家で過ごす時間が増えた昨今、以前よりも読書をするようになった、という人が増えているようです。
そうした中でいつもとは少し趣向の違う本を、と新たなジャンルに手を伸ばす人も多いのではないでしょうか?
そこで、2020年に発売された「SF小説」についてはてなブロガーたちの記事を集め、前編、後編の二つに分けてご紹介します。今回は前編として、SF初心者から生粋のSFファンまで楽しめる短編集をピックアップしました!
SFアンソロジーが豊作だった2020年
SFをほとんど読んだことがなくて、どんな作品・作家が好みか予想がつかない、という人にオススメなのが、特定のテーマに沿って編まれた「アンソロジー」です。2020年はSFアンソロジーがとにかく豊作でした。珠玉の短編で固められた傑作がそろう中、今回は『ベストSF2020』、『日本SFの臨界点』をピックアップしました
最先端のSF作家がそろった『ベストSF2020』
▼『ベストSF2020』ってどんな本?
SF小説を中心に翻訳家、アンソロジストとして活躍する大森望が編者をつとめた今作。芥川賞作家としても知られる円城塔や高山羽根子などが名を連ね、2017年に「最後にして最初のアイドル」で星雲賞を受賞した草野原々や2020年に『ホテル・アルカディア』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した石川宗生など新進気鋭のSF作家も短編を寄せています。SF作品の最前線を押さえたい人は必見の一冊です。
「何がベストかというのは人によって違う」。だからこその面白さ
名前は知ってるけど読んだことない作家というのが結構います。なので一冊でいろいろ読めるアンソロジーは非常にありがたい。ぜひ続けていただきたいです!
「円城塔びいき」だというkino(id:kino_keno)さんは『ベストSF2020』で気になった作品をピックアップして紹介しています。収録作「歌束」を読み、その円城塔らしさに思わずにやけてしまったというkinoさん。「円城塔のどこかマッドサイエンティスト的なところがたまらなく好き」と語ります。
あまりSFを読まない人にも「今の日本SFってこんな感じだよ」と手渡せる一冊
ふだん読んでいない人からすれば、SFとはこんなに広がりがあるものなのかと驚くのではないか。
2019年、東京創元社が例年出版していた『年間日本SF傑作選』が廃刊に。その遺志を引き継ぐかのように竹書房から『ベストSF2020』が刊行されました。SF書評家の冬木糸一 (id:huyukiitoichi)さんは、その喜びと共に収録作について感想をつづっています。
「2010年代、世界で最もSFを愛した作家」が選ぶ傑作ぞろいのアンソロジー『日本SFの臨界点』
▼『日本SFの臨界点』ってどんな本?
「2010年代、世界で最もSFを愛した作家」という異名を持ち、アンソロジストでもある伴名練がSFの歴史に欠かせない「恋愛」「怪奇」という2つのテーマで編んだ今作。あえてよく知られた名作を省くことで埋もれた傑作を掬い出し、その名の通り、SFの新たな魅力を表出させる逸品となっています。作品解説が充実しているため、SFファンはもちろん、普段SFをあまり読まない、という人にもとっつきやすくなっています。
![日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族 (ハヤカワ文庫JA) 日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族 (ハヤカワ文庫JA)](https://m.media-amazon.com/images/I/51vk1s6pbWL.jpg)
日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族 (ハヤカワ文庫JA)
- 発売日: 2020/07/16
- メディア: Kindle版
![日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 (ハヤカワ文庫JA) 日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 (ハヤカワ文庫JA)](https://m.media-amazon.com/images/I/41rdwbaB2UL.jpg)
日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 (ハヤカワ文庫JA)
- 発売日: 2020/07/16
- メディア: Kindle版
広い意味でSFホラー作品を集めたアンソロジー
このアンソロジー、振り幅が激しく、バカSFやギャグ作品が入っている一方で、シリアスかつバッドエンドに近い作品も多い
『日本SFの臨界点[怪奇編]ちまみれ家族』を読んだSAK(さっく) (id:sakstyle)さんは収録作全作に加え編集後記について紹介し、感想を書き残しています。
あり得たかもしれない日本SFの姿を描き出す
そもそも僕は、SFはじめ色々と小説を読むが、積極的に人と関わりながら読むタイプではなかったので、こうした裏話的な要素が入ってくると少なからずワクワクしてしまう。
『日本SFの臨界点[恋愛篇]死んだ恋人からの手紙』を読み、充実した導入・作品解説・編集後記から編者の熱量を感じたというニキ (id:nikkinniki)さん。鹿児島在住で「文化にコミットするのは難しい」と感じる中で今作についてブログを書いたといいます。
収録作著者が紹介する『日本SFの臨界点』
あなたは、とてもいい人。だって、蒸かしたジャガイモみたいな温かな土の匂いがするから……
藤田雅矢「奇跡の石」
異国で超能力を持つ二人の姉妹に出会った主人公の視点で描かれる「奇跡の石」(『日本SFの臨界点[恋愛篇]死んだ恋人からの手紙』収録)。今作の著者である藤田雅矢(id:fujitam3)さんは自身のブログで『日本SFの臨界点』を紹介しつつ、「なつかしい」と語っています。
100文字から読める本格SF。北野勇作『100文字SF』
▼『100文字SF』ってどんな本?
SF作家、落語作家、役者とさまざまな顔を持つ北野勇作が送るSFのエッセンスがぎゅっと詰まった100文字小説。Twitterに投稿された約2,000篇の作品から200篇が厳選され、老若男女におすすめです。

- 作者:北野 勇作
- 発売日: 2020/06/04
- メディア: Kindle版
100文字で何が表現できるだろう?
【100文字SF】は、当然SF(ただし緩い括り)ですが、
こちらもなんとなく怪談チックな怖さが目立ちますね。
新作チェックをする中で、『100文字SF』が目に留まったというid:x100jp さん。今作をきっかけに100文字小説や一行小説などさまざまなマイクロノベルに関心を持ったということです。
著者が語る「ほぼ百字小説」
ひとつひとつが独立していて、
でも、選択と配置の仕方でいくらでも繋がったり
そのありようが変化したりする、
というあたりが、
今までの小説にはない変なところ
『100文字SF』の著者である北野勇作(id:kitanoyuusaku)さんは、今作が出版される以前に「ほぼ百字小説」についてのさまざまな取り組みをブログに書き残しています。
好きな作品について、ブログで熱く語ってみませんか?
意表を突かれるような作品に出会うとついつい熱く語りたくなってしまうもの。
その情熱をブログにぶつけてみませんか?
はてなブログでは2020年10月より記事に「タグ」をつけられるようになりました! ブログを書く際にはぜひ、タグも活用してみてくださいね!
後編はこちら!