それぞれのエンジニアリングマネージャー観があるようです
はてなブログではIT系技術ブログが数多く開設されており、「今週のはてなブログランキング」でも技術に関連した記事が頻繁にランクインしています。
技術ブログでは特定の専門的な技術のノウハウを共有する記事や勉強会に参加したことをつづるレポートだけでなく、エンジニアリング組織づくりにまつわるエントリーも投稿されており、たびたび話題となっています。
そこで今回は「エンジニアリングマネージャー(EM)と組織づくり」をテーマに記事をまとめました。そもそもEMはどのような役割を担っているのか? EMが実践していることや工夫って? EMだからこそ感じられるやりがいとは? エンジニアリング組織におけるマネジメントについてEMを経験しているブロガーの生きた視点から語られています。
- エンジニアリングマネージャーとは
- エンジニアリングマネージャーの魅力
- エンジニアリングマネージャーが実践したこと
- エンジニアリングマネージャーとしての取り組みや工夫
- はてなブログで話題になっているモノ・ヒト・コトを募集しています
- 今回紹介したブログ
エンジニアリングマネージャーとは
各社・各自でEMの役割の差がある
個人的には「エンジニアリングのマネジメント」であり、開発で生じる様々な問題を監督し、組織が期待する開発力を用意することが一番の役割だと考えています。開発力は分解すると"プロダクトを生み出す力"、"デリバリーのスピード"、"プロダクト品質"など様々な側面があると思いますが、その時々で組織の弱いところを補うように動かざるをえないことが多い結果、各社・各自でエンジニアリングマネージャーの役割の差が生じているのかと考えます。
エンジニアリングマネージャーとしてどんなことをしているのか? - tuneの日記
2年間のEMとしての経験を踏まえ、EMの定義とEMとして実践している具体的な活動をつづる id:tune さん。「直接的な達成感も得にくい」というEMのやりがいをプロダクトの成長、組織の成長、メンバーの成長の観点から捉えています。
「EMという役割が正しく認知されておらず、魅力が伝わっていない」
エンジニアがプログラムを書くように、UIデザイナーがUIデザインするように、EMも組織をマネージメントする役割を担っているだけである。 そこに上司や部下という関係は存在しない。
Engineering Managerをエンジニアのマネージャーとするのはやめませんか? - Unknown Error
「EMという役割が正しく認知されておらず、魅力が伝わっていない」ことを問題視し、EMの魅力を発信するためのPodcast『EM.FM』を配信している ゆのん(id:yunon_phys)さん。「マイナスをゼロに補完するマネージャーは不要だ」と語り、組織課題を見定めてマネージメントする役割としてのEMを提示しています。
一人一派のEM像がある
例えばシステムエンジニアがシステムのエンジニアリングをする役割なら、エンジニアリングマネージャーはエンジニアリングの対象をシステムのみに限らず組織体制や開発プロセス、開発計画などなどプロダクト開発に関わるおおよそすべてを対象としており、必要に応じて自身が直接手を加えることもあれば、他の専門家と協働することもある役割と捉えた
エンジニアリングマネージャーの私的解釈と実践 - 下林明正のブログ
EMは「エンジニアのマネージャー」ではなく「エンジニアリングのマネージャー」であると捉える id:shimobayashi さん。ウェブ業界で積み重ねたキャリアを振り返りつつ、今後EMとして実践することを表明しています。
EMの理解を深めるアイデアと言葉
チームの成果を最大化するにあたっての変数は無数にあり、だからこそ自分の考えを変え続ける態度を持ち続ける、つまり影響に寛容であることで、はじめて周囲からの信頼を獲得でき、チームとしてうまく物事に向き合うことができるのでしょう。マネジメントの仕事は少し油断すると、自分の経験や勘、少しの得た情報だけをもとに物事を進めてしまう危険性を持っているように感じており、前提としての心構えの大切さが身にしみます。
Engineering Manager になってから身に沁みた12のアイデアと言葉 part3 - これはただの日記
@katsuhisa__(id:kths)さんが組織やチームに関する書籍から「身に沁みた」という言葉や考え方を紹介するエントリー。EMに限らずあらゆる組織のマネージャーにとって「沁みる」ような考え方のヒントやアイデアが挙げられています。
エンジニアリングマネージャーの魅力
EMに抱いた魅力とEMを目指す戦略
EMは、時には自ら手を動かし、時には人の手を借り、チームが4つのマネジメント領域をカバーできるようにリードします。ある意味では、ソフトウェア開発におけるあらゆる問題を「解決してよい」立場であるとも考えられます。多くの人と関わり成果を挙げてもらえるように支援し、多様な問題にアタックできる、非常に充実した職務だと思います。
エンジニアリングマネージャーを目指す若者の戦略 - yigarashiのブログ
Webアプリケーションエンジニアとして働き始めて2年ほどが経過したという yigarashi(id:yigarashi)さんは、EMという職務に魅力を感じるようになったといいます。自身のEMについての理解を書き記した上で、EMという役割に見出した魅力とEMに足る能力を身に付けるための戦略についてまとめています。
なぜEMになるのに漠然とした不安を覚えるのか
マネージャーでの経験は確実にエンジニアでも活きます。面倒なことも多いことは否定しませんが、チームのパフォーマンスに大きく影響しますし、全然別の景色が見えるし、人間的にも成長させてもらえる価値ある役割だと思います。そして、マネージャーになってもエンジニアに戻れます。これは絶対。キャッチアップできます。
なぜエンジニアはマネージャーになるのに不安を覚えるのか - asken テックブログ
株式会社askenの公式ブログ(id:techaskeninc)では、キャリアに悩むEMに向けたエントリーが公開されています。
エンジニアがEMになるとき覚える不安は、リーダーシップの答えが分からず、マネジメントをやったことがないことに原因があるとした上で、「答えがない事実を受け入れ、学び続けること」が重要だと語られています。また、エンジニアもマネージャーも課題解決を目指す点では共通しているといい、「パワーアップしてエンジニアに戻ることができる」ことにその魅力が見出されています。
エンジニアリングマネージャーが実践したこと
新参EMはどんなことを考えているのか
ここで一人のEMとしては「今、俯瞰してみて大きな課題になっているのはなんなのよ?誰か教えて!」と考えますが・・・。ただ、世の中でこれが与えられることは稀なんだよな、と今回改めて実感しました。なぜなら!その課題抽出自体がEMのミッションに内包されているからですね。
新参エンジニアリングマネージャーの試行錯誤 - エス・エム・エス エンジニア テックブログ
株式会社エス・エム・エスの公式ブログ(id:bm-sms)では、EMとして入社した @emfurupon777 さんがEMを務めるにあたって感じた「不安要素」とそれを解消しうる手段を挙げたエントリーが投稿されています。
ピープルマネージャーとして実践したこと
稼ぐためのビジネスプランは組織全体で考えるものですが、そのビジネスプランという名のレールを走り続けるモチベーションを維持し、レール上で止まってしまった人やレールから逸れた動きをしている人が出ないようにする、というのがピープルマネージャーの主な仕事だと考えています。
かけだしピープルマネージャーとしての2021年振り返り - 今夜がλ
defunty(id:Tormits)さんは「チームビルディングや採用に関する業務」であるピープルマネジメントに焦点を当てて、1年間実践したことについてつづっています。「社員全員の給料を上げる」を通年の目標に据え、1on1の実施で新人エンジニアをフォローしつつ、オンラインゲームイベントの開催を通じて自発的に相談し合える組織づくりを目指したといいます。
EMがビルドアップ中のチームを一定速度に乗せる
どの速度をこのチームの一定値として良いかがまだ定まっていない初期構築中のチームに於いては、メンバーのスキルセットや一人一人の噛み合い方、チームバランス、そうしたものを観察しながら、ストレスレスに長期で回り続けられるスピードを決める必要もあります。
【連載 第6回】新規プロダクト&新造チーム&フルリモート:そのときEMに何ができるか? - freee Developers Hub
freee株式会社の公式ブログ(id:freee_developers)では、フルリモートの環境で新規プロダクト開発する新造チームのEMを担当することになった横田さんがチームビルディングにあたって実践したことが投稿されています。
ビルドアップ中のチームではメンバーが快適に開発できるような「ペースメーカー」としての役割がEMに求められており、「動き始めの労力・コスト、そうしたものをEMが引き受けることで、そのビルドアップ中のチームを、早く一定速度に乗せることができるんじゃないか」とつづられています。
エンジニアリングマネージャーとしての取り組みや工夫
自己研鑽のモチベーション向上のための取り組み
エンジニアのスキルアップのモチベーションを向上させた4つの取組み - LIFULL Creators Blog
- なんで自己研鑽が大事なのかディスカッション
- 自分が行ったInput/Outputの簡単なログを作る
- slackで書籍や勉強会の情報共有チャンネルを作る
- 発表機会(LT)を増やす
株式会社LIFULLの公式ブログ(id:nextdeveloper)では、エンジニア個人のスキルアップのために取り組んだこととその結果について紹介されています。さらにメンバーの意識の向上は、自己研鑽を「見える化」してみんなで取り組めるようにしたことで達成できたのではないかと述べられています。
組織の規模が4倍になったら……
業務を丸投げする、ではなくちゃんと頼ることで、能力向上やできなかったことをできるようになる、ということも大事なマネジメントの1つだと感じてます。
組織の規模が大きくなったときにマネージャーは何を考えるべきなのか - asoview! TECH BLOG
アソビュー株式会社の公式ブログ(id:asoviewtech)では、半年間の体験をもとに組織規模が大きくなったときのEMの役割についてまとめられています。組織内のEMの果たすべき役割やチームメンバーの役割を捉え直し、「みんなにもっと頼る」ことが重要なマネジメントの一つだったとつづられています。
1on1ではリラックスしてもらえるように努める
僕が1 on 1を実施する際は、意識して相手の斜め前、または隣に座るようにしています。もし相手が僕と正対して座ってきた場合も、わざと席をずらしたりして正対の位置を避けています。
エンジニアリングマネージャーが1 on 1でやらないほうがいいこと5ヶ条 - kumaaaan’s blog
id:kumaaaan さんは「対面に座らない」「メンバーには1 on 1の会議予約をさせない」など、EMが1on1でやらない方がいいことを5つ挙げています。
はてなブログで話題になっているモノ・ヒト・コトを募集しています
週刊はてなブログでは、これからも「はてなブログで話題のモノ・ヒト・コト」を紹介していきます。そこで、「実は今はてなブログでこの話題がアツいんです」「こんな記事に背中を押されました」という話題やブログを募集します! リクエストは編集部が読んで、週刊はてなブログで記事にするかもしれません。リクエストフォームからぜひ教えてください!
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中村碧
2001年岐阜生まれ、京都の大学生です。規則正しい生活を心がけています。朝起きたらまずはじめに購読リストを確認しています。