あなたにとって「SFといえば」? 心惹かれるそれぞれの「SF」

はてなブログでは毎週「今週のお題」を出題しています。今回は、2022年7月22日から2022年8月5日にかけて募集した、今週のお題SFといえば」に寄せられたエントリーから、週刊はてなブログ編集部がおすすめしたい記事をピックアップして紹介します。

こんにちは! 週刊はてなブログ編集部の大藤です。今回は、お題「SFといえば」で募集した記事をご紹介しようと思っています。

その前に「なぜ今はてなブログでSFのお題を?」と感じている方も多いかと思います。そこで、はてなブログとSFの関わりについて、まずご紹介します。

2011年、はてなブログがリリースした当初より掲げていたキャッチコピー「書き残そう。あなたの人生の物語」ではテッド・チャンの代表作『あなたの人生の物語』を引用しています。はてなブログはそのはじまりからSFに背中を押されていたのです。

その後、はてなブログではさまざまなジャンルのブロガーさんに活躍いただき、SFもその中の一大ジャンルとして挙げられるようになりました。例えば、冬木糸一さん(id:huyukiitoichi)の「基本読書」やid:sheep2015さんの「ひつじ図書協会」といったSF作品を中心とした書評ブログや、SF研究を諸研究の集合体として捉えた「SFスタディーズ」を行うナンバユウキ(id:lichtung)さんのブログ「Lichtung」、また、SF作品の紹介だけでなくご自身による創作や翻訳も掲載する呉衣悠介 (id:clementiae)さんの「忘れないために書きます」など。他にもここには挙げ切れませんが、さまざまなアプローチでSFを楽しむブログが登場しています。

今回のお題でも、そんな多様なSFの楽しみ方をのぞくことができるブログがたくさん集まりました! ぜひ、最後までご覧ください。

みんなのSFの原点

SFとの出会い方は人それぞれ。ここでは、ブロガーのみなさんにとってのSFの原点が語られた記事を紹介します。

「初恋なんてそんなものだ」

そういう意味で、ディックは「初恋の作家」だ。時系列ではなく精神的な意味で。そして、おれは例に漏れずバカな男の一人だから初恋を引きずり続けている。

SFといえばフィリップ・K・ディック - 電羊倉庫

ご家族をはじめ、周囲の人々のすすめでさまざまな作品に出会ってきたという電羊書房 (id:HDIPB)さん。だからこそ「一から自分で探して好きになった作家」、フィリップ・K・ディックには特別な思い入れがあるそう。文章から「初恋の作家」への迷いや切実さ、絡み合う複雑な思いが伝わってきます。
hdipb.hatenablog.com

意味がよくわからなくても、惹かれる

信じられないようなすばらしい光景を見たいから、少しでも長生きしたい

私のSFの原点は、不思議な映画「2001年宇宙の旅」 - R55女性あるある

アーサ・C・クラークの小説をもとにした、スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』をSFの原点として挙げたのは あんの(id:anno1532)さん。鑑賞中の幻想的な体験や作品の魅力を音楽を通じてひもときます。

r50.hatenadiary.com

親の書棚にあったブラッドベリ

タイトルがまた、今見てもカッコいいんだよなぁ。翻訳の妙ですね。

一番最初のSFは何? - おのにち

みどりの小野 (id:yutoma233)さんは、お題をきっかけに「記憶に残る『一番最初のSF』」に思いを巡らせることに。「親の書棚から手にしたハヤカワ文庫SFのレイ・ブラッドベリ」に行き着いたみどりの小野さんは、作品が持つ「情緒的な雰囲気」を懐かしみます。

yutoma233.hatenablog.com

記憶に残るマイベストSF

SFというと頭に浮かぶ「マイベスト」な作品をリストアップした記事をピックアップ。名前がよく挙がったのは、星新一、萩尾望都、フィリップ・K・ディック、スター・ウォーズ、ガンダムなど。あなたの「マイベスト」SFを思い返しながら是非お楽しみください。

「やはりガンダムでしょう」

僕にとって宇宙とか地球から出ることの面白さを与えてくれたアニメ

[やっぱガンダム - 燃焼の捌け口2

「SFといえば」という問いに迷いなく「ガンダム」と答えるのは燃焼年 (id:kusumiblur)さんです。幼少期から今まで、アニメはもちろん「『ガンダム』と名のついたコンテンツには何から何まで」興味を持って、触れてきたといいます。ガンダムが広げた世界の豊かさが燃焼年さんの語りから伝わってきます。

kusumiblur.hatenablog.com

わたしとは、根源的な問いに連れられて

身体でもなく脳でもないところに在る、確かに存在するわたし、という意識。
わたしって、どういうこと?

萩尾望都の繊細で美しいSFの世界 - たわむれ日記

幼少期から夜、眠るときに「人間とは、神とは、存在とは何なのか」という根源的な問いについて考え込んできたというlila (id:lila358)さん。そんな根源的な問いと共鳴するような萩尾望都の漫画や今の世界を映し出したかのような星新一の小説について語っています。
lila358.hatenablog.com

わたしとSF、そのあゆみ

本は結婚時に持参しましたが、年を経て本の傷みが酷くなったので

泣く泣く一冊を除いて手放しました。

鈴のよもやま話

学生時代から今まで、ご自身とSFの歴史を振り返る鈴 (id:turezuremamani)さん。SFとの出会いから結婚など、ターニングポイントのエピソードとともにSF作品の魅力を語る、等身大な投稿です。

turezuremamani.hatenablog.com

SF= ……?

一口にSFと言っても、「サイエンス・フィクション」とするか、「スペース・ファンタジー」とするか、はたまた「すこし・ふしぎ」とするか、あるいは「スペキュレイティブ・フィクション」とするか……と、その言葉自体に幅があるもの。特によく書かれていたのが、「サイエンス・フィクション」「スペース・ファンタジー」というワードです。

手に汗握った『スター・ウォーズ』の思い出

おそらく高精度のCGに慣れた今の小学生が見たら子供騙しの特撮かもしれませんが、短いながらも積み上げてきた常識を覆すような映像に衝撃を覚えたあの感覚は今でもはっきり覚えています。

SF=スペースファンタジー? - 未来そうぞう日記

『スター・ウォーズ』の出会いでSFを「スペースファンタジー」という言葉として認知したという id:dad_aslan さん。当時の映画館で途中入場して見た『スター・ウォーズ』のワンシーンの感動がありありと伝わってくる描写に、心動かされます。
dad-aslan.hatenablog.com

思い入れはない、好きはある

俺にとっての名作というのは、どこかにそういう、自らが扱っている手法への諦めが内在している。そして、それをふまえた希望も同時にある。

SFについて - 蠅と鬼と人

SFを「スペースファンタジー」と捉えていたことについて「思い入れがない」からだと語るカジカ (id:kajika0)さん。一方でSFへの「好き」は明確に語っています。小説、漫画、映画をまたいだ6作品を通して、どんなSFが好きなのか、を言語化しています。

sanjou.hatenablog.jp

テーマがSFだからこそ! 書きたいがあふれる

また、今回SFというテーマだから! と前置きする投稿も見受けられました。テーマがSFだからこそ、語りたくなった。そんなブログを紹介します。

「心は複雑なんです」

なぜって、今週のお題が、「SFについて語ろう」なんですもん!

そしたら絶対「マーダーボット・ダイアリー」について書きたいじゃないですか。

「マーダーボット・ダイアリー」について書きた過ぎて、252日ぶりにブログに戻ってきた - ふあんをFunに

251日ぶりにブログに戻ってきたファニー (id:FuAnny_Life)さん。 警備用アンドロイドが語る小説『マーダーボット・ダイアリー』の魅力を熱く語ります。カスタムURLも粋で読むだけで楽しい気持ちが伝わってきます。『マーダーボット・ダイアリー』、絶対読みます。
fuanny.com

「思わず、『おっ』」

大学生の頃から結婚して出産するまでは、神田神保町の本屋街に行くのが好きで、友達と両手いっぱい本を買って帰った思い出。

今、本の重みで掌が真っ赤になったその痛みも蘇ってくるような気がします。

はじめてのおだい - しばらく雨は降りません

はじめてお題に挑戦したという泥メガネ (id:kinopanmama)さん。古書街で本を抱えて帰った、あたたかい思い出とともに、小説を通じて「読んで心を『ぎゅんっ』って掴まれたあの衝撃」や「呼吸困難になるくらい泣いた」経験についてつづっています。読書をする、その面白さが満遍なく感じられる文章です。

kinopanmama.hateblo.jp


言葉の定義から、好きな作品まで、SFという世界には一度の人生では味わい切れない広がりがあり、わたしが知っているのは、その莫大な世界のごくごく一部です。そして今回のお題「SFとは」では、そのSFという枠組みの広大さを改めて実感させられました。

SFという枠組みの中で、これからどのようなブログや記事が生まれるのか、楽しみでなりません。より多くの人がその記事に出会えるよう、SFについて記事を書かれる方は是非ブログタグ「#SF」をつけて投稿してください!



今回紹介したのは、2022年7月22日から2022年8月5日にかけて募集した今週のお題SFといえば」に投稿されたエントリーの一部です。

新しい「今週のお題」にもエントリーが続々寄せられています。今週のお題、テーマはなんでしょう? ぜひチェックしてみてください。

本棚の中身を眺めると楽しくなる

はてなブログでは毎週「今週のお題」を出題しています。今回は、2022年6月10日から2022年6月24日にかけて募集した、今週のお題本棚の中身」に寄せられたエントリーから、週刊はてなブログ編集部がおすすめしたい記事をピックアップして紹介します。

持ち主の好きなものや興味のあることがたっぷり詰まった本棚。そんな本棚の中身を眺めることで、にじみ出るその人らしさや意外な一面が分かって楽しいはず! そこで今週は「本棚の中身」をテーマに皆さんの投稿を募集しました。

書籍であふれかえる本棚や整理の行き届いた本棚、本ではないものが収納されている本棚まで。皆さんの「本棚の中身」を眺めて楽しくなった週ブロ編集部がいつもより多めの14記事をピックアップして紹介します。

本棚に収まりきらない

断捨離でだいぶ少なくなった

Image: 〈断捨離〉とかできるのか - 50代半ばの家移り日記

「わたしの場合、本棚はほとんど本棚の体をなしていない」という franciscocity(id:zocalo)さんは、およそ10年前と現在の本棚を比べて記事にしています。本棚に収まりきらず、積み重ねられた本も「本棚の中身」です。

引用した写真は「本棚の中身を廊下にぶちまけたとき」のもの。床が見えなくなるほど大量の本に圧倒されます......。

xaqi.hateblo.jp

棚がなくても「本棚」

Image: 本棚は生き物である - 滝大雅(たきたいが)

定期的に本棚の写真を撮っているという id:zzzz777 さん。学生時代から上京することになった現在まで、5年間の本棚の変遷を紹介しています。数年でがらりと変わっていく本棚の中身から、zzzz777 さんの関心事の移り変わりを感じられます。

今はドミトリーで暮らしているため本棚はないとのこと。しかし本が積み重ねられ、棚のない本棚が生まれつつあるようです。

zzzz777.hatenablog.com

所有するのが好き

Image: 引っ越しの断捨離から生き残った本たち - 50代で家を買い替えた話

本を所有するのが好きだと語る id:ouchisumikae さんですが、昨年の引っ越しをきっかけに本や書架を処分しなければならなくなったといいます。「何十年も昔に好きで何回も繰り返して読んだ本たちはなかなか処分できない」とつづり、選び抜かれた本がずらりと並んだ本棚の中身を紹介しています。

とはいえ引っ越しから1年経過した今でも本棚に収まりきらない文庫本があるようです。

ouchisumikae.hatenablog.com

本棚に収まりきる

増設に増設を重ねて

Image: 時が止まった本棚 - 自分方位研究所

隙間を探すのが難しい 水森千十(id:k-emu)さんの本棚。ポケコンやアマチュア無線にまつわる本や、かつて趣味だったという懸賞ハガキの公募ガイド、カセットテープの詰め込まれたティッシュの箱などあらゆるものが本棚に詰め込まれています。

記事のあちこちに登場する「手作りの本棚」が、本が収納できなければ収納場所を増やせばいいのだと語りかけてくるよう。「断捨離は、はるか彼方です」と締めくくりました。

www.mypath-as-variant.com

本棚が好き

本棚の前で背中を丸めて読むのが好き

Image: 本棚の前で背中を丸めて読むのが好き - ネコミミにひかりあれ

本棚の上に付けられたスポットライトと相まって、そこが世界の中心で、漫画や本の世界により没頭できるような気がしていた

本棚の前で背中を丸めて読むのが好き - ネコミミにひかりあれ

何十年前のこと「本棚の前に置いた小さい椅子に座って読むのがすごく好きだった」と id:necomimii さんは語ります。今でも本棚の前で縮こまって読書をすると没頭できる気がするのだとか。たしかにわたしも本棚の前で本を読むことが多いです!

何度も読んだ本や友人の作ったフリーペーパー、大量の手帳やメモなどを手に取り、コメントを添えています。

necomimii.hatenablog.com

唯一無二の本棚がある

Image: 自分の本棚、好きな本しかない - 今日もめくるめかない日

自分の本棚を眺めていると、あたりまえだけど「好きな本ばっかりじゃん……」とうれしくなりますね。そしておそらくまったく同じ本棚はこの世に存在しないのだなあということも考えると、なんだかしみじみ。

自分の本棚、好きな本しかない - 今日もめくるめかない日

最近本棚の整理をして、著者の名前順から版元別に並び替えたという 村崎(id:mrsk_ntk)さん。出版社ごとだと背表紙のデザインがそろって気持ちが良いですよね。

十数年の付き合いだという本や「独特の無敵感がある」というデビュー作、ずっと手放せない漫画について記しています。

mrsk-ntk.hatenablog.com

中身を知っているはずなのに、わくわくする

Image: 自販機くらいの本棚 - ラーディックスの底

好きな本ばかりで、本棚を開くと中身を知っているはずなのに、ちょっとわくわくします。

自販機くらいの本棚 - ラーディックスの底

深縹あき(id:khnda0s)さんは家に一つある「自販機くらいの本棚」の中身の一部をブログで取り上げています。

本棚がいっぱいになってきたため最近は電子書籍を購入することの方が多いと語り、だからこそ紙の本はじっくり考えて買うようにしているといいます。

khnda0s.hatenablog.com

本が合流する

Image: 本が合流する - 緋綸子の雑記帳

本棚を眺めていると、これまでの人生で何にはまったか、興味をもったかが思い出されて、自分自身を反映しているようで面白い。読まないでただ眺めたり、適当に手に取ってページをぱらぱらめくるだけで楽しい。

本が合流する - 緋綸子の雑記帳

「私がこれまで買ってきた本は、両親のいる実家、弟宅、私の家に分散されていた」と書き出す 緋綸子(id:hirinzu)さん。これまで点在していた 緋綸子 さんの蔵書が自身の本棚に「合流」しつつあるようです。

hirinzu.hatenablog.com

特化型の本棚

絵本

Image: 本棚の中身は絵本ばっか - 自己満足な日記or備忘録 akayamaqueen

絵本がぎっしり詰まっている まる(id:akayamaqueen)さんの本棚。子どもの好きだった本はどうしても処分できないのだと語っています。

fatbottomgirl.hatenablog.com

歌舞伎のパンフレット

Image: 歌舞伎のパンフレット - いちびりちぃこの、競艇ぱんぱかぱん

幼いころから歌舞伎を観るのが好きだったという ちぃこ(id:Chi1ko)さんの本棚には歌舞伎のパンフレットでいっぱい。読み返すと当時の記憶がよみがえるのだとか。

chi1ko.hatenablog.com

鉄道の雑誌

Image: 寝床の本棚… - Line Buffer Overflow…

韓隅錦矢(id:kiha-gojusan-hyakusan)さんの寝床にある本棚には鉄道にまつわる雑誌がずらりと並んでいます。

kiha-gojusan-hyakusan.hatenablog.jp

本棚の中身は本だけじゃない

自分の好きなものだけの世界

Image: カラーボックス上の世界 - ただのモノローグ

思い付きだけで動いた旅行先、ふらっと寄った水族館や美術館、富士山に登った時の記念品、好きなキャラクターのグッズをネットで取り寄せるetc…。

カラーボックス上の世界 - ただのモノローグ

上京のタイミングで購入したカラーボックスに小説やエッセイ、漫画を収納しているという バンドー(id:Abraham-Anaconda)さん。上部のスペースにはイベントで買ったグッズや旅行先で手に入れた雑貨などが並べられており、「我が家でいちばん華やかな部分」と表現しています。

abraham-anaconda.hatenablog.com

「限定Blu-rayボックスは大抵デカくて場所を取る」

Image: お題:「本棚の中身」 - 映文計

一人暮らしを始める際に実家から大量の本を持ってきたという id:naw0t0 さんは、漫画を収納したりフィギュアを飾ったりしている棚を紹介しています。「天井に届く高さで屹立するウォールシェルフに書籍を並べればペイロードも増すのだが、僕は主にブルーレイを収納しているので無理なのだ」と収納スペースに困っていることを語っています。

eibunkeicinemafreak.hateblo.jp

ゲームボーイコーナーあります

Image: 最近の本棚の状況 - たらふく。

他人の本棚って見るの面白いですよね。本棚を見ればその人がどんな人がなんとなく分かったり、こういうのが好きなのかって分かったりしますよね。知らない本で面白そうな本を発見することもあるかもしれませんね。

最近の本棚の状況 - たらふく。

たらこ(id:Tarax)さんの本棚には仕事に関係する書籍のほかに、かわいらしいぬいぐるみが詰まっていたり「ゲームボーイコーナー」があったりします。

tarafukublog.hatenablog.com



ちなみにアイキャッチの写真はこの記事を執筆している週ブロ編集部・中村の「本棚の中身」です。今回紹介したはてなブロガーの皆さんも「本棚を紹介するのは恥ずかしい」と語っていましたが、たしかに本棚を見られると自分自身をのぞき込まれているような気がして恥ずかしくなります......。

そんな気恥ずかしい気持ちを乗り越えて「本棚の中身」について投稿してくださりありがとうございました。どの記事もとても楽しいものばかりでした! また今週のお題へ投稿してくださるとうれしいです。



今回紹介したのは、2022年6月10日から2022年6月24日にかけて募集した今週のお題本棚の中身」に投稿されたエントリーの一部です。あなたの「本棚の中身」についてブログで語ってみませんか

新しい「今週のお題」にもエントリーが続々寄せられています。今週のお題、テーマはなんでしょう? ぜひチェックしてみてください。

それぞれのやり方で、読書を楽しむ。書籍にまつわるエントリー

週刊はてなブログを運営する「週刊はてなブログ編集部」と、クライアントのオウンドメディア記事を制作する「はてな編集部」が合同でブログを紹介する連載企画「編集部が気になるブログ」。今回は週刊はてなブログ編集部の大藤が書籍にまつわるブログを紹介します。

書籍についてブログを書こう、と思ったとき、いざパソコンの前に座るとあらすじはこうで、作者はこんな人で、私はこう思って……と書籍の魅力を伝えるために必要な「情報」について深く考え込んでしまって、なかなか書き出せないのです。過ぎゆく時間がプレッシャーに変わって、結局、書きたいことは雲散霧消し、数行書いてやめてしまうことも少なくありません。

一方で自分が書籍に関するエントリーを読むときに書籍にまつわる「情報」だけを求めているかというと、そんなこともないと思います。同じ書籍を読むにしても、読む人はもちろん、自分自身にしたって、ライフステージや、周囲にいる人々、その時々の状況に影響を受け、面白いと思う箇所や、そもそも面白いと思うかどうかだって変わってゆくのです。だからこそ、エントリーのなかで「書籍とその人の瞬間」が感じられるとなんだかとても楽しく、とてもうれしくなってしまいます。

書籍についてほとんど書いていなくたって、書籍の結末がわからなくたって、なんなら読んでいなくたって、その人がその書籍になんらかの形で触れたことで生まれた文章は十分にその人とその書籍について語ってくれるような気がするのです。

「あなたの文章を読むたびに『めまい』がします」

悔やむな。何はともあれ、このメールを衆目にさらしたのが何のためであるか肝に銘じ、意気地を出して、(そんなものがあるならば)心を込めて書くことにしよう。そしてそのために、もう少し自分の「人生」を振り返り、後追いし、まとめてみたい。

ワインディング・ノート5(サリンジャー・田中優子先生・感傷) - ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

例えば、作家の乗代雄介(id:norishiro7)さんのこのエントリー。
norishiro7.hatenablog.com

当時の乗代さんの担当教授で、のちに法政大学の総長も務めた田中優子先生からもらったメールについて、J・D・サリンジャーの『大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア-序章』 (新潮文庫)に触れながら語られるこのエントリー。個人的なメールについてブログで公開することへの逡巡と「書く」という行為への鬼気迫る思いが滲み出ています。

「どうでもいいけど(あ」

赤葡萄酒とのマリアージュって書いてある、つまりお勧めのチーズ・・・どれも聞いた事ない奴ばっかだ

眺めている本 - pomtaの日記

ohhashi.hatenablog.com

『美しい世界のチーズの教科書』(パイインターナショナル)を「眺めた」id:ohhashi さん。相槌を交えながら、本を眺めて思ったことを書き残しています。「・・・」で表される思考のスキマから、id:ohhashi さんの頭の中をこっそりのぞき込んでしまったようなリアリティを感じられて、思わず口元がほころんでしまいました。

「中国最初のSF小説」は、未完であることにこそ意義がある

この小説がかくも科学とテクノロジーの全能性を説き、文明や社会の優劣すらそれによってはかられるような世界観を提示しているにもかかわらず、その主人公に対しては、いわば個人のあり方として、伝統中国の価値観を保持することを許している——いや、むしろ結果的に許すことになってしまった——という点である

およそありうべき最善でただひとつの結末——『月球植民地小説』について - どらや記

tsubuan1525.hatenablog.com

近年、テッド・チャンによる翻訳や、『三体』の流行で世界的に注目を集めている「中国SF」。どらやき (id:tsubuan1525)さんは「中国人の手によるはじめてのSF小説」だという未完の小説「月球植民地小説」について過去に残した文章をブログに転載しています。冒頭、5年以上の時を経て改めて自分の文章を公開することにした、どらやきさんご自身の振り返りがこのエントリーを読む上での良い補助線となっています。

「明日も労働!」

ハゲのパラドックスというものがある。髪の毛を一本抜いても禿げないのに、それを繰り返しているといつか禿げてしまう

はやめのバビロン - halfsizedfriedrice’s diary

donttrustard30.hatenablog.com

読書と生活をめぐる思索を書き残す id:halfsizedfriedrice さん。『サボる哲学』(NHK出版新書)、ブレイディみかこ著(おそらく『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』(文藝春秋)?)、『テスカトリポカ』(KADOKAWA)と読んだ本と生活を「超紆余曲折」しながら、資本主義に身を投じています。

「ターザンの各種特集なんて、おまえ運動もダイエットもしないじゃん!」

ましてドゥルーズ=ガタリも、そのうち読むかと思ったけど、「そのうち」はこないだろう

人生の見直し。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

cruel.hatenablog.com

読もうと思っていたのに読まなかった本や見ようと思っていたのに見ることのなかったDVDを列挙し、「人生の見直し」をした評論家の山形浩生 (id:wlj-Friday)さん。

読みたかったけど、読めないを棚卸しすることで、人生という有限の時間で自分が何を選ばなかったのか、を見つめ直せるのではないでしょうか。少しこわいけれど、わたしの読みたかったけど、読めないを考えてみたくなります。


読んだり、眺めたり、読まなかったりした書籍とそれをとりまくその人の自身の生活や思索を行き来する、自由な文章は、「その人が生きた瞬間」を感じさせてくれます。

役立つ情報なんてなくても「その時その人が何を見て、何を思ったか」がそのまま書き残された文章からは読書の豊かさが伝わってきます。肩肘張らず、まずは書いてみませんか? ブログはそんなあなたの文章のために開かれた場です。読書や書籍にまつわるブログを書かれた方はぜひブログタグ「#読書」をつけてみてくださいね。