「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」
「推しは命にかかわるからね」ーー作中の台詞が話題になった小説『推し、燃ゆ』。アイドルを応援する10代の女性と、そんな彼女が推しているアイドルの炎上という現代的なテーマを取り扱い、SNS上でも話題を呼びました。
作者の宇佐見りんさんは、2019年に『かか』で第56回文藝賞を受賞し、同作で第33回三島由紀夫賞を受賞。第42回野間文芸新人賞候補にも選ばれました。
第164回芥川龍之介賞受賞作品となった『推し、燃ゆ』について、はてなブロガーがその魅力を語ります。
- 「あれ、これって私のことかもしれない」
- 「人間が生きていくために背骨に逃避するか?」
- 「推しを前にして自分が消失する感じ」
- 「鬼ほど”生きにくい”なかで、彼女は必死に”生きている”」
- 「推しが行動の指針を決め、推しにふさわしい人間になろうとする」
- 「背骨に背骨に集約していく人生」
- あなたの「推し」の魅力を教えてください
「あれ、これって私のことかもしれない」
書評ブログを書いているMiyo(id:miyolivre)さんは『推し、燃ゆ』を読んで、「あれ、これって私のことかもしれない」と思ったそうです。「推しを推しながら、自分の核を見つけ、自分は自分として生きていかねばなりません」と語ります。
「人間が生きていくために背骨に逃避するか?」
主人公・あかりが「推しを推す」ことについて、「『人生つらいから推しに逃げて現実逃避している』ようには見えないし、主人公は逃避しているつもりは毛頭ない。作中で『逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ』と語っている通りである」とNachbar(id:Nachbar)さんはいいます。
「推しを前にして自分が消失する感じ」
「本作はアイドルオタクの話でありながら、推しを通したアイデンティティの話なのだと思う」とid:gyoro8medamaさんは考えます。作中で生きづらさを抱えているあかりについて、「学校、バイト先、家庭で、自分の身体をそこにぴたっと当てはまる形で適応させることのできないあかりも、推しのいるコンサート会場ではきちんと歯車の一つとして存在できる」と語りました。
「鬼ほど”生きにくい”なかで、彼女は必死に”生きている”」
id:amanatsu0312さんは、アイドルを応援するということについて「ぶっちゃけ『趣味』と言われたらそれっきりで、でも『趣味』より大きいな『なにか』なんだけれど、それを一言で説明することが出来ない」といいます。「推しは宗教。これはスポーツチームを応援しているときにちょいちょい言われたものですが、実際推しという存在を追うことに対しては偶像崇拝の一つと変わらないんじゃないかなあ」と書いています。
「推しが行動の指針を決め、推しにふさわしい人間になろうとする」
自身もアイドルを応援しているゆずこん(id:yuzukonbu)さんは、「他者に対する宗教は、生身の恋愛の影が薄くなった時代の代償行為なのだろうか」と問いかけます。「推しが行動の指針を決め、推しにふさわしい人間になろうとする。そんな自分が滑稽でもあり、可愛くもある」と感じるそうです。
「背骨に背骨に集約していく人生」
「作中の特筆すべき表現として、この本全体を通してずっと印象的に使われていた『背骨』と『肉体』って言葉がある」とらっこ(id:bmyutori)さんは分析しました。「あかりはどんどん肉の部分を削ぎ取ろうとしてたけど、私はどっちも大事にするオタクでありたい」と考えています。
あなたの「推し」の魅力を教えてください
読めばきっと、「推し」と「自分」について考えることになる小説『推し、燃ゆ』。
皆さんもはてなブログで『推し、燃ゆ』の感想や、自分の「推し」について語ってみませんか?