最近読んだ、面白いマンガを教えて。読むと読みたくなる「マンガ紹介エントリー」

こんにちは、はてな編集部の谷口です。

突然ですが、みなさん「マンガ」はお好きですか? 私は大好きです。

私は山と川に四方を囲まれた自然たっぷりの環境で育ちました。今振り返るととても貴重な幼少期だった一方で、エンターテインメントは常に枯渇していました。

そんな環境でも、月に一度だけ、ドキドキとワクワクが止まらないエンターテインメントを近所の駄菓子屋で手に入れていました。少女マンガ雑誌の『りぼん』(集英社)です。

クラスの人気者を描いた学園マンガに幼なじみとの恋愛マンガ、ちょっと不思議でかわいいファンタジーに、もろいけど強い変身ヒロイン、くすっと笑えるギャグマンガ。分厚い1冊は毎月、日常にはない極上のきらめきを見せてくれました

今でも私の生活には、いろんな世界に連れて行ってくれる「マンガ」が欠かせません。なので、常に「面白いマンガ」を探し求めています。

しかし、Webマンガやマンガアプリの台頭もあり常に新しい作品がどんどんと生まれ続けているマンガ大国NIPPON。何かと忙しい日常の中で、星の数ほどあるマンガから好みのマンガを探し当てるのはわりと大変なのです。

そんなとき、参考になるのが書評ブログ。気になっている作品のおすすめポイントをまとめてくれていたり、射程圏外にある作品の存在を教えてくれたり、ものすごく参考になるのです。

そして何より、誰かがオススメするマンガって、無性に読みたくなるんです。

というわけで今回は、私が最近好んでいるマンガをもっと多くの人に読んでほしい……! という思いで、いくつかの書評エントリーを作品別にピックアップしました。

税金で買った本(原作:ずいの/著:系山冏)

税金で買った本(1)

まず最初に紹介するのは『週刊ヤングマガジン』(講談社)で連載されている「税金で買った本」。ひょんなことから図書館でアルバイトすることになったヤンキーな主人公“石平くん”の視点で描かれる、図書館お仕事マンガです。

このマンガについて書評を書いている小泉秋歩さんは、毎週土曜日に図書館に通っており、コミックの新刊コーナーに並んでいるのを見つけたそう。

作中で描かれているさまざまな図書館でのトラブルの中でも、小泉さんが気になったのは「本の破損と弁償」について。実は小泉さん自身も、お子さんが小さい頃に図書館で借りた絵本に落書きしてしまい、本を弁償した経験があるそうです。

マンガを通じて改めて「タダでたくさんの本を読ませてもらえる素敵な場所」と“好き”を再確認した小泉さんの書評に、私も改めて本作の魅力を教えてもらいました。

その天国は、税金と、本を愛する人たちの手によって、今日も運営されているのです。

『税金で買った本』 - つれづれぶらぶら

sister-akiho.hatenablog.com

ゆりあ先生の赤い糸(入江喜和)

ゆりあ先生の赤い糸(1) (BE LOVE KC)

『BE・LOVE』(講談社)で連載中の「ゆりあ先生の赤い糸」。手芸教室の先生として日々平凡に暮らす伊沢ゆりあ(50歳)ですが、ある日突然、夫が救急車で搬送されたことからガラッと生活が変わります(何を書いてもネタバレになりそうであたりさわりのない紹介文になりましたがめちゃくちゃドラマが詰まった作品です……!)。

本作を「ここ数ヶ月の間に一番衝撃を受けた」と評しているのが、kyuugoshiraeさん。「『とりあえず読んでください』としか言えない」という一文に、「わかる……」と大いに共感しました。

kyuugoshiraeさんも書いている通り、本作は“壮絶”で“ヘヴィ”なトピックがたくさん登場します。しかし「日常」の描き方と、何より主人公である「ゆりあさん」のキャラクターの特質により、すっと受け入れて読み進めてしまう、不思議な力があります。

実は9月発売の『BE・LOVE』10月号で最終回を迎える本作。ぜひこの魅力を感じ取ってほしいです。

作中でおこる出来事たちは素っ頓狂なのだが読んでいるとなんとなく受け入れてしまう。それよりも感情の動きや人間の思惑の絡まりや疲労感や湿度や匂いや臭いまで伝わる表現がこの作品の凄さだと思う。これは文章に書き表すことができない。

入江喜和『ゆりあ先生の赤い糸』 - kyuugoshirae’s diary

kyuugoshirae.hatenablog.com

思えば遠くにオブスクラ(靴下ぬぎ子)

思えば遠くにオブスクラ 上 (上) (A.L.C.DX)

思えば遠くにオブスクラ」(秋田書店)は、ほんの少しでも「海外で暮らしてみたい」と思ったことがあれば、ぜひ読んでみていただきたいマンガです。

本作の舞台は「ドイツ」。火事で住居を失ったフリーカメラマンの片爪が、ふらりと海外移住するところから、物語が始まります。

作者の靴下ぬぎ子さんは実際にドイツに移住した経験があり、日本人が現地で生活する描写が非常にリアル。食生活の描写も多く、ページを読み進めるごとに「もし、海外で暮らすならこんな感じなのかも」と妄想が膨らみます。

本作を読んだ音江 鈴さんも「移住してみたい」という気持ちが喚起されたそう。「上巻読みおえた段階で良いなあと思っていたけど、下巻まで読んだらもっと良かった」とつづり、同じ作者の別の作品も読んでみたとのこと。

いい! と思ったマンガは、同じ作者の別の作品が読みたくなりますよね……。

ぽーんと移住したい。言葉がろくに通じなくてもいろんな習慣や文化や手に入るものが違っても、どこにでも住める人間になりたい。

『思えば遠くにオブスクラ』 - らいおんの瓶の中

lioninthebottle.hatenablog.com

ビターエンドロール(佐倉 旬)

ビターエンドロール(1) (アフタヌーンKC)

さまざまなお仕事マンガの中でも人気なジャンルが「医療モノ」ですが、『アフタヌーン』(講談社)で連載中の「ビターエンドロール」は、今まであまり描かれてこなかったMSW(医療ソーシャルワーカー)を題材にしています。「病気」や「ケガ」に伴う、お金や仕事、家族などさまざまな課題や社会問題が描かれており、学びの要素も大きい作品です。

自身も社会福祉士でもあり、病院でMSWとして勤務した経験もあることから本作に興味を持ったとつづるのは、はるきちさん。曰く、MSWは社会福祉士の国家資格を有している人たちにはとても人気の職種だそう。

しかし一般ではまだあまり存在を知られていないことから「この漫画を通して広くMSWという職種の認知度が高まってほしい」という願いを込めて、本作の感想を発信したそうです。

主人公と同じ職種だからこその視点で書かれた本エントリーは、本作をすでに読んだことがある人にもおすすめのエントリーです。

この漫画をきっかけに、多くの人がMSWという職種を知っていただけますように。

病院で働く人が、病気を治すだけでなくその後の生活を支える人もいる、ということが広く周知されますように。

社会福祉士の、ソーシャルワーカーの認知度が高まることを願って。

読みました!ビターエンドロール - Harukichi_SW’s diary

harukichi-sw.hatenablog.com

ブランチライン(池辺 葵)

ブランチライン 1 (フィールコミックス)

「縫い裁つ人」「どぶがわ」「プリンセスメゾン」などの作品で知られる、池辺葵さんの最新作が「ブランチライン」(祥伝社)です。

池辺さんの作品といえば、登場人物の暮らしや機微が独特な空気感の中で丁寧に描かれているのが特徴。母と4姉妹、そして長女の息子・岳の視点でそれぞれの“日常”や“感情”が描かれる本作も、池辺さんらしい魅力がぎゅっと詰まっています。

マンガの書評ブログをコツコツと更新している山田さんも本作を非常に好んでいるとのこと。最新4巻(2022年8月現在)の書評では「この作品は人の素直な欲望を肯定してくれる」とし、この巻で初登場した「月子」というキャラクターを通して、本作で描かれる「愛」について考察しています。

「自分の好きなもの、好きな気持ちををふと見失いそうになるとき、池辺先生の本を読むと、すっと靄を晴らしてくれるようです」という一文に、首を大きく縦に振りました。

『ブランチライン』に限らず、池辺葵先生の作品を読むと、自分の欲望に素直になっていいんだなと思えます。自分の欲しいものを手に入れたら素直に喜んでいい。自分のしたいことをできたら素朴に嬉しがっていい。ともすると、別にどこにもない世間の目なんてやつを気にして湧き上がる感情を抑えようとしてしまったりすることもありますが、そんなことしないでいいんだ、自然に喜びに身を任せればいいんだと思えるのです。

『ブランチライン』欲望の素直な肯定と身軽で気軽な姿の話 - ポンコツ山田.com

yamada10-07.hateblo.jp


気になる書評があれば、ぜひマンガを読んでみてください。そして、その感想をはてなブログに書いてもらえるとうれしいです!

書評というと「長くしっかり書かないといけない」ようなイメージがあるかもしれませんが、ただただ感想を一言、二言で書くような簡素なものでももちろんいいんです。

面白いマンガを読んだら、ぜひ、ブログを通じてまだそのマンガを知らぬ人々へ魅力を発信してみてくださいね。

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