどういった理由で使い分けているのか、どういうモチベーションで更新をするのかなどを尋ねたところ、それぞれのブログが果たす役割・効能が見えてきました。

ブログを書くことによって自分の知識を“丸ごと記録”(dump)するというid:papixに、ブログの使い分け方や書く内容について聞きました。

※取材はメールインタビューで実施しました

──ブログを始めたきっかけについて教えてください。

大学生の頃、研究室でPerlというプログラミング言語と出会い、そのコミュニティに参加したのがきっかけだったと思います。

その頃に出会ったPerl Monger(Perlエンジニアを指す言葉)が、ほぼみんなはてなブログ、またははてなダイアリーを使って記事を書いていたので、それにならって自分もはてなブログを開設した記憶があります。

──ブログにはどのようなことを書いていますか?

ブログは3つ運用しています。 1つは技術ブログ、1つは私生活について書く趣味ブログ、1つは雑多に何でも書くブログです。 はてなブログは1つのアカウントにつき無料で最大3つまでブログが作れます!

最初はすべて1つのブログで書いていたのですが、さまざまなトピックが1つのブログにまとまっているのも統一性がないと感じて、一時期自分の周りではブログのセルフホスティングが流行ったこともあり、いったんはてなブログをやめてGitHubでセルフホスティングするようになりました。その時何を思ったのか、全部の記事を消してしまっていて、今めちゃくちゃ後悔しています……。

その後セルフホスティングをやめてはてなブログに戻ってきた時に、技術と趣味でブログを分けたところ、自分にはそのやり方がピッタリで、いい感じにすみ分けることができるようになりました。

papixの技術ブログ「Masteries

ブログの書き方は、正直に言えば我流です。ただ、個人的に大事にしているのは、「煽るような書き方をしないこと」「参考にした情報(本、Webサイト、ブログなど)は明示すること」「分からないこと、確信がないことはきちんとそのように書くこと」あたりでしょうか。後は「自分のために書く」です。特に技術ブログは、全てのことを覚えきれない自分のために、外部メモリとして書くことを意識しています。

──ブログを書いていて良かったことは何ですか?

記憶力が弱いと自認しているため、技術ブログを書くことで自分の知識をdumpできているのが大変良いです。たまに分からないことを検索してみたら自分のブログ記事が検索結果に出てきてびっくりすることがあります。同僚が分からないことを調べてみたら自分のブログが出てきた、ということもありました。

コードレビューの時に自分のブログを参考文献として貼って「これはこういうことなんです」と説明できるのもいいですね。また、技術ブログに書いた記事がきっかけでイベントへの登壇を依頼されたことが何度かありました。

日々あれこれ試して、それをアウトプットして、自分の血肉にして……ということを積み重ねた結果、気がついたらはてなに入社してはてなブログの開発に携われたのも、最高の出来事だったと思っています(現在は違うチームにいます)。

──「雑多なブログ」には何を書いていますか?

雑多なブログの方は、「アウトプットのし損ないを防ぐ」という目的のほかに、“自分の定点観測”ができるというのが良いところだと思います。例えば、過去の記事を見てみると、花粉が飛ぶ時期になると明らかに調子が落ちている様子が分かります(笑)。また、仕事や日々の生活での気付きや考察なども思い出せます。

ブログはTwitterと違って長文が書きやすいので、とにかく考えたこと、思ったことをダダッと書き残しておくと、「あの時こんなことがあったんだな」「こんなことを考えていたんだな」と振り返りやすくて良いです。

──普通のブログと「雑多なブログ」の違いについて教えてください。

先に「ブログは自分のために書く」と言いました。とはいえ、ブログという形で公開する以上、どうしても「ちゃんと書かなければ」という意識が働いてしまい、一時期アウトプットをし損なうことが増えました。具体的には、書くものが自分の求めるクオリティにならず、記事を書かずに終わったり、下書きのままになったりします。

その対処として2017年に始めたのが、「雑多に何でも書くブログ」です。とにかく低クオリティでもいいから、思ったこと、考えたこと、日々の様子をどんどん書いていくという運用です。

これによって、考えたことをアウトプットし損ねる機会は減った気がしています。また、日々考えをどんどんアウトプットすることで、考えていることをまとめる訓練になったのか、仕事で文章を書くスピードが上がったような感覚もあります。

「雑多なブログ」の月間投稿数を見ると、なんとなく「寒くなる、あるいはメンタル面で弱っていると記事が減っている」という傾向があるような気がします。自分の精神衛生の状態は、案外すぐには気付けないものなので、「雑多なブログ」の記事数から何か気付くことはできないか? と考えています。

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自宅のデスク周り。個人的には「ディスプレイ多いと気分がアガる(?)ので、とにかく並べています」とのこと

──ブログを書き続けてきた中で苦労したことはありますか?

日常のブログや「雑多なブログ」については、気軽に書いていることもあってあまり苦労した記憶はないですね。一方で、技術ブログについては、「良いネタが浮かんでくるかどうか」が苦労ポイントといえるでしょうか。

元気な時は、いろいろ気付いてあれこれ試したり調べたりして、どんどんブログに書くネタが湧いてきますが、調子が悪い時や忙しい時は、どうしてもそういった余裕を作れず、ネタが湧いてこないことがあります。書くネタが浮かんでこない時は、無理やりひねり出すのではなく、まずは「体調が悪くないか?」「忙しくないか?」という、根本的なところから考えるようにしています。

記事の書き方は我流ですし、「自分のため」を優先してあまり読者のことを考えていないため、ぶっちゃけ「書いた記事がバズることが少ない」というのが、目に見える悩みといえば悩みかもしれません。ただ、読まれることだけを目的にブログを書くのはいいことではないと考えているので、その辺はあまり気にしないようにしています。

今後の課題として、「雑多なブログ」にいったんdumpしたものをうまく整理して、技術ブログでアウトプットできるようになりたいです。

──執筆時の様子について教えてください。

ノートパソコンさえあればブログはどこでも書けるので、特にこだわりなく、いろいろな場所で書いています。書きたい時がブログを書く時!だと思っているので、「とにかく書くぞ!」という気持ちになったら即座にはてなブログを開きます。

ラトビア リガのホテルから眺める川
ラトビア・リガのホテルから眺める川。ここで書いたブログはこちら(2019年8月)


これまでブログを書いた場所を挙げると、自宅はもちろん、近所のカフェやホテル、温泉の休憩スペースなどがあります。飛行機に乗る前に空港のラウンジでサクッと書いたり、フェリーの上でなんとか電波を拾って投稿したり、海外に行く時にノートパソコンをあえて持っていかずにiPadで「雑多なブログ」を更新したりしたことも(飛行機や鉄道などで移動している時は酔ってしまうため書きません)。

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ヘルシンキ・ヴァンター空港のフィンエアーラウンジ。ここで書いたブログはこちら(2019年8月)


本当にいろいろな場所で書いてきました。はてなブログはスマートフォンアプリやiPadアプリもあるので便利ですね。

カンボジア・シェムリアップのホテル
カンボジア・シェムリアップのホテル。ここで書いたブログはこちら(2019年3月)

──これまでブログを続けられたのはなぜでしょうか?

仕事(技術)も日常も、いろいろなことがあって、良いことも悪いことも、どうしても忘れていってしまいがちです。ブログを書くことで、良かったこと、楽しかったこと、あるいは悔しかったことや反省点について記事を通して後で振り返ったり、思い出したりできるのが醍醐味だと思っています。

いっとき開発を担当していた自分が言うのも何ですが、はてなブログは「書き、残すツールとしてちょうど良い」のですよね。書きたいことをシンプルにシュッと書ける。そして書いたものをいい感じに表示してくれる。それを、何もしなくても保存し続けてくれる。一時期はてなブログをやめていたのにまた戻ってきたのは、自分だけの力ではどうしてもその「ちょうど良さ」を実現できなかったという要因があると思っています。

お話を伺った人:id:papix

papix

株式会社はてなにWebアプリケーションエンジニアとして中途入社して、はてなブログの開発に携わった後、最近はマンガメディアの開発をしています。趣味はPerlと旅行です。

Twitter:@__papix__
技術ブログ:Masteries
日常ブログ:絶対笑顔でまだまだいっぱい夢見るブログ
雑多なブログ:パピッター
Webサイト:papix.net

◆ エンジニアのブログ探訪

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